この記事では、ストキャスティクス・スローストキャスティクスの使い方や手法をFX歴10年の専業トレーダーが解説します。
その他のテクニカル指標については次の記事で解説しています。
テクニカル分析の種類・基本編|FXチャート・為替レートの見方まとめ
ストキャスティクス・スローストキャスティクスとは
スローストキャスティクスは主に売られ過ぎや買われ過ぎを表し相場の転換点などを知る為に使われるオシレーター系テクニカル指標です。
スローストキャスティクスの中には、ファストストキャスティクスと言うラインもあり、通常はそちらがストキャスティクスと呼ばれています。
ただ、このストキャスティクスはラインがジグザグしすぎて参考にしづらいため、一般的に分析に使われるのはスローストキャスティクスの方です。
ストキャスティクスは、%Kと%Dの2本のラインで表示され、メモリは通常0~100の間で表示されます。
%Kのラインは、パラメータ(=ローソク足の本数)分の最高値と最安値の中で現在値のレベルを表示するものとなり、最高値に近ければ100に近い値、最安値に近ければ0に近い値となります。
%Dのラインは、%Kをパラメータ分の平均値で表示したものです。
%K=(今日の終値-過去n日間の最安値)/(過去n日間の最高値-過去n日間の最安値)
%D=(n日間ストキャスティックスの分子のm日移動平均)/(n日間ストキャスティックスの分母のm日移動平均)
最後に改めてスローストキャスティクスについてですが、これは%Dと%SD(%スローD)の2本のラインで表示されます。
%SDとは、パラメータ分の%Dの平均値を表示したものです。
つまり、スローストキャスティクスはストキャスティクスを平滑化したものと言うことがわかりますね。
スローストキャスティクスの売買シグナル
売買シグナル
スローストキャスティクスは他のオシレーター系テクニカル指標と同じ様に、数値が高ければ買われ過ぎと判断され売り、数値が低いと売られ過ぎと判断され買いとなります。
具体的には、80以上のデッドクロスで売り、20以下のゴールデンクロスで買いと言う使い方が一般的です。
FX・株のゴールデンクロスとデッドクロス|見方や設定・だまし回避の方法
少しわかりにくいかもしれませんが、スローストキャスティクスのメモリ80にピンク色、20に水色の水平ラインを引いています。
ショートポイント(売り)は赤丸印、ロングポイント(買い)は青丸印となります。
この様にスローストキャスティクスは、
- 80以上20以下の範囲
- %Dと%SDのゴールデンクロス・デッドクロスでエントリー
することで、勝率を上げ損失を限定的にできるテクニカル指標です。
しかし、そのルールでエントリーしてもストップにかかってしまうことがあるため、もう少しこのスローストキャスティクスのメリットとデメリットを知っていきましょう。
スローストキャスティクスのメリット
- エントリーポイントがわかりやすい
- ダイバージェンスにも利用できる
スローストキャスティクスのメリットは、エントリーポイントがわかりやすい点です。
80より上、20より下のクロスでエントリーというのは、とてもわかりやすいエントリーポイントです。
スローストキャスティクスは性質上、逆張りや反転時をとらえやすいところからレンジ相場に適していると言えます。
為替相場は、トレンドが出た後や相場が大きく動いた後はレンジ相場になりやすい傾向があり、また相場の7割程度はレンジ相場とも言われています。
スローストキャスティクスの80以上や20以下のエリアに入ったところから、ローソク足の動きを見てレンジ相場に入る目安になりそうな値を判別すれば、とても勝ちやすくなります。
また、相場の反転シグナルとして利用されるダイバージェンスのエントリーも有効です。
上のチャートだと、実際のレートは高値切り上げ、オシレーターであるストキャスティクスは高値切り下げのダイバージェンスが確認できていますね。
ダイバージェンスについては、RSIの記事で詳しく解説しています。
スローストキャスティクスのデメリット
- 反応が遅い
- 強いトレンドが出ている場合、上端・下端に張り付いて逆張りでは使えない
デメリットとして一番に挙げられるのは反応が遅い点です。
反応が遅いためスキャルピングには向かない
青丸印の中は、ローソク足で見ると下ヒゲから反転と思えるレベルまで戻っていますが、その時点でのストキャスティクスはメモリ20くらいのところでデッドクロスしたままになっています。
メリットとして逆張りや反転がわかりやすいと言う反面、この様に反応が遅くなるのです。
オシレーター系は全般的に逆張りのサインとしてわかりやすいので、スローストキャスティクスもスキャルピングに利用したいと思う人が多いのですが、設定をどれだけ変えても、やはりサインの出としては遅くなってしまいます。
そのためオシレーター系で逆張りスキャルピングをしたいのであれば、RSIやRCIを使った方が天井・底を狙いやすいです。
余談ですが、このチャートの場面はとても興味深い状態です。スローストキャスティクスが反応していないのにローソク足が2本とも陽線となっているのはただの戻りかもしれません。
またショート方向にトレンドが出る、または大きく動くかもしれないので注目するべき局面であると言えます。
強いトレンドが出ていると上端・下端に張り付く
もう一つのデメリットとして、トレンドが続くと、使っている時間足によってはラインが上下端のどちらかに張り付いてしまい動きをとらえづらくなること(赤丸印)です。
オシレーター系全般の弱点として、相場の加熱時に安易に逆張りをすると、利益が出ずに損切りさせられることが多々あります。
おすすめのパラメータ設定期間
私はストキャスティクスを5年ほど愛用して表示していましたが、設定期間はデフォルトの期間(K=14、日=3、Smooth=3)を利用していました。
この設定が一番バランスが良いと感じます。
基本的にはどこの業者のチャートを利用しても、同じ設定になっていることがほとんどですので、気にせずそのまま使用すれば問題ありません。
他のテクニカル指標と組み合わせて有効に使う
ボリンジャーバンドとの組み合わせで逆張り狙い
この組み合わせの考え方としては
- ボリンジャーバンドの上下どちらかのライン越え
- スローストキャスティクスの80以上または20以下
- 2.の条件でのスローストキャスティクスのラインのクロス
を確認し、この3つの条件が揃った時に逆張りです。(赤丸印と青丸印は3つの条件の揃ったポイント)
ボリンジャーバンド、スローストキャスティクス共に逆張りに強いテクニカル指標ですので、それぞれの長所を生かした組み合わせです。
そしてこの組み合わせによって、より多くのエントリー理由が出来る事でエントリーするべき時にエントリーができるものと考えます。
RSIとの組み合わせで逆張り狙い
RSIの70か30のタッチとスローストキャスティクスのクロスでエントリーする方法です。
赤丸印はスローストキャスティクスのダイバージェンスが確認でき、かつRSIが30にタッチした部分です。今回はクロスと同じ様な変化とRSI30タッチで結果的に変化している事から載せてみました。
このRSIとの組み合わせは、実際運用してみるとタイムラグがありクセのある使い方になってしまいますが、うまく使えれば大きめの利益が期待できます。