レンジ相場とは、一定の値幅を上下に行ったり来たりを繰り返している相場のことです。
相場の方向感がなく、どっちつかずの均衡状態が継続します。
トレンド相場とは、高値切り上げ(もしくは安値切り下げ)をしながら相場が上昇(もしくは下落)する相場展開のことです。
上下どちらかに向かって方向感があります。
ここでは、レンジ相場とトレンド相場の特徴や判断方法、それぞれの相場で取るべきトレード手法を解説します。
レンジ相場とは
レンジ相場は、売りと買いがどっちつかずの均衡状態で、ある一定の値幅の中で上下に動きます。この値幅は広いものや狭いものがあります。
レンジ相場の上の線をレジスタンスライン、下の線をサポートラインといいます。その範囲内で上下にレートが動いていればレンジ相場です。またはボックス相場と呼ぶこともあります。
水平線の上下ラインに合わせてレートがピッタリと行き来するとは限りません。ラインに到達する手前で引き返すこともあります。
相場はトレンド相場(上昇、下降)とレンジ相場で作られていますが、レンジ相場が約7割を占めると言われています。
しかし、レンジ相場もいずれ終わりがきます。
上下どちらかの水平線をブレイクすると均衡が崩れ、一方向に一気に動き始めます。
レンジ内でトレードをしていたトレーダーのロスカットも巻き込むので、その動きは非常に大きくなります。
レンジブレイクの判断は慎重にしなければなりません。「だまし」も頻発するので、ブレイクした時は、常に「だまし」の存在を頭に入れておく必要があります。
レンジブレイクと騙し
レンジブレイク
相場はレンジとトレンドを繰り返します。レンジの後はトレンドが発生しやすいです。
レンジでは多くの市場参加者の資金が溜まっており、その後にブレイクするのを待ち構えています。ブレイクしたら一斉にその方向に乗っていくので、トレンドが生まれやすくなっています。
たとえば、上の図のようなブレイクは、一旦ブレイク後に押し目を作ってトレンドに入るパターンです。これは理想的なレンジブレイクですが、中には押し目を作らずそのままトレンドに流れてしまうこともあります。
また上方向にブレイクするときは、上の図のようにレンジ内で安値を切り上げていくこともあります。つまり、レンジ内の中で、すでにトレンドの初動が始まっているわけなので、このような動きになります。
レンジブレイクの騙し
レンジブレイクと判断するのは大変注意が必要です。なぜなら、相場ではよく「だまし」が発生するからです。この「だまし」がクセ者です。
たとえば、以下の図を見て下さい。レンジ相場でレジスタンスラインを一度越えたので、上方向にブレイクすると思いきや、また中にくぐって結局下方向へブレイクしたパターンです。
これも実際の相場ではよく起こります。つまり一度レジスタンスラインを抜けたのは「だまし」だったのです。
ラインを抜けたからと言ってすぐにレンジブレイクしたと判断するのは時期尚早なのです。できれば、あと数本のローソク足の動きを確認してからの方がいいでしょう。
「だまし」という言葉はあまりいいイメージがないかもしれませんが、実はとても役に立つのです。
もしライン抜けが「だまし」であると判断できれば、次は逆方向へ向かっていくので付いていけばいいのです。「だまし」はある意味で最強のサインというわけです。
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レンジ相場で有効なテクニカル分析と手法
トレードをする場合は、トレンド相場かレンジ相場か、相場環境を見極めることが重要です。その判断にはテクニカル指標が役に立ちます。
レンジ相場での手法はたくさんありますが、ここでは基本的な手法をご紹介します。
サポレジライン
2本の水平線ラインの上線(レジスタンスライン)に届いたら売り、下線(サポートライン)に届いたら買いを注文するという手法です。
【保存版】FXでトレンドライン、サポート、レジスタンスの引き方と使い方
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドを使ってレンジ相場にエントリーするには、まずボリンジャーバンドの形状に注目しましょう。
バンドがエクスパンションしていればトレンドが発生しているということになります。レンジ相場の時は、バンドは比較的平行になっています。
