この記事では、これまでほとんど紹介されることのなかった『中長期トレード』の手法について、ご紹介したいと思います。
中長期(ポジション)トレードとは
中長期トレードのすすめ
FXトレードのスタイルをタイムスパンで分類すると、①スキャルピング(数分以内)、②デイトレ(1日以内)、③スイング(数ヶ月以内)、④長期トレード(数ヶ月超)の4種類になります。
手法 | トレード時間 | トレード回数 | 利幅 |
---|---|---|---|
スキャルピング | 数秒〜数分 | 数十回/日 | 1〜10pips |
デイトレード | 数分〜数時間 | 数回/日 | 10〜100pips |
スイングトレード | 数日〜数週間 | 数回/月 | 100〜500pips |
長期トレード | 数ヶ月〜 | 数回/年 | 500〜1500pips |
このうち、『トレーダーの10年後の生存確率』が最も高いのが、④の中長期トレードです。
スキャルピングの生存確率が約0.3%、中長期トレードの生存確率が15~20%なので、比較にならないほどの高さです。
ただし、そこには「毎日ワインを飲む人は長生きする」という言説と、同じトリックがあります。「毎日ワインを飲むような人」は、ライフスタイル全体が普通の人とは異なるのです。
それと同じで、「中長期トレードをするような人」は、トレードに対する考え方だけでなく、年収や保有資産等の投資環境が、普通のトレーダーとは異なります。
中長期トレードをする人は、FX以外に太い安定的な収入があって、資金的に余裕のある人が多いです。
潤沢な資金を使って、大きなトレンドに逆らわずにじっくりとトレードすれば、FXの勝率は意外なほど高いのです。逆に、少ない資金で精神的にカリカリして、一攫千金を狙おうとすれば、確実に自滅します。
もしあなたが資金的に余裕があるのなら、FXの『中長期トレード』をおすすめします。それほど資金に余裕がなくても大丈夫。
「含み損に耐えてポジションを長く持てる根性」と「投下資金を少なめにキープする慎重さ」があれば、少ない資金でも『中長期トレード』は可能です。
長期投資で勝つために重要なこと
中長期トレードの手法
FXの手法は、大きく分けて次の3つに分類できます。
- ブレイク:抵抗線・支持線を超えた勢いに乗る
- 押し目:トレンド方向からの戻りを拾う
- 逆張り:トレンド方向に逆らったポジション取り
巷に出回っているトレード手法のネーミングは実に様々ですが、詰まるところ、この3つのいずれかのバリエーションです。
1.ブレイクと2.押し目が「トレンド相場」用の手法で、3.逆張りが「レンジ相場」用の手法です。
今回ご紹介する『中長期トレード』は、1.『ブレイク』の手法を用います。
1.ブレイクと2.押し目は、トレンドに対して「順張り」するの点で共通してします。
エントリーする際、『押し目』のタイミングを待つか、押し目を待たずに最初の『ブレイク』でエントリーしてしまうかのちがいです。
見るべき時間足
『中長期トレード』は、時間軸に「月足」を使います。
月足の場合、ブレイク後に『押し目』を待っていると、下手をすれば12ヶ月(ローソク12本)以上かかってしまいます。
トレードは長期に構えた方が有利とはいえ、さすがにそこまで待っていると、資金効率が悪くなるので、『ブレイク』の手法を採用するわけです。
FXの世界では、各時間足の信頼性について、こんなたとえ話があります。
「1時間足はキャバクラ嬢から聞いた話、4時間足は彼女から聞いた話、日足は妻から聞いた話、週足は母親から聞いた話である」 と。
それなら、月足は?
