ふるさと納税は、最終的に自己負担2,000円だけで、豪華な返礼品をゲットできることからとても人気の制度です。
FX・株取引・先物オプション・CFD・仮想通貨などであげた臨時収入を「ふるさと納税」に充てている人も多いのではないでしょうか?
ふるさと納税は、簡単に説明すると次の3つの特徴を持つ制度です。
ふるさと納税の特徴
- 地方活性を目的とした制度
- 「寄付とお礼の仕組み」と「寄付をすれば減税してくれる法律」の組み合わせ
- 自治体からみれば「税収」、個人から見れば「寄付」
一旦は自分のお財布から寄付をするのですが、国が控除という形で「寄付金ー自己負担2,000千円」を戻してくれるという仕組みなんですね。
寄付をするとその自治体が地元の特産品などを「お礼の品(返礼品)」として送ってくれることも楽しみの一つで、どちらかというとこちらをメインで利用している人が多いと思われます。
ワンストップ特例制度を使えば、面倒な確定申告も不要です。
ただ、このとってもお得な「ふるさと納税」は、実は2018年からの制度改正の動きによって、以前よりそのメリットが薄れつつあるのが現状です。このことについては後ほど触れます。
しかし、「自治体への寄付」「お礼の品」「減税」が魅力的な制度に変わりはありませんので、これから「ふるさと納税」をしたい人のために、この記事で詳しく活用方法を解説していきたいと思います!
投資利益をふるさと納税して節税するメリット2つ
まず、ふるさと納税のメリットは次の2つです。
- 特産品などのお礼の品がもらえる
- 年間自己負担2,000円だけで寄付金が戻ってくる
お礼の品(返礼品)が充実
もらえる返礼品は主に以下のものです。食品が多いのですがとても充実していますね。
肉・米・パン・果物類・魚介類・野菜類・卵・お酒・飲料類・お菓子・加工品・麺類・調味料・油・鍋セット・旅行・チケット・雑貨・日用品・美容・ファッション・工芸品・装飾品・感謝状
自己負担2,000円で全額控除が受けられる
ふるさと納税は、自己負担2,000円で全額控除が受けられるため、FXや株取引の利益にかかる所得税・住民税を節税できます。控除のイメージは以下の図の通りです。
出典:総務省
つまり…
「寄付金・自己負担2,000円(損失) → お礼の品・控除(利益)」
という図式なので、実は損得で考えた場合、
「年間2,000円の自己負担だけでお礼の品がたくさんもらえる」
ということをしているに過ぎません。
(自己負担額は、1件あたり2,000円ではなく年間に何件応募しても2,000円です)
例えば、年間100万円のFXの所得があったとして、1万円ふるさと納税をしたケースとしないケースを比較すると、損得の考え方はおおよそ次のようなイメージとなります。
(FXの税率は、所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%を合わせて20.315%です)
ふるさと納税をしないケース
- FXの所得:100万円
- 納税額:約20万円
- 利益:約80万円
ふるさと納税をしたケース
- FXの所得:100万円ーふるさと納税1万円=99万円
- 納税額:約20万円ー寄付金控除額8千円=19万2千円
- 利益:79万8千円+お礼の品
FXの利益で1万円のふるさと納税をした場合、「お礼の品がもらえる」「確定申告をすることで8千円が控除される」ので、寄付金の金額に応じてFXの節税対策ができますが、「そもそも寄付をしている」「自己負担2,000円がある」ため、決して利益が増えるわけではありません。
ただし、結果的に利益は2,000円(損失)の負担だけで、代わりにお礼の品(利益)を得ることができるので、いかに返礼品の豪華な自治体へ寄付できるかによってお得感は変わってきます。
人気の返礼品を扱う自治体はすぐに品切れ状態になるので、後述するポータルサイトを小まめにチェックしておくと良いでしょう。
ふるさと納税の控除の内訳
具体的な控除の内訳は以下の通りです。
ふるさと納税の控除額=
①所得税からの控除額+②住民税基本分からの控除額+③住民税特例分からの控除額
基本的に控除は「所得税から還付」と「住民税から減額」です。
住民税には基本分と特例分という2種類の控除枠に分けられています。
また確定申告した年の分の住民税は翌年に支払いをするため、還付ではなく請求金額の減額という形での控除となります。