エントリーポイントは、±σ2付近で、反転したのを確認してエントリー。イグジットポイントは、反対側の±σ2あたりに到達した時点です。
中には場合によっては±σ3まで表示させている方もいらっしゃると思います。そうした場合は、±3σも注意してみて下さい。
RSI
RSIは一般的に70%以上なら買われ過ぎ、30%以下なら売られすぎのサインと言われています。それぞれのラインを越えてからエントリーする手法です。
リピート系の自動売買
近頃は相場の7割を占めると言われるレンジの動きを自動売買でひたすら取る「トラリピ」や「ループ・イフダン」といったリピート系が特に人気です。
リピート系注文方式は、一定のレンジ幅で自動的に売買注文を繰り返すシステムです。
レンジ幅や通貨ペアを選ぶだけで24時間自動売買してくれて、初心者でもレンジ相場が続く限り利益を出せる良い仕組みだと思います。
リピート系注文はFX会社ごとにサービス内容が異なるので、「はじめてのFXリピート系注文比較|おすすめ業者ランキング【2019年度版】」で徹底比較しています。
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トレードの見送り
相場の大部分はレンジ相場です。ですから、レンジでトレードができると、トレードチャンスが格段に増えます。
しかし、レンジ相場のトレードは少し注意が必要です。次のような場合は、トレードを見送った方が無難です。
- 重要な経済指標や要人発言の前
- レンジ相場とトレンド相場の区別が難しい場合
- レンジ内の動きに勢いがある場合
- レンジがあまりにも長くなっている場合
特に、③のレンジ内の動きに勢いがある場合というのは、レンジブレイクが近い、もしくは既にトレンドが始まっているという可能性もあるわけです。基本的にレンジ相場は均衡状態なのでゆっくり動くことが多いのです。
このように、相場にあるレンジ相場とトレンド相場の2種類をしっかり見分けられるようになりましょう。また、チャートは見ている時間足によっても異なる形状を作っています。一つの時間足だけを見続けないで、何種類か同時に見ておいたほうがいいでしょう。
レンジ相場とトレンド相場を見極めることは、トレーダーの第一歩です。しっかりチャートをみて、いろいろな線を引きながら試してみましょう。
トレンド相場とは
トレンド相場にはアップトレンド(上昇トレンド)とダウントレンド(下降トレンド)の二種類があります。
アップトレンド(上昇トレンド)
アップトレンドとは、チャートの流れが上向きに向かうもの。
さらに高値が次第に切り上がり、安値も次第に切り上がるという以下のような形状となります。これは通称、ダウ理論とも呼ばれます。
ダウントレンド(下降トレンド)
ダウントレンドの場合はアップトレンドの逆で、チャートが下に向かって進んでいきます。さらに高値と安値がそれぞれ切り下がるという、以下のような形状になります。
インジケーターを使ったレンジ相場とトレンド相場の見分け方
現在がレンジ相場かトレンド相場かは、結局のところ目視で確認するしかありません。
先ほど解説した「サポートライン・レジスタンスライン」や「ダウ理論」を元に、実際のチャートの形から判断するのが一番です。
ただ、目視といってもいくつかのインジケーターをチャートに表示させた方がわかりやすいので、その方法を解説します。
移動平均線の複数表示
レンジ・トレンドの判断には期間の異なる移動平均線を複数表示させるとわかりやすいです。
移動平均線の短期・中期・長期を同時に表示させることで、3本が中心で絡まっている状態はレンジ相場、綺麗にパーフェクトオーダーになっている状態だとトレンド相場だという判断ができます。
特に12本の移動平均線を同時に表示させる「GMMA」は見た目的にもとてもわかりやすくておすすめです。
トレンド相場の終わり方と注意点
アップトレンドもダウントレンドも永遠に続くことはありません。いつかトレンドが終わりますが、その時には必ずサインがあると言われています。
代表的なサインにダブルトップとダブルボトムがあります。
ダブルトップ
ダブルトップは以下のように、2か所で同じ高さの頂点を作り、山の形を作ります。この場合高値が更新されずに下がってくることにより、ダブルトップに気が付くことができます。