・・・「女神」から聞いた話です。
長期保有に必要な3つの条件
まず、環境整備が必要です。
- FX以外に太い安定的な収入を確保する
- 人のせいにしないメンタルを手に入れる
- トレードごとの損益の期待値を計算する
FX以外に太い安定的な収入を確保する
①は、経済面の環境整備です。急には整えられないので、資金が少ない場合は、ベットする(賭ける)枚数を減らして下さい。
FXの世界は一攫千金を狙う人が多いので、堅実な考え方を持つだけで、トレードの優位性につながります。収入は、たとえ細くても、安定的でなければなりません。
はっきり言って、専業のトレーダーに『中長期トレード』はムリです。
専業のトレーダーでも、「半年に一度利確して得た資金を、少しずつ取り崩して生活すればいい」と言う人もいます。理屈は確かにそうです。
が、毎月の収入がなく生活資金が徐々に減っていくのは、とてもつらいものです。
ただでさえ「生き馬の目を抜く」のFXの世界で、メンタル上のハンディキャップを負うことを、私はおすすめしません。
人のせいにしないメンタルを手に入れる
②については、心理面の環境整備です。「人のせいにする」限り、他人の意見を活かすことができません。
『中長期トレード』をしていると、長いホールド期間のあいだには、ニュースのヘッドラインや友人の悪気のない一言で、猛烈な不安に陥ることがあります。
それらに惑わされてブレることのないよう、自分の目と耳をふさぐこともできます。
がしかし、「情報の収集能力」と「FXの勝率」は比例します。
このインターネット時代に、外界からの情報チャネルを制限することは、幅広い情報源を持つライバルたちと同じ土俵に立つことを、自ら放棄することになります。
一方、FXをチーム制でトレードしている人は強いです。一人でトレードをしているとどうしても生じてしまう「チャンスやリスクの死角」に気づかせてくれるからです。
チーム制といっても、合議や多数決などはせず、みんなで情報交換をします。意思決定をするのはあくまで自分。「他人は信じて、信ぜず」・・・その矛盾に、トレードに勝つ鍵があります。
トレードごとの損益の期待値を計算する
そして、『中長期トレード』の実行に際しては、PDCAのサイクルとして、トレードごとの損益の期待値を計算することが必要です。
その際には、「想定元本」「ベットする枚数」「エントリータイミング」「イグジットタイミング」のすべてを数値で明確化する必要があります。
「トレードの期待値」を計算する必要性
サラリーマンが勤め先で、1,000万円の投資案件を実行するには、事業計画書が必要です。
ところが、FXトレードで、トレード毎に事業計画書を書いている人はまれです。
証拠金を100万円入れて、レバレッジを10倍かければ、1,000万円の投資案件ですよ?
しょせんは他人の金である「会社のお金」をリスクにさらす際に、詳細な事業計画書を書くのに、なぜ、自分の「命銭」を賭けるFXで、事業計画書を書かないのでしょうか?
私は、日本の個人トレーダーたちが、大した計画性もなく、思いつきで「大金をドブに捨てるようなトレード」をしているのを、常々不思議に思っています。
確かにスキャルピングの場合は、いちいち事業計画書を書くのは煩雑ですが、長期に渡って多額の資金をリスクにさらす『中長期トレード』においては、計画書の作成は必須となります。必ず作成して下さい。
次章では、かつて筆者自身が実際に行ったトレードの「ケーススタディ」を通じて、『中長期トレード』の手法を具体的に解説していきたいと思います。
中長期トレードの具体的な取引手法
『中長期トレード』の基本ルールを、ここで明らかにしておきます。
中長期トレードの基本ルール
- 月足の25 SMA(移動平均線)をブレイクしたら即エントリー
- エントリーした月の月足の安値(高値)を更新したら即ロスカット
- 翌月以降は月足の25 SMAをローソク実体でブレイクしたらイグジット
- エントリー時の「トレードの前提」が崩れた場合も即イグジット
- 利確の水準はケースバイケース
- 1回のトレードでリスクにさらすのはFX資金の20%まで
ケース1:NZD/USD相場 2014/09
NZD/USD相場 2014/09
状況:NZキー首相が「NZドルは0.65が適正水準」との口先介入
