FXを始めたばかりの人は「FXには何か裏技、必勝法があるのではないか?」と必ず考えます。
私も最初はそうで、窓埋めや勝率の高い時間帯などをエクセルでひたすらデータ検証しました。
しかし10年以上FXをしてきた結論として、普通のFXトレードに一発逆転の裏技や必勝法はありません。
ただ、大逆転はできないまでも、コツコツと着実に資産を増やしていく必勝法がFXにはあるのです。
出典元:LIAR GAME コミック (ヤングジャンプコミックス)
この記事では、私が知っている必勝法、巷で噂されている必勝法、それらの全てを書いていきます。
初心者でもできる可能性の高いFX必勝法
スワップポイントのアービトラージ(鞘取り)
FXでできる必勝法で一番間違いがないのは「スワップポイントのアービトラージ」です。
- ほぼノーリスクで2〜4%ほどのリターンを得られる
- 資金1,000万円あれば年間20〜40万円ほどの利益
- まとまった金額の資金が無いとあまり旨味がない
FXでは毎日ポジションを保有しているだけで金利差が受け取れるスワップポイントというシステムがあります。
ここではスワップポイントの詳しい説明はしませんので、詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。
スワップポイントとは?FXで毎日スワップポイントをもらって金利生活する方法
スワップポイントは各FX業者によって貰える金額が異なります。
つまり、買スワップの大きいFX業者で買いポジション、売りスワップの少ないFX業者で売りポジションを同額もてば、買いと売りのスワップ差額が丸々利益になるということです。
これでどれくらい利益が出るのか見てみましょう。
「ヒロセ通商」のNZドル円の買いスワップは60円固定です。
「SBI FXトレード」のNZドル円の売りスワップは平均41円です。
「ヒロセ通商」でNZドル円の買い、「SBI FXトレード」でNZドル円の売りを持てば、1万通貨ごとに毎日約19円がほぼ確実に入ってくるんです!
利回りとしては、2〜4%ほどをほぼノーリスクで得ることができます。
ポジションは業者間で両建て状態になっているので、どれだけレートが上がり下がりしても損益は固定されます。
つまり、損する要素がほぼほぼ無いのです。
ただし、この方法ではまとまった資金が無いとあまり旨味がありません。
安定して狙えるリターンは年利2〜4%ほどです。
FXで積極的にトレードをする人は月利10%も十分に狙えるので、通常の取引利益と比べるとリターンは少なくなります。
また、証拠金が少ないと含み損が増えている方だけロスカットされてしまう恐れがあるので、証拠金に余裕を持つ、もしくは一旦全決済してポジションを取り直す必要があります。
スワップアービトラージの具体的なやり方については、「FXの必勝法!スワップポイントの業者間アービトラージ手法はいくら儲かる?」で詳しく解説しています。
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FXのサヤ取りは必勝法だ!スワップポイントの業者間アービトラージ手法はいくら儲かる?
はじネコ高金利通貨のスワップだけコツコツ貯めたいんですが、塩漬けのポジションを抱えるのが怖いんです。 西畠じゃあ、為替損益をゼロにしてスワップだけ受け取る「アービトラ…
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ノーリスクのキャッシュバックキャンペーン
FX会社には、口座開設や取引でお金が貰えるキャンペーンを実施しているところがあります。
特に口座開設や入金のみが条件のキャンペーンは完全にノーリスクなので、必勝法と言っていいでしょう。
ただ、金額が小さいのでFXを始める方のお試し資金にするくらいがいいかもしれません。
FX会社 | 条件 | 金額 | 最低初回入金額 |
---|---|---|---|
公式HPへ | ログイン | 500円 | 0円 |
公式HPへ | ログイン | 1,000円 | 0円 |
公式HPへ | 入金 | 2,000円 | 20万円 |
公式HPへ | 入金 | 500円 | 10万円 |
公式HPへ | 1Lot取引 | 4,000円 | 0円 |
FX業者のキャッシュバックキャンペーンは次の記事でまとめています。
低レバレッジで積立する無限ナンピン
通常のFXトレードで無計画なナンピンは推奨しません。ロスカットされる可能性が高まるからです。
ただ、ロスカットされないという前提があるなら、無限ナンピンはかなり必勝法に近い存在です。
なぜならFXは大きく上がったり、下がったりを繰り返しながら最終的にはある程度のところまで戻ってくる可能性が高いからです。
- レバレッジ1倍〜3倍を維持して無限ナンピンをすれば安定感はかなり高い
- ナンピンすることで取得為替レートを平均化することができる
- 豪ドルやNZドル、高金利通貨の買いならスワップポイントも結構もらえる
- レバレッジをあまりかけないので、まとまった資金がないと利益も小さい
では、なぜ為替レートは上がっても下がっても戻ってくるのでしょうか?