つまり「控除の全額が銀行口座に振り込まれる訳ではない」とだけ覚えておけば大丈夫です。
また、各項目の詳細な計算式は以下の通り少し複雑ですが、考え方は単純で「ふるさと納税額ー自己負担額2,000円」の控除額を、所得税・住民税ごと決められた割合で振り分けているだけです。
①所得税からの控除額=
(ふるさと納税額-2,000円)× 所得税率 ×復興税率2.1%
②住民税(基本分)からの控除額=
(ふるさと納税額-2,000円)×10%
③住民税(特例分)からの控除額=
(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%-所得税率×復興税率2.1% ※)
※③の復興税率は1+0.021を乗じます。
ふるさと納税の注意点(控除金額上限)
ふるさと納税を活用する上で、次の3つの点には注意してください。
- 控除される金額には上限がある
- 確定申告時に用意する書類
- 総務省によるふるさと納税への規制が厳しい
控除される金額には上限がある
ふるさと納税で控除される金額には上限があります。
この限度額の話は少しわかりずらいので、最初に全体的なイメージとポイントを解説します。
まず、(極端な話ですが)もし限度額がなければ資金をふるさと納税で回すことによって、しばらくは返礼品だけで生活できてしまいそうです。
そのため、ふるさと納税の控除額には上限(限度額)が決められており、これを超えた分は全て「自己負担=ただの寄付」となります。
この限度額については「ふるさと納税は、いくらまでできる?」という表現をしているサイトもあり誤解が生じやすいのですが、正しくは「ふるさと納税は、いくらまで税金から控除できる?」という意味です。
前述の通り、ふるさと納税は「寄付とお礼の仕組み」と「寄付をすれば減税してくれる法律」を組み合わせた制度なので、これを「ただの寄付」として考えるのであれば、別に限度額を気にする必要はありません。
そもそも寄付なので、自治体・政党・企業など、どこにいくら寄付するかは全くの自由です。募金も同じですね。
しかし、「2千円の自己負担だけでお礼の品がもらえるお得な制度」として利用するのであれば、「ふるさと納税の申込時に、この控除の限度額上回らないかどうか」を意識することが大切です。
この限度額の考え方のポイントは以下の通りです。
控除限度額のポイント
- 基本的に、全額控除の限度額は住民税所得割額の20%
- この住民税所得割額は年の途中では確定していない
- つまり、限度額も確定しておらず、あくまで概算しかできない
- しかし、おおよその目安は分かる
- FXなどの所得を含め総所得が増えれば限度額も上がる
- 逆にFXなどの所得が減れば限度額も下がるので注意
ふるさと納税の全額控除限度額は、給与所得、不動産所得、金融商品の所得などを全て合算した総所得から算出します。
実際、ふるさと納税の申込時というのは、その時点ではまだ総所得が確定していないので、限度額はあくまで概算しかできません。
FXの損益は利確・損切り・ロスカットを繰り返す性質上、年間でかなり変動します。
FXの損益が増えれば限度額も上がりますが、損益が減れば限度額も下がってしまうので注意が必要です。
1月に100万の利益を出したとしても、いろいろあって12月には50万になっていることも考えられますよね。
このことから、所得があまり大きく変動しない給与所得だけの人よりも、投資をしている人ほど限度額はなるべく少なめに見積もってふるさと納税を利用する必要があるということです。
給与所得+FXの所得がある人は、まずは安定した給与所得だけで限度額を把握しておいたほうが無難でしょう。
限度額は住民税所得割額の20%
ここでは全額控除に必要な具体的な条件と計算式を解説します。
まず、全額控除には以下の条件が必要です。
住民税特例分の控除額 < 住民税所得割の20%以下
これを見ても「???」だと思います。
そこで、次の計算式を使えば限度額を算出できます。
全額控除限度額=
【(住民税所得割額×20%)÷(90%-所得税率×復興税率2.1%※)】+2,000円
※復興税率は1+0.021を乗じます。
こちらも「???」となると思いますが、こういうものだと思って「住民税所得割額と所得税率が分かれば、全額控除限度額は計算できる」とだけ理解すれば大丈夫です。
では、この住民税所得割額とは、いったいどのようなものでどうやって調べれば良いのでしょうか?