主要国の首相が自国通貨について「対ドルの為替レートのターゲットを明言する」という、千載一遇のチャンスでした。
エントリーポイントのチャート
NZD/USD 月足
(青:5 SMA 赤:25 SMA 黄:75 SMA)
NZD/USD 月足 (拡大図)
(青:5 SMA 赤:25 SMA 黄:75 SMA)
「NZキー首相が『NZドルは0.65が適正水準』との口先介入」をしたのは、2014年9月です。チャートでは、緑の矢印がついている長い陰線がそうです。
期待値の計算
STEP1:エントリーポイントの決定
「月足の25 SMAをブレイクしたら即エントリー」するのが原則ですが(基本ルール①)、私がキー首相の発言のニュースを知ったときには、すでにブレイク後0.8000付近まで下落していました。
ですので、その時点で成行エントリーしました。
STEP2:ストップの決定
ストップは、『中長期トレードの基本ルール②』の通り、同月の月足の高値0.8400に設定しました。なお、このストップは、翌月以降も据え置きます。
翌月以降は月足の25 SMAをローソク実体で抜けた場合もイグジットします。
さらに、NZキー首相が辞任したり、何らかの事情で0.65のターゲットを撤回した場合も、「トレードの前提」が崩れたことになりますので、即イグジットします。
STEP3:枚数の決定
仮にストップがついた場合、0.8400引く0.80000で、400pips分の損失となります。
当時の私のFX資金が5,000万円だったので、『中長期トレードの基本ルール⑥』に従って、最大損失がFX資金の20%、つまり1,000万円以内に収まるように枚数を決定します。
このケースでは、ドル高トレンドの中で、NZ首相からの明確な数値目標が示されたわけですから、「自信あり」です。
なので、ストップがついた際、予算内いっぱいに収まる200枚をベットしました。
ストップ時の損失 = △400pips × 105円/ドル × 200枚 = △840万円
STEP4:リミットの決定
首相のターゲットはきっと実現すると信じて、リミットを0.6500に設定しました。
部分利確はなしの、強気のホールドです。
STEP5:期待値の計算
トレードの損益の期待値を計算します。損益が確定するのは、「ストップとターゲットのいずれかに到達したとき」です。
このときは「ストップがつく確率:リミットがつく確率=50%:50%」と予想しました。
五分五分ですが、ストップまでの距離が400pipsなのに対し、リミットまでの距離は1,500pipsなので、非常に強気の予想です。
リミット時の利益 = 1,500pips × 105円/ドル × 200枚 = 3,150万円
「ストップ時の損失」については、STEP3ですでに計算していますので、これらを確率と積算してから足し合わせると、期待値が求まります。
仮に期待値がマイナスになった場合には、トレードを実行すべきではありません。
期待値が小さい場合は、他のトレード案の期待値と比較して、より有利なトレード案を実行します。FX資金には限りがあるからです。
本ケースの期待値は、必要証拠金1,680万円に対して、期待値1,150万円ですから、とても有望な案件といえます。実行です。
STEP6:結果とふりかえり
見事、ターゲット0.65に到達して利食いしました!
このときは、キー首相のターゲット実現に確信があったので、最後まで持ち切ることができました。3,150万円のゲットです。
なお、実際には、節目の0.6500にオプションバリアがある可能性を考慮して、ターゲット到達寸前の0.6510で全利確しています。
わずか10pips分をケチったがために、オプションバリアで反転されてはもったいないからです。
STEP5での「ストップがつく確率:リミットがつく確率=50%:50%」の設定は、「おおむね」「だいたいこれくらい」でOKです。
まずはとにかく数字化して下さい。数字化するだけで価値があります。
世にあまたいる為替アナリストにも、相場予想の際に確率を明示している人は、ほぼ皆無です。「おおむね」の数字を出すだけでも、彼らより「思考的に」優位に立てます。
数字化しておけば、後から振り返ることもできますし、他人に意見を求める際の叩き台にもなります。
本件のNZD/USD月足のチャートでは、キー首相の口先介入前に「25 SMAブレイク」の基本ルールだけでエントリーしていたとすれば、何度も損切りをくらう展開となっています。