FXは通貨同士の取引なので、国自体の信用がガタ落ちして戻ってこれないような状況にならない限り、売られ過ぎ、買われ過ぎはいずれ是正されるという考えです。
例えば、ドル円の場合、直近10年の為替変動は「124円 → 75円 → 127円」と往復していることがわかります。
仮に天井圏で掴んでしまったとしても、為替レートが下がったところで積立して平均単価を下げていけば、最初に買いポジションを持ったレートに戻ることにはかなりの含み益が出ていることになるでしょう。
ただし、これはかなり長期の目で見た投資になりますし、レバレッジもかなり低く抑える必要があるため、外貨預金に近い運用方法になります。
また、トルコリラやメキシコペソなど高金利なエマージェンシー通貨は米ドルや日本円、ユーロといったメジャー通貨と比べると危険性が高いため、下落してもなかなか戻らないということもありえます。
見事に右肩下がりで、長期だとどこで買っても損をしていることがわかります。
しかし、トルコリラの場合は金利が高く、スワップポイントがかなり多くもらえるので、レバレッジ管理をしっかりして積立していれば、相場が反転した時に利益が出る可能性は高いです。
このように、勝てる可能性が高い低レバレッジ運用であっても、投資する対象の国や通貨の情報は最低限調べてから始めるようにしましょう。
FXでレバレッジ1倍の長期運用!低リスクで安全な資産運用に最適な理由
また、自動的に通貨を積み立ててくれる「積立FX」というサービスもあるので、長期運用でほったらかしにしたい人はそちらが精神的にも良いかもしれません。
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「積立FX」を辛口評価
積立FXは、外貨預金よりも圧倒的に安いコストで定期的に外貨購入ができるサービスです。 特に高金利のトルコリラを積立すると、レバレッジなしでも年利10%弱、レバレッジ2倍で年…
開いた窓は絶対閉じる窓埋め手法
FXで昔からよく言われる「埋めない窓はない。開いた窓は絶対に閉じる。」という値動きを狙った手法です。
窓とは、取引終了時間の終値と取引開始時間の始値でレートにギャップができることを言います。
FXは、土日は主要市場が休みなので取引ができませんが、その間も中東市場は開いているため、何か突発的な発表があった場合に金曜日の終値と月曜日の始値では違うレートになっていることがあるのです。
FXは土日が休み!覚えておくべき取引時間や週末リスクなどまとめ
窓埋め手法とは、この開いた窓分のレート差を狙ったトレードのことです。
昔から言われるだけあって、確かにこの窓埋めトレードは勝率が高いと思います。
ただ、この窓埋め手法は必勝ではありません。
実際にこの窓埋めを過去10年以上に渡ってデータ検証したことがありますが、窓を埋めるまでに何年もかかるということが少なからずありました。
当然その期間はかなり大きな含み損を抱えることになり、何も考えずに「埋めない窓はない」とトレードしていると、そのままロスカットされてしまう可能性が非常に高いです。
この手法に関しては、初心者はむやみに手を出さずトレードルールがしっかり決められるようになってから利用すると良いでしょう。
やらない方がいい、もう今は困難な必勝法
雇用統計などの経済指標必勝法はリスクが高い
米国雇用統計などの重要な経済指標は発表前後に大きな値動きが発生します。この値動きを利用した必勝法と言われるものを紹介します。
後ほど説明しますが、この手法は現在はあまり通用しないため必勝法とは言えません。
手順としては以下のようなものです。
- 指標発表前に買いと売りの両方のポジションを持つ。(両建て状態にする)
- どちらも今のレートより少し上、少し下に逆指値(ストップ)を入れる。
- 発表後に一方的に大きく動いたらどちらかが損切りになるが、残った片方が大きな利益になる。
文章ではわかりづらいかもしれないので、画像で説明すると次のような感じです。
注意点として、値動きの荒い指標発表時には逆に進んだポジションが逆指値を超えて大きくマイナスになってしまう可能性もあるので、ゼロカットのある海外FX口座を利用することが多いです。