まず、住民税は課税所得に税率10%(市区町村民税+都道府県民税)を乗じた「所得割」と、定額5,000円程度の「均等割」の2種類があります。
この2つを合計したものを住民税と呼び、住んでいる自治体によって多少異なります。
しかし、年の途中で年間の総所得は確定していないので、住民税所得割額も当然分かりません。
そのため、収入や家族構成や大きく変わらないのであれば、過去のデータをもとに概算することができます。
過去の住民税所得割額は、毎年6月頃に配布される住民税決定通知書に記載されており、以下の図の市区町村民税と都道府県民税2つの「所得割額」の合計が住民税所得割額となります。
出典:ふるさとぷらす
これを計算で求める場合は、次の計算式を使います。
住民税所得割額=
【(前年の総所得金額等-所得控除額)】× 税率(10%)- 税額控除額
給与所得しかない人の限度額
まず、基本となる「給与所得しかない人」についてですが、実は総務省のサイトで限度額の目安表が公開されているので参考にできます。
出典:総務省
家族構成によってだいぶ違いますね。
給与所得だけの人は、給料や家族構成は年間で大きく変動することは少ないので見通しが立ちやすいと思います。
単身者の場合、年間総所得100万円につき約1万円〜1万5千円前後が控除上限になると考えて良いでしょう。
ただし、表は住宅ローン控除や医療費控除等、他の所得控除を受けていない人で計算されています。
年金収入のみの人、事業者、住宅ローン控除や医療費控除など他の控除を受けている人は計算結果が異なります。
給与所得+投資利益がある人の限度額
次に、一般的に該当者が多いと思われる「給与所得+FXの所得がある人」についてですが、こちらは先ほどの計算式を使って限度額を算出します。
式①:全額控除限度額=
【(住民税所得割額×20%)÷(90%-所得税率×復興税率2.1%※)】+2,000円
※復興税率は1+0.021を乗じます。
まず、所得税率は以下の表を参考にしてください。
出典:国税庁
次に、給与所得分の住民税所得割額は、以下の計算式で算出できます。
ただし、前述の住民税決定通知書で調べるのが手っ取り早いです。
式②:住民税所得割額(給与所得分)=
【(前年の総所得金額等-所得控除額)】× 税率(10%)- 税額控除額
国内FXの所得分の住民税所得割額の計算式は単純です。
国内FXは申告分離課税といい、一律20.315%の税率で「所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%」となっています。このうちの住民税5%とFXの所得を乗じて住民税所得割額を算出します。
式③:住民税所得割額(国内FXの所得分)=
FXの所得× 税率(5%)
あとは、式②と式③を加算して式①で限度額を算出するだけです。
ただし、式③の税率は国内FXの税率です。
以下の表のように、その他の主な金融商品の課税方式はそれぞれ異なるので注意してください。
所得区分 | 課税方式 | 税率 | |
---|---|---|---|
国内FX | 雑所得 | 分離課税 | 所得税:一律15% 復興税:一律0.315% 住民税:一律5% |
株式の譲渡所得 | |||
海外FX | 総合課税 | 所得税:累進課税5%〜45% 復興税:一律2.1% 住民税:一律10% | |
仮想通貨 |
もし、「給与所得+仮想通貨の所得がある人」「給与所得+海外FXの所得がある人」の場合は、式③は使わず式②の「前年の総所得金額等」に仮想通貨または海外FXの所得を加算して、累進課税の税率で計算しなければいけません。
もし、限度額計算方法がよく分からなければ、以下の振り分け表も参考にしてみてください。
例えば、独身で給与所得が700万円、所得税の適用税率が20%、個人住民税所得割額が367,000円の人が、FXによって100万円の利益を上げた場合は以下のように計算します。
住民税所得割額=
367,000円+(100万円×5%)=417,000円
控除限度額=
【417,000円×20%÷(90%-20%×1.021)】+2,000円=121,862円
確定申告時に用意する書類
ふるさと納税による寄附金控除を受けるためには、寄附をした翌年の3月15日までに、所轄の税務署へ確定申告が必要です。
確定申告の際には、ふるさと納税のお礼の品と一緒に届く「寄附金受領証明書」を一緒に提出する必要があるので、大切に保管しておきましょう。
また、FXで確定申告をする場合に必要なものを以下にまとめました。
結構多いので大変ですが、控除できるものはしっかり申告し、正しく納税するために準備は怠らないようにしましょう。