チャート形状が、ローソクが25 SMAを何度もまたぐ形となっているからです。
つまり、25 SMAが「レジスタンスとして機能しなかった」といえます。
このような場合は、純粋にテクニカルだけでエントリーするよりも、何らかのサプライズを伴ってエントリーした方が、勝率が高いといえそうです。
ケース2:EUR/USD相場 2015/01
EUR/USD相場 2015/01
状況:6年間続いた1.200-1.500のレンジを下抜け、パリティ(1.000)のコンセンサスが形成
ユーロドルが、1.4000から1.0470まで下落した大相場の後半戦にエントリーしました。
エントリーポイントのチャート
EUR/USD 月足
(青:5 SMA 赤:25 SMA 黄:75 SMA)
EUR/USD 月足 (拡大図)
(青:5 SMA 赤:25 SMA 黄:75 SMA)
期待値の計算
STEP1:エントリーポイントの決定
「月足の25 SMAをブレイクしたら即エントリー」するのが原則ですが(基本①)、ドル円のトレードに熱中しすぎて、そのエントリーチャンスはすでに逃してしまった後でした。
いま思えば、本件のチャートでの25 SMAブレイクは、すでに75 SMAを抜いているため障害物がなく、1.3300という水準的にも絶好のエントリーポイントでした。
がしかし、エントリーできなかったものは後の祭りなので、どうしようもないです。遅ればせながら、1.2000の『節目ブレイク』のタイミングでエントリーしました。
STEP2:ストップの決定
ストップは、エントリータイミングは遅れたものの、『中長期トレードの基本ルール②』の通り、同月の月足の高値1.2100に設定しました。
月足の25 SMAは、本件は、25 SMAブレイクでエントリーしておらず、はるか上方にあるので、関係ないです。
さらに、「ECBの大規模金融緩和」に対する期待がトレードの前提ですので、それが消滅した場合も、即イグジットします。
STEP3:枚数の決定
仮にストップがついた場合、1.2100引く1.2000で、100pips分の損失となります。
当時の私のFX資金が5,000万円だったので、『中長期トレードの基本④』のとおり、最大損失がFX資金の20%、つまり1,000万円以内に収まるように枚数を決定します。
このケースでは、エントリータイミングが遅れてしまっているので、「自信はあまりない」です。ストップがつけば、仕切り直したいので、損失は控えめにしておきたいところ。なので、200枚をベットしました。
ストップ時の損失= △200pips × 120円/ドル × 200枚 = △240万円
STEP4:リミットの決定
このときは、ゴールドマンサックスの予想をはじめ、「パリティ(1.0000)到達」がコンセンサス(本命馬)となっていました。尻馬に乗って、リミットを1.0000に設定。
部分利確は想定しない、強気のホールドです。
「月足25 SMAブレイク」ではなく、「節目ブレイク」でエントリーしているので、エントリータイミングが遅く、フィボナチリトリースメントが使えないのも、部分利確ができなかった理由です。
STEP5:期待値の計算
トレードの損益の期待値を計算します。損益が確定するのは、「ストップとターゲットのいずれかに到達したとき」です。
このときは「ストップがつく確率:リミットがつく確率=70%:30%」と予想しました。
ユーロドルはピーク時から見て、すでにだいぶ下がっていましたし、ストップまで100pisとタイトだからです。
リミット時の利益 = 2,000pips × 120円/ドル × 200枚 = 4,800万円
「ストップ時の損失」については、STEP3ですでに計算していますので、これらを確率と積算してから足し合わせると、期待値が求まります。
仮に期待値がマイナスになった場合には、トレードを実行すべきではありません。期待値が小さい場合は、他のトレード案の期待値と比較して、より有利なトレード案を実行します。FX資金には限りがあるからです。
本ケースの期待値は、必要証拠金1,200万円に対して、期待値1,272万円ですから、非常に有望な案件といえます。実行です。
STEP6:結果とふりかえり
ホールドしきれず、途中退出してしまいました。