また、やっていることは上記とほとんど変わりませんが、両建て状態ではなく遠くに指値で新規注文をいれておく方法もあります。
- 指標発表前に現レートから少し離れたところに、買いと売り両方の指値を入れておく。
- 発表後に一方的に大きく動いたらどちらかの指値が通りポジションが保有される。
- 刺さらなかったもう片方の指値はキャンセルする。
以前は確かにこの手法が有効なこともありました。
しかし、現在は経済指標発表前後に大きく乱高下することが多いので、上のストップも下のストップも狩って損しか残らない可能性が高いです。
現在でも有効な指標発表時の手法は、指標発表後の「倍返し」や「全戻し」を狙った方法です。
この手法については「雇用統計発表で稼ぐトレード手法!FXの祭りを攻略する必勝法とは」で詳しく解説しています。
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雇用統計発表で稼ぐトレード手法!FXの祭りを攻略する必勝法とは
雇用統計とは、米国の「非農業部門雇用者数」の通称です。 原則として、毎月第1金曜日の日本時間21:30(または22:30)に発表されます。 為替相場に影響を与える各国の経済指標の…
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両建てナンピンやマーチンゲールはそもそも必勝法ではない
一部のサイトでは、両建てとナンピンを組み合わせた手法が必勝法と紹介されていることもありますが、そんなことはありえません。
両建てナンピン手法の内容は、
- 買いポジションと売りポジションを持つ
- 100pips下がったら買いポジションを追加する
- 100pips上がったら追加した買いポジションを利食いする
- これを繰り返す
といったような感じで、やっていることはリピート系の自動売買と大差ないですね。
リピート系自動売買は外為オンラインの「iサイクル注文」やアイネット証券の「ループイフダン」、M2Jの「トラリピ」などがありますが、当然どれも必勝ではありません。
基本的に両建ては損失や利益を固定して、頭をクールダウンさせるために利用されます。
もしくは、相場の上手な人が「上昇相場の中の下落調整も狙う」というような売りも買いも取るという使われ方をします。
一般的に紹介されている両建てナンピンのような機械的な手法で両建てを使用する意味はないと言えます。
FX両建てナンピン必勝法は嘘!両建てにメリットや意味がない理由
また、マーチンゲールとは、失敗したら勝つまで倍がけするというものですが、これも当然ダメです。
例えば次のような形ですね。
- 最初は1万通貨でトレードする
- 損切りになったら2万通貨でトレードする
- また損切りになったら4万通貨でトレードする
- 勝つまで倍がけを繰り返し、勝ったら最初に戻る
これで勝てるのは資金が無限にある人だけです。
それ以外は、ハイリスク・ローリターンでいずれ破産する方法になってしまいます。
FX業者の配信レートのズレを狙う
これは必勝法に近いですが、実行するのは困難です。
まだFXのシステムが今ほど整っていなかった2011年頃までは実際にできましたし、これで稼いだこともありました。
ある業者で表示されているレートが、他の業者よりも遅れている、あるいは止まっている間に後出しでポジションを持つという方法です。
まるで未来予知をしているかのように簡単に儲かりましたが、現在はこのようなレートの遅れはまず約定しないでしょうし、明らかなズレは過去を遡って取消をされるだけでしょう。
また、最近では仮想通貨で各取引所間でのレート差を利用した鞘取りが少し話題になりましたが、これも現在ではなかなか難しくなっています。
まとめ
トレードにあまり興味がない人でローリターンの資産運用をしたい人には、記事内で紹介した「スワップアービトラージ」や「低レバレッジ積立」はぴったりハマると思います。
FXトレーダーとして目指すべきは、日々、切磋琢磨して少しでもリスクとリターンの比率を良くしてトレード成績を向上させることです。
FXではリスクを支払ったぶんだけリターンがあると考えて、その比率を少しでも良くできるようにしていくことが、長い目で見た必勝法になるでしょう。