空売りという言葉を覚えよう
皆様は「空売り」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
この言葉こそが、「売りから入る」ということなのです。
では早速その言葉を理解するために、下記の順番で確認をしていきましょう。
FXの「買い」と「売り」の意味
FXを始めて間もない方によくあることなのですが、取引をするうえで「安く買って高く売る」という方法、いわゆる「買い」でしか利益が上がらないと思っている人がいます。
しかしこれは間違いであり、その逆の「高いときに売って安い時に買う」ということでも利益を上げることができるのです。
これをFXの用語で「売り」と言います。
米ドル/円の「買い」とは、日本円を売って米ドルを買うこと、米ドル/円の「売り」とは、日本円を買って米ドルを売ること、です。
今後、円安で米ドル/円のレートが上昇すると思ったら「買い」、円高で米ドル/円のレートが下落すると思ったら「売り」をします。
「売り」とは借りてくること
「買い」とは逆のことができると言いましたが、はじめのうちはなかなかイメージがし難いですよね。
簡単に言ってしまえば、元々手元にない通貨を借りてきて、安くなったところを見計らって買い戻すイメージです。
下記の手順に沿って確認してみましょう。
- Aという人物が1ドル持っていたとし、Bという人物がドルを借りたいとします
- Bは1ドルを借りるが、Aに必ず1ドルで返す約束をします(1ドル100円とします)
- Bさんはその1ドルを100円に換金をします
- しばらくたつと1ドルは90円に下がりました
- Bさんはこのタイミングで1ドルを買い戻しますが、1ドル90円なので10円余ります
- Aさんに1ドルを返しますが、Bさんの手元には10円が残りました
上記の通り、この残った金額10円が利益となり、これを「売り」と言うのです。
どうですか?イメージはつきました?
FXの一般的なトレードスタイルである「空売り」
ここまでくればわかりますよね。
「空売り」とは、上記で記載した通り本来円から何かの通貨を購入するのに、ドルやユーロと言った違う通貨をあたかも持っているかの様に装い、日本円を買うことができることなのです。
これを行えれば、例えばドル円相場において円高トレンド(円の価値が上がること)だったとしても利益を上げることができるのです。
FXのトレードで利益を上げるには、安く買って高く売る「買い」だけではなく、高く売って安く買う「売る」の二つで成り立っていると言っても過言ではありません。
皆様は今後、どのタイミングで「買い」をしたほうが良いのか、もしくは「売り」をしたほうが良いのかを学習しなければならないのです。
FXではこの売りから入ることを「ショート」、買いから入ることを「ロング」とも言います。
「空売り」と「買い戻し」
FXでは、新規注文で売りのショートや買いのロングをすると、注文が約定し建玉を持ちます。
この保有している建玉のことをポジションとも言い、買いのポジションのことをロングポジション、売りのポジションのことをショートポジションと言います。
「空売り」したショートポジションは決済することで初めて利益や損失を確定します。
この売りポジションの決済のことを「買い戻し」と言います。
FXの空売りに期限はない
株や先物、CFDでは限月という決済期限が決められているため、空売りに期限があります。
ですが、FXの空売りには期限がないので、売りポジションはいつまでも好きなだけ保有していることができます。
「売り」から入ることへのデメリット
上記の内容で「売り」についてはご理解いただけたでしょう。
しかし、買いとは違い売りにはデメリットも存在するのです。
それはスワップポイント(金利差)というものがあるからなのです。
では一体スワップポイントとは何なのか手順を追って確認しましょう。
スワップポイント(金利差)とは
スワップポイントとは、簡単に言ってしまえば各国で設定をされている通貨に対する金利のことです。
これは各国独自に設定をされているため、金利が安い国もあれば高い国もあります。
この時、金利の低い国の通貨を使って、金利の高い国の通貨を購入すると、金利の差を受け取ることができるのです。
その逆の場合は、金利差を払わねばならないのです。
これをスワップポイントと言います。
なぜ「売り」から入るとデメリットがあるのか
上記でも説明をした通り、売りとはドルで日本円を買っているようなものです。
現在日本の金利は他国に比べて安いです。
そのため、金利の高い国から金利の安い国の通貨を買う行為となりますので、金利を払わなくてはならないのです。
これが、売りから入るときのデメリットとなります。
また、長期間売りのポジションを継続していると、その分金利差を払わなくてはならず、たとえ「1ドル100円で売り1ドル99円で買い戻して利益を得る」としても、金利差の額が大きければ総合的にはマイナスの収支になってしまうのです。
ですので売りから入る場合は、そういう部分も考慮しつつ入る必要があるのです。
これは各国の金利差によるものなので、通貨ペアによっては買いポジションを持ったけどマイナススワップがつくということもあります。
売りポジションにマイナススワップが付くというのは、あくまで日本円と他国通貨のペアの場合で、それは低金利の日本円よりも他国通貨のほうが金利が高いからなのです。
すべての通貨ペアが、売りでマイナススワップとはならない点には留意しておいてください。
まとめ
これで「売り」に関してイメージが持てたのではないでしょうか。
今回お伝えさせていただきました内容は、FXを行う上での基本中の基本になります。
- 「買い」と「売り」の違い
- 「売り」のシステム
- 「売り」によるデメリット
上記に関しては、今後もいやというほど出てくる内容となるので、早急に覚えてしまいましょう。
相場には上昇トレンドがあれば下降トレンドもあります。
どちらのトレンドにも対応する最善の手段は、買いと売り両方のエントリーを使い分けることなのです。