2017年5月に、月足 25 SMAを実体で抜けて来ているので、その時点でイグジットするのが基本ルール通りのトレードです。その時のレートは、1.1200付近。
実際には、最初に1.0470まで突っ込んだあとに、1.1000への初戻しした時点(2017年2月)で、すべて利食いしてしまいました。
あまりにも急激な戻しに動揺してしまったからです。結果の損益だけ見れば、基本ルールどおりにトレードした場合よりも、利益が大きかったのです。
がしかし、FXは結果より行動で評価すべきです。
なぜなら、「結果良ければすべて良し」というふうに考えると、少しずつリスキーなトレードに手を染めるようになり、結局は破滅を招くからです。
『中長期トレード』をして頂くとお分かり頂けると思いますが、計画通りにトレードするのは、なかなか難しい物です。他山の石として頂ければ幸いです。
ケース3:USD/JPY相場 2012/12
USD/JPY相場 2012/12
状況:第2次安倍内閣が「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」を発表
いわゆるアベノミクス相場です。
エントリーポイントのチャート
USD/JPY 月足
(青:5 SMA 赤:25 SMA 黄:75 SMA)
USD/JPY 月足 (拡大図)
(青:5 SMA 赤:25 SMA 黄:75 SMA)
期待値の計算
STEP1:エントリーポイントの決定
このときは、「月足の25 SMAをブレイクしたら即エントリー」するのが基本ルールどおりエントリーできました。エントリー時のレートは、80.00。
2017年3月のエントリー時にはストップがついているので、再挑戦になります。
実は当時、筆者が在籍していたビジネススクールの講師に、1兆円規模のファンドマネージャーがいて、「ありったけの金でドル預金しろ」と言っていました。このとき、彼を信じてドル預金をして、家が建った同期生、多数です。
私も、彼の言葉がなければ、200枚の勝負には出なかったと思います。
実際のトレードではえてして、純粋なテクニカル以外に、こうした「きっかけ」や「後押し」があるものです。それが大勝ちにつながったり、大損につながったりします。まさに運命を感じます。
STEP2:ストップの決定
『中長期トレードの基本ルール②』の通り、同月の月足の高値77.50に設定しました。
翌月以降は月足の25 SMAをローソク実体で抜けた場合もイグジットします。
さらに、第2次安倍内閣存続がトレードの前提ですので、安倍首相が辞任したり、何らかの事情で政策を撤回した場合も、「トレードの前提」が崩れたことになりますので、即イグジットします
STEP3:枚数の決定
仮にストップがついた場合、80.00引く77.50で、250pips分の損失となります。
当時の私のFX資金が2,500万円だったので、『中長期トレードの基本⑥』に従って、最大損失がFX資金の20%、つまり500万円以内に収まるように枚数を決定します。
このケースでは、伝説のトレーダーの助言もあり、「自信あり」です。予算額いっぱいの200枚をベットしました。
ストップ時の損失= △250pips × 200枚 = △500万円
STEP4:リミットの決定
大規模緩和により前回高値の124.00円タッチがコンセンサスとなっていました。124円がターゲットです。部分利確は想定しない、強気のホールドです。
底値圏で、25 SMAをブレイクしているので、フィボナチリトリースメントが有効に使えます。50%戻しがちょうど節目の100.00円と一致しており、こちらも良い利確ポイントとなりそうです。
また、75 SMAタッチで部分利確するのも手でしょう。
STEP5:期待値の計算
トレードの損益の期待値を計算します。損益が確定するのは、「ストップとターゲットのいずれかに到達したとき」です。
このときは「ストップがつく確率:リミットがつく確率=70%:30%」と予想しました。大規模緩和とはいえ、80.00から124.00への道のりはかなり遠いように思えたからです。
リミット時の利益 = 4,400pips × 200枚 = 8,800万円
「ストップ時の損失」については、STEP3ですでに計算していますので、これらを確率と積算してから足し合わせると、期待値が求まります。