また、平成27年4月1日以降のふるさと納税から、給与所得だけの人が確定申告不要で控除を受けられる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」というものが利用できるようになりました。
FXやその他の金融商品で投資をしている人には関係のない話なので、覚えなくても大丈夫です。
総務省によるふるさと納税の規制が厳しい
ふるさと納税は、豪華な返礼品のおかげで瞬く間に普及することとなりましたが、今後は豪華な返礼品はなくなりつつあります。
原因は、総務省が自治体に当てた「ふるさと納税の返礼品に関する通知」の内容です。
この通知の主なポイントは、次の3つです。
- 返礼品は寄付金の3割以下にする
- お礼の品は地場産品をメインにする
- 家電・高額商品・金銭相当品は禁止
これに即座に対応している自治体もあれば、依然として対応していない自治体もあるので、高額返礼品は今のうちかもしれません。
そもそも「ふるさと納税」は、
「多くの国民が地方で生まれ教育を受け育ち進学就職を機に都会に出て納税する。その結果、都会の税収は増えるが、彼らを育んだふるさとの税収はない。そこで、都会に住んでいても自分を育てた地方(ふるさと)に自分の意思でいくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか」
という、平成19年5月の総務大臣の問題提起から始まった制度です。
その結果、自治体は税収アップのため競うかのように返礼品を充実させ、個人はその返礼品目当てに「ふるさと納税」を活用するような状況となりました。
返礼品には寄付金額の5〜6割相当以上の海外旅行・パソコン・最新家電など、その自治体に縁もゆかりもない商品が返礼品として多く扱われ、それらの自治体を一括して「ふるさと納税サービス」を提供する専用ポータルサイトは通販カタログ化した事態になったのも事実です。
これはこれで、自治体・利用者どちらにもメリットはあったのですが、ふるさと納税の本来の趣旨を逸脱しつつあるとして総務省は平成29年4月以降、自治体に以下のような通知を送り返礼品の見直し図っています。
ふるさと納税をするための3つ方法
ふるさと納税をするためには、次の3つの方法があります。
- ふるさと納税をしたい地方公共団体(自治体)の窓口で申請する
- ふるさと納税をしたい 地方公共団体(自治体)のホームページで申請する
- ふるさと納税ポータルサイトから申請する
通常は、ふるさと納税ポータルサイトを使うことが一般的です。
こちらであれば、初めに個人情報を登録しておけば、寄付のたびに入力の手間を省けますし、細かな諸手続きもサイトが代行してくれ、振込などをして返礼品を待つだけなのでとても便利です。
ただし、一部の自治体はポータルサイトに対応しておらず、窓口または自治体ホームページからの申込みが必要なところもあるので注意してください。
オススメのポータルサイト
ふるさと納税の返礼品選びに最適なポータルサイトは、以下の2つを利用すれば間違いないでしょう。
- ふるさとチョイス(ポータルサイト)
- ふるさとぷらす(ポータルサイト)
ふるさとチョイス(ポータルサイト)
ふるさとチョイスの特徴
- お礼の品、自治体、使い道から検索可能
- クレジットカード決済が可能
- お得なポイント制度が利用できる
- ふるさと納税でガバメントクラウドファンディングが利用できる
- ふるさと納税で災害支援ができる
「ふるさとチョイス」は利用率や満足度などがとても高く、お礼の品・自治体数の数もとても豊富なので最もオススメです。
お礼の品・自治体・使い道から検索が可能で、ランキング表示もされており、クレジットカード決済も可能です。
また、あらかじめ寄付だけをしておきポイントを溜めて、後からゆっくり返礼品を探すことができる「ポイント制」もとても便利です。
さらに、以下のような公共性・社会性重視の寄付を選んでダイレクトに自治体に寄付できるのもメリットです。(こちらは返礼品がありません)
ふるさとぷらす
ふるさとぷらすの特徴
- 寄付金額、返礼品カテゴリ、地域で検索可能
- ふるさとぷらす限定の返礼品がある
- クレジットカード、ペイジー、コンビニ決済が可能
「ふるさとぷらす」もふるさとチョイスと同じくらい品揃え・利便性の高いポータルサイトです。
ふるさとぷらす限定の返礼品があったり、クレジットカード決済の他にペイジー決済、コンビニ決済ができるのも便利ですね。
ふるさとぷらす限定の返礼品も時期によって異なるので、小まめにチェックしておくと良いでしょう。(記事執筆時点では全てお肉でした)