ダブルボトム
逆にダウントレンドの終焉はアップトレンドのダブルトップと逆の形を作ってトレンドの終焉を教えてくれます。山の逆の形をしたものが底で現れるので、ダブルボトムと呼ばれています。
トレンド相場の注意点
実際のところ、レンジ相場よりトレンド相場のトレードの方が簡単で稼ぎやすいです。
トレンドには勢いがあるので、上がり方、又は下がり方が大きくて早いという特長があります。そのため利益が出しやすいです。
ところが相場というのはほとんどがレンジ相場だと言われています。つまりトレンド相場がなかなか現れないので簡単に儲けられないのも、そのせいかもしれません。
またトレンド相場はその終焉を見極めるのがとても難しいのです。
先ほど説明したように、たとえばアップトレンドがしばらく続いたあと、ダブルトップのような形が予想できたとします。
しかしその時点では、その後の値動きがどう進むかはわかりません。
そのまま反転してダウントレンドに移る場合もあれば、レンジ相場へ移行する場合、あるいは続けてまたアップトレンドへ回帰する場合など。
こうした流れは、プロであっても予測するのはとても難しいものなので、いろいろなチャートパターンを見て経験を積む必要があります。
トレンド相場で有効なテクニカル分析と手法
トレンド相場の場合、アップトレンドかダウントレンドかがわかれば、トレンドの流れに沿ってついていくトレードをします。
ボリンジャーバンド
トレンドが発生した時はボリンジャーバンドを拡大させながら進んでいくので、バンドウォークとも言われます。
たとえば、バンドウォークしている間は、ボリンジャーバンドのミドルタッチで順張りするのが有効です。
+2σタッチで逆張りということもできますが、トレンドが出ているときはできるだけトレンドと同じ方向で順張りをすることをおすすめします。
トレードを見送る場合
トレンド相場のトレードでは、相場にトレンドが出ていることに気付くタイミングが遅れて、気が付いた時には天井をつかまされていたということがあります。
次のような場合は、トレードを見送った方がいいでしょう。
- 重要な経済指標や要人発言の前
- レンジ相場とトレンド相場の区別が難しい場合
- トレンドが長く続いている場合
- トレードタイミングをはかっている時間軸のトレンドと、それより大きな時間軸のトレンドが逆方向へ進んでいる場合
特に、最後の④はなかなか判断が難しいところ。
たとえば、エントリーしようと見ているチャートでアップトレンドだとします。そしてそれより大きな時間軸のチャートを見た時ダウントレンドが出ているとします。
この場合、時間軸によって異なるトレンドが出ていることになるので注意が必要です。ここでロングエントリーした場合、大きな時間軸で見ると逆張りです。
これが大きな時間軸のトレンド転換の初動となれば儲かるでしょう。
しかし、そうではなく単なる一時的なトレンドが小さい時間軸で出ていたのなら、その後大きな時間軸のダウントレンドに回帰することになるので、損失を出してしまします。
相場がどこに向かうかは誰にもわかりませんが、数種類の時間軸を並べて相場環境を見比べることも重要です。
レンジ相場とトレンド相場を見極めることがトレーダーの第一歩。しっかりチャートをみて、いろいろな相場パターンを学びましょう。
レンジ相場のチャートパターン
水平線ではなくトレンドラインで三角形を作り、その範囲内で行き来するレンジ相場もあります。これは三角保ち合い(ペナント)といいます。
これもブレイクするまでは、ラインの範囲内を行き来することになります。三角保ち合いの代表的なパターンをご紹介します。
三角保ち合い
2本のトレンドラインによって三角形をつくるレンジ相場。この場合、レンジブレイクは上下どちらかの方向にブレイクします。
上昇三角形
高値はレジスタンスラインで抑えられ、安値は切り上げるパターンです。この場合、上方向にブレイクすることが多いです。
下降三角形
このパターンでは、安値はサポートラインで支えられ、高値は切り下がっています。レンジが終わると、下方向にレンジブレイクすることが多いです。
上昇フラッグ
安値高値を切り下げながら、最後に上方向にブレイクします。
下降フラッグ
安値高値を切り上げながら、最後に下方向にブレイクします。