仮に期待値がマイナスになった場合には、トレードを実行すべきではありません。期待値が小さい場合は、他のトレード案の期待値と比較して、より有利なトレード案を実行します。FX資金には限りがあるからです。
本ケースの期待値は、必要証拠金1,300万円に対して、期待値2,290万円ですから、花丸付きの超有望案件といえます。実行です。
STEP6:結果とふりかえり
ホールドしきれず、105.00円近辺で途中退出してしまいました(2014年9月)。
124.00円までホールドしていれば、家が建ったのに、残念です。
105円水準のときには、「いくらなんでも、いったんは調整が入るだろう」という声が優勢的になり、調整をかわそうとして、いったんポジションを解消したところ、見事にアベノミクス相場から振り落とされてしまいました。
月足でトレードしているにも関わらず、日足の調整をかわそうとするなど、愚かな話です。
「動き出したバスから降りてはいけない」(相場格言)
『中長期トレード』をして頂くとお分かり頂けると思いますが、計画通りにトレードするのは、なかなか難しい物です。他山の石として頂ければ幸いです。
ケース4:GBP/JPY相場 2012/12
GBP/JPY相場 2012/12
状況:ポンド利上げ期待の後退
195.00円から123.00円まで下落した、ポンドの大相場の前半戦です。後半戦はブリグジット問題が原因ですが、前半戦は利上げ期待の後退によるものです。
エントリーポイントのチャート
GBP/JPY 月足
(青:5 SMA 赤:25 SMA 黄:75 SMA)
GBP/JPY 月足 (拡大図)
(青:5 SMA 赤:25 SMA 黄:75 SMA)
期待値の計算
STEP1:エントリーポイントの決定
このときは、「月足の25 SMAをブレイクしたら即エントリー」するのが基本ルールどおりエントリーできました。エントリー時のレートは、180.00。
5 SMA と 25 SMA が「デッドクロス」するタイミングと重なっており、絶好のエントリーチャンスでした。
STEP2:ストップの決定
『中長期トレードの基本ルール②』の通り、同月の月足の高値187.00に設定しました。
翌月以降は月足の25 SMAをローソク実体で抜けた場合もイグジットします。
さらに、利上げ期待の後退が「トレードの前提」ですので、BOEでタカ派が台頭し、その前提が崩れたような場合は、即イグジットします
STEP3:枚数の決定
仮にストップがついた場合、180.00引く187.00で、750pips分の損失となります。
当時の私のFX資金が5,000万円だったので、『中長期トレードの基本⑥』に従って、最大損失がFX資金の20%、つまり1,000万円以内に収まるように枚数を決定します。
このケースでは、「自信は普通」です。ストップが750pips先と、かなり遠いので、枚数は薄めに50枚をベットしました。
ストップ時の損失= △750pips × 50枚 = △350万円
ストップを遠くに置かざるえないときは、『中長期トレード』においても、強気には入りにくくなります。
STEP4:リミットの決定
フィボナチリトリースメントの50%と、レジスタンスとなる75 SMAが、157.50近辺にあるので、あまり欲張らずにそこをターゲットにしました。
STEP5:期待値の計算
トレードの損益の期待値を計算します。損益が確定するのは、「ストップとターゲットのいずれかに到達したとき」です。
このときは「ストップがつく確率:リミットがつく確率=70%:30%」と予想しました。ストップは遠目ですが、リミットも遠いので、エイヤー気味の(適当な)設定です。
リミット時の利益 = 2,250pips × 50枚 = 1,125万円
「ストップ時の損失」については、STEP3ですでに計算していますので、これらを確率と積算してから足し合わせると、期待値が求まります。
仮に期待値がマイナスになった場合には、トレードを実行すべきではありません。期待値が小さい場合は、他のトレード案の期待値と比較して、より有利なトレード案を実行します。FX資金には限りがあるからです。
本ケースの期待値は、必要証拠金550万円に対して、期待値93万円ですから、一応有望案件といえます。実行です。
STEP6:結果とふりかえり
157.50に、見事到達しました!
