FX(外国為替証拠金取引)では、ポジションという言葉がよく使われます。
ポジションとは、あなたが保有する外貨資産のことを指します。建玉とも言います。
FXでは買いの建玉も売りの建玉も持つことができます。新規買いも新規空売りもできるということですね。
ここで鋭い人は「買いから入る」のと「売りから入る」のはどちらが稼ぎやすいのかという疑問も湧いてくるかもしれません。
今回は、FXの基本である「ポジション」「決済」「ロング」「ショート」について解説します。
FXの基本「ポジション」と「決済」
ポジションとは
冒頭で説明しましたが、ポジションとはあなたが保有する外貨資産のことです。
新規にポジションを取ることを、「ポジションを建てる」や「ポジションを持つ」と言います。
もし、あなたが米ドル/円を1万通貨購入したら、現在のポジションは「米ドル/円の買いを1万通貨」ということになります。
例えばDMM FXで買いポジションを1万通貨(1Lot)持つと次のように表示されます。
また通貨の金利差から発生する「スワップポイント」はこのポジションを保有した期間に応じて付与されます。
決済とは
ポジションは保有していると、為替レートの変動と一緒に損益も変動します。
利益や損失はポジションを決済することで初めて確定されます。
決済をしなければ、例えどれだけ含み損が膨らんでも確定損とはなりません。
ただし、含み損が膨らみ、証拠金維持率が一定以下になると「ロスカット」が執行され、ポジションの強制決済が行われるので注意しましょう。
ポジションの保有期間はいつまでか
株の信用取引や商品先物の経験がある人は、FXのポジションの保有期間・限月がいつまでか気になるかもしれません。
株の制度信用取引では最大6ヶ月、 商品先物では最大1年までと保有期間が決められています。 そのため、その期間を超えてポジションを保有したい場合は一度決済した後、再度注文を行わなくてはいけません。(ロールオーバー)
FXの場合は、保有するポジションが自動的にロールオーバーされるので保有期間はありません。
買いポジション(ロング)と売りポジション(ショート)
ロング・ショートの意味と仕組み
ポジションには、「ロングポジション」と「ショートポジション」の2つがあります。
ロング(Long)は買い、ショート(Short)は売りを意味します。その頭文字をとって「Lする」「Sする」という言葉もよく使うので覚えておきましょう。
FXでは、買いから入るだけでなく、売りから入ることもできます。
米ドル/円の新規買い注文を出して約定すれば「買いポジション」、米ドル/円の新規売り注文を出して約定すれば「売りポジション」があなたの保有ポジション一覧に追加されます。
また、FXでは同じ通貨ペアで同時に買いと売り両方のポジションを保有することができます。これを両建てと言います。
参考記事FX両建てナンピン必勝法は嘘!両建てにメリットや意味がない理由
買い戻しを意味するショートカバー
空売りを買い戻す反対売買のことを「ショートカバー」と言います。
相場の状況によっては、相場全体が買いポジションに大きく偏る、売りポジションに大きく偏るといったこともよくあります。
市場参加者のポジションがどちらかに大きく偏った場合は、その偏りを是正するように相場が動くことが多々起こります。
特に投機筋などの大口のショートカバーは相場の流れを変える可能性もあるため、余裕のある人は現在空売りのポジションがどれだけ溜まっているのかを確認しておいた方が良いでしょう。
参考記事【保存版】FXのポジション・売買比率を公開してるサイトと正しい使い方
ショートカバーが続くと相場は反対売買の買いで上昇を続けます。
その上昇トレンドの最中で空売りを持っていた人は含み損に耐えきれなくなり、買い戻しをすることでさらに相場が上昇する「踏み上げ」という状態になることもあります。
ロングとショートどっちが有利でどっちが難しいか
トレンド相場には上昇トレンドと下落トレンドの2種類があります。
一般的に相場は「上昇は時間をかけてゆっくり上がる、下落は一瞬で一気に下がる」傾向があると言われています。
上昇相場で売りを入れると、じわじわと長時間かけて担がれて精神的にも資金的にも辛くなります。
下落相場で買いを入れると、あっという間に含み損がとんでもない額まで膨れ上がります。
上昇より下落の方が早い理由は、下落相場では売りが売りを呼びパニックを引き起こすためです。
しかし、どちらの相場でもトレンドが強く出ている間は上昇・下落の勢いは強く、もう一方の流れは弱くなります。
どちらが有利ということはなく、基本的にトレンドフォローすることを心がけておけば利益を出しやすくなります。
- ドル円・クロス円の買いはスワップポイントが貰える
- ドル円・クロス円の買いはスワップポイントを支払う
- 上昇相場は時間をかけて上がる
- 下落相場は下げるスピードが早い
資金に対するポジション量の決め方
では、どれくらいのポジション量を持つのが最適なのでしょうか。
これは結論を言うと、自分がどれだけの損失を許容できるかに左右されます。
自分にとって許容できる損失額を考える
例えば100万を元手に取引を行いたいと考えたとします。この時に、大まかな許容損失額を自分なりに設定して見ましょう。
そこで許容できる損失額は、人それぞれ基準も異なります。
このように許容量に応じて、適切なポジション量も変わってきます。
許容損失額から最適なポジション量を考える
FXでは、ポジション量はリスクと比例する事だけは間違いありません。多くのポジションを保有しますと、それに応じてリスクも高くなってくるのです。
ですから1万通貨での売買となると、当然1,000通貨と比べればリスクは高くなってきます。もちろんリターンも大きくなりますが、やはりリスクがある点は要注意です。
という金額ですと、あまりポジション量を大きくする事はできません。多くても3万通貨くらいが1つの目安になってきます。
外貨は、1日に1円くらい動く事はよくあります。
仮に午前中のレートが1ドル100円でも、夜には99円になる事もよくあります。それで1万通貨の売買をした時は、最大1万円の損失が考えられる訳です。
仮にそれでデイトレードで売買をする場合は、3万円の許容額ならば、最大3万通貨という計算になるでしょう。
もちろん10万円までの損を許容できるなら、最大10万通貨でのトレードという事になります。
このように最適ボジション量は、それぞれの許容額に左右されます。
長期取引の場合も許容損失額を元にポジション量を考える
ただし上記で触れたのは、あくまでもデイトレードで売買をする時の話です。現実には、もっと長期間の売買をする事もあり得ます。
1年や数年などの長い期間を前提に、売買を検討する事も珍しくありません。そういう時も、発生し得る最大の損失額を考慮する必要があります。
1年ほどの期間ですと、20円くらい下がる事もあり得るのです。ですから起こり得る最大の損失額は、1万通貨なら20万円になるでしょう。
この場合、上記の2名はどちらもポジション量を1万枚以上にする事はできません。3万円や10万円という損失基準を、大幅に上回っているからです。
逆にポジション量を1,000通貨にすれば、特に問題はありません。たとえ20円下がったとしても、最大損失は2万円になるからです。
人により最適なポジション量も異なる
しかし人によっては、最大30万の損失でも許容できると考えてる人もいます。
もしくは元手が100万円などでなく、10万円しかないという場合もありえます。
つまりFXのトレードに対する考え方の基準も、人それぞれ異なるのです。ですから結局は、最適ポジション量は「その人次第」と言える訳です。