ポンドドル主導のポンド下げに助けられました。
本ケースのように、時間をおかずに一気に落ちてくれると、非常に助かります。長期線になればなるほど、不安になって、ストレスに耐えきれずにイグジットしてしまうものだからです。
ケース5:USD/JPY相場
USD/JPY相場 2016/12
状況:トランプ就任後の上昇再開
大統領選前に100円割れを経験して以降、停滞していたドル円ですが、トランプ大統領就任後に118円まで一気に戻しました。当時は再び130円を目指すとのコンセンサスが形成されつつありました。
エントリーポイントのチャート
USD/JPY 月足
(青:5 SMA 赤:25 SMA 黄:75 SMA)
USD/JPY 月足 (拡大図)
(青:5 SMA 赤:25 SMA 黄:75 SMA)
期待値の計算
STEP1:エントリーポイントの決定
このときは、「月足の25 SMAをブレイクしたら即エントリー」するのが基本ルールどおりエントリーできました。
エントリー時のレートは、115.50。
STEP2:ストップの決定
『中長期トレードの基本ルール②』の通り、同月の月足の安値113.00に設定しました。
翌月以降は月足の25 SMAをローソク実体で抜けた場合もイグジットします。
STEP3:枚数の決定
仮にストップがついた場合、115.00引く113.00で、250pips分の損失となります。
当時の私のFX資金が5,000万円だったので、『中長期トレードの基本④』のとおり、最大損失がFX資金の20%、つまり1,000万円以内に収まるように枚数を決定します。
このケースでは、「自信は普通」です。ストップが250pips先と、比較的近いので、枚数は200枚をベットしました。
ストップ時の損失= △250pips × 200枚 = △500万円
STEP4:リミットの決定
25 SMAの位置が悪く、前回高値の126.00をターゲットにするしかありません。全戻し、すなわち、フィボナチリトリースメント100%狙いです。
STEP5:期待値の計算
トレードの損益の期待値を計算します。損益が確定するのは、「ストップとターゲットのいずれかに到達したとき」です。
このときは「ストップがつく確率:リミットがつく確率=70%:30%」と予想しました。エントリーを後押しするサプライズはなかったので、エイヤー気味の(適当な)設定です。
リミット時の利益 = 1,050pips × 200枚 = 2,100万円
「ストップ時の損失」については、STEP3ですでに計算していますので、これらを確率と積算してから足し合わせると、期待値が求まります。
期待値がマイナスになった場合はトレードを実行すべきではありません。期待値が小さい場合は、他のトレード案の期待値と比較して、より有利なトレード案を実行します。FX資金には限りがあるからです。
本ケースの期待値は、必要証拠金1,300万円に対して、期待値280万円ですから、一応有望案件といえます。実行です。
STEP6:結果とふりかえり
翌月、あっさりストップがつきました。負けです。
25 SMAの位置が悪く、フィボナチリトリースメントが使えませんでしたし、大統領選後の材料「いったん出尽くし」の状況で深追いしたのも、結果的には無謀でした。
テクニカル的にも、ファンダメンタル的にも、タイミングがよくなかったということです。
基本ルールに従うだけでなく、「25 SMAの位置が悪い時は入らない」等のフィルタリングを加えると、勝率が上がりそうです。
ケース6:EUR/JPY相場 2017/05
EUR/JPY相場 2017/05
状況:ECB金融引き締め開始
ECBの大規模緩和でいったんは110円を割ったユーロ円ですが、ECBのテーパリング開始により、値を戻してきました。
エントリーポイントのチャート
EUR/JPY 月足
(青:5 SMA 赤:25 SMA 黄:75 SMA)
EUR/JPY 月足 (拡大図)
(青:5 SMA 赤:25 SMA 黄:75 SMA)
期待値の計算
STEP1:エントリーポイントの決定
このときは、「月足の25 SMAをブレイクしたら即エントリー」するのが基本ルールどおりエントリーできました。
エントリー時のレートは、125.00。
STEP2:ストップの決定
『中長期トレードの基本ルール②』の通り、同月の月足の安値123.00に設定しました。
翌月以降は月足の25 SMAをローソク実体で抜けた場合もイグジットします。
STEP3:枚数の決定
仮にストップがついた場合、125.00引く121.00で、400pips分の損失となります。
当時の私のFX資金が5,000万円だったので、『中長期トレードの基本④』のとおり、最大損失がFX資金の20%、つまり1,000万円以内に収まるように枚数を決定します。
このケースでは、「自信は普通」です。ストップが400pips先と、比較的遠いですが、枚数は200枚をベットしました。
ストップ時の損失= △400pips × 200枚 = △800万円
「自信は普通」としたのは、ECBのテーパリングはコンセンサスとなりつつありましたが、ドラギは「金融を引き締める」とも「引き締めない」とも、明言は避けているからです。
市場の期待先行なところがあります。
STEP4:リミットの決定
5 SMA ・ 75 SMA を上ブレイクした後で、時間をおかずに25 SMAをブレイクしています。障害物なしでの上昇を期待できます。めったにないチャンスです。
前回高値の149円を狙いたいと思います。
5 SMA ・ 25 SMA ・ 25 SMA の位地関係が良いのは、今回厚めにベットした理由でもあります。
STEP5:期待値の計算
トレードの損益の期待値を計算します。損益が確定するのは、「ストップとターゲットのいずれかに到達したとき」です。
このときは「ストップがつく確率:リミットがつく確率=70%:30%」と予想しました。エントリーを後押しするサプライズはなかったので、エイヤー気味の(適当な)設定です。
リミット時の利益 = 2,400pips × 200枚 = 4,800万円
「ストップ時の損失」については、STEP3ですでに計算していますので、これらを確率と積算してから足し合わせると、期待値が求まります。
仮に期待値がマイナスになった場合には、トレードを実行すべきではありません。期待値が小さい場合は、他のトレード案の期待値と比較して、より有利なトレード案を実行します。FX資金には限りがあるからです。
本ケースの期待値は、必要証拠金1,600万円に対して、期待値880万円ですから、かなりの有望案件といえます。実行です。
STEP6:結果とふりかえり
本稿執筆時(2017年12月)には、決着がついていません。勝負中です。
149.00も狙えそうですが、フィボナチリトリースメント61.8%に、4ヵ月間足止めされています。半分利食ってもいいかもしれません!?
ケース7:GBP/JPY相場 2017/12
GBP/JPY相場 2017/12
状況:悪材料出尽くし & ポンド利上げ期待再燃
ブリグジット問題の火は消えず、上値は重いとの見解が多数派ですが、チャート上は上昇の芽が見られます。
日本だけが異次元緩和に固執しているので、対ドル・対ユーロ・対ポンドのいずれにおいても、円安が顕著になるとの見方もあります。
エントリーポイントのチャート
GBP/JPY 月足
(青:5 SMA 赤:25 SMA 黄:75 SMA)
GBP/JPY 月足 (拡大図)
(青:5 SMA 赤:25 SMA 黄:75 SMA)
期待値の計算
STEP1:エントリーポイントの決定
「月足の25 SMAをブレイクしたら即エントリー」するのが基本ルールですが、まだエントリーしていません。
75 SMAが近いので、いっそのこと、75 SMAをブレイクするタイミングでエントリーしよう、というのが、今回のトレーディングアイディアです。
STEP2:ストップの決定
(未定)
STEP3:枚数の決定
(未定)
STEP4:リミットの決定
75 SMAをブレイクすれば、5SM ・ 25SMA ・ 75 SMA を一気にブレイクしたことになります。。障害物なしでの上昇を期待できます。めったにないチャンスです。
前回高値の195円(!)を狙いたいと思います。
ポンド円は、テクニカル的には、想像を絶する大相場となるポテンシャルを秘めています。
STEP5:期待値の計算
(未定)
STEP6:結果とふりかえり
どうなるのでしょう? 決着がつくのはオリンピック明けになるかもしれません。
長期トレードにおすすめのFX会社
ケーススタディは、これで終わりです。
月足でのトレーディングは、勝率が本当に高いのですので、ぜひ一度試してみてください!
最後に、長期トレードにおすすめのFX会社を2社だけ紹介します。
長期トレードに使うFX会社は信用性の高さが重要です。
頻繁に取引するわけではないので、スプレッドや使い勝手などは特に重要ではありません。長い時間、自分の資産とポジションを預けても安心なFX業者を選びましょう。
また、プラススワップが付くポジションを取るなら、スワップポイントの多いFX業者選んだほうが良いです。
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