高金利通貨といえばトルコと南アフリカが人気ですが、以前はオーストラリア、ニュージーランドなどのオセアニア通貨が代表格でした。
オセアニア通貨は昨今の政策金利の低水準から、かつてほどの人気はなくなりました。
それでも、ニュージーランドは主要国通貨の中で最も金利が高いため、まだまだ人気は健在です。
ニュージーランドはオーストラリアの隣に位置しているので、よくオーストラリアと同様に鉱物資源国であると誤解されます。
オーストラリアは鉱物産業の輸出大国ですが、ニュージーランドには、こうした資源はありません。
ニュージーランドは世界的な酪農大国で、輸出に占める酪農の割合は3割にものぼります。
今回は、これからNZドル円(NZD/JPY)のスワップ投資を始めてみようという人のために、NZドル円のスワップポイントについて解説します!
目次
ニュージーランドドル(NZドル)の特徴
NZドルは、通称キウィドルとして知られています。
ニュージーランドは酪農業が中心の国なので、大きな経済力はありません。
そのためNZドル取引の全体量は少ないです。
そうなると、機関投資家などによる大量注文が入った時に、値が大きく動くので、短期トレードには注意が必要です。
スワップ狙いの中長期的トレードであれば、そうした激しい値動きはあまり気にしなくてもいいので、スワップポイントで十分利益を期待できます。
それでは、NZドルの特徴を項目別に見てみましょう。
NZドル円リアルタイムチャート&レート
NZドル円(NZD/JPY)の最高値と最安値
最高値 | 最安値 |
---|---|
97.73円 (2007年7月) | 44.18円 (2009年10月) |
NZドル米ドルリアルタイムチャート&レート
NZドル米ドル(NZD/USD)の最高値と最安値
最高値(2000年以降) | 最安値(2000年以降) |
---|---|
0.8841ドル (2011年8月) | 0.4890ドル (2009年3月) |
ニュージーランド政策金利の推移
ニュージーランドの政策金利は、2016末から1.75の据え置きが続いていましたが、
2019年5月には過去最低となる1.50%にまで利下げされました。
2016年11月以来およそ2年半ぶりの利下げで、2019年8月には年内2回目となる利下げが実施され、政策金利は1.00%となっています。
かつては8%前後あった政策金利も、世界的な金融緩和の流れの中、ニュージーランドも低金利で推移していく傾向がしばらく続きそうです。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2019年 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.50 | 1.50 | 1.50 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 1.00 |
2018年 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.75 |
2017年 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.75 | 1.75 |
2016年 | 2.50 | 2.50 | 2.25 | 2.25 | 2.25 | 2.25 | 2.25 | 2.0 | 2.0 | 2.0 | 1.75 | 1.75 |
2015年 | 3.50 | 3.50 | 3.50 | 3.50 | 3.50 | 3.25 | 3.00 | 3.00 | 2.75 | 2.75 | 2.75 | 2.50 |
2014年 | 2.50 | 2.50 | 2.75 | 3.00 | 3.00 | 3.25 | 3.50 | 3.50 | 3.50 | 3.50 | 3.50 | 3.50 |
2013年 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 |
2012年 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 |
2011年 | 3.00 | 3.00 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 |
2010年 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.75 | 3.00 | 3.00 | 3.00 | 3.00 | 3.00 | 3.00 |
2009年 | 3.50 | 3.50 | 3.00 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 | 2.50 |
2008年 | 8.25 | 8.25 | 8.25 | 8.25 | 8.25 | 8.25 | 8.00 | 8.00 | 7.50 | 6.50 | 6.50 | 5.00 |
また、高金利通貨といわれる国の政策金利を比較してみると、トルコや南アフリカに比べてかなり低いです。
しかし、ニュージーランドは国債格付けも高く、国の信頼性、経済の安定性に魅力があります。
NZドル円スワップ比較!2020年
スプレッドやスワップポイント、最低取引通貨などの取引条件はFX会社によって違います。
取引をする前は、それぞれポイントを押さえておきましょう。
FX会社 | スワップポイント (1日、1万通貨あたり) | スプレッド (原則固定) | 最低取引通貨 | スワップ 引き出し |
---|---|---|---|---|
ヒロセ通商 | 23円 | 1.0銭 | 1,000通貨 | × |
JFX | 23円 | 1.0銭 | 1,000通貨 | 〇 |
みんなのFX | 22円 | 1.0銭 | 1,000通貨 | 〇 |
DMM FX | 19円 | 1.2銭 | 1万通貨 | 〇 |
SBI FXトレード | 21円 | 0.99銭 | 1通貨 | 〇 |
GMOクリック証券 | 21円 | 1.2銭 | 1万通貨 | 〇 |
アイネット証券 | 23円 | 2.0~6.5銭 | 1万通貨 | 〇 |
YJFX! | 15円 | 1.2銭 | 1,000通貨 | 〇 |
(2020年1月24日現在)
※アイネット証券のスプレッドは変動制
スワップポイントはヒロセ通商とJFXが23円と最も高いスワップポイントを提供しています。その他の会社は同程度です。
とは言え、スワップ狙いの長期トレードではこうしたわずかな違いでも、毎日の積み重ねによって大きな差異を生むことがあるので、できるだけ多い利益が得られる会社を選ぶべきです。
スワップポイントのみの引き出しに対応していない業者は、一度決済しないとスワップポイントがもらえません。頻繁にスワップを引き出したい場合は、対応した業者を選びましょう。
月間・年間スワップポイントランキング(2020年)
1位:8,897円 ヒロセ通商
1位:8,897円 JFX
2位:8,108円 アイネット証券
3位:7,685円 SBI FXトレード
4位:7,417円 GMOクリック証券
5位:6,820円 みんなのFX
注1:一万通貨あたりのスワップポイント
GMO クリック証券 | みんなのFX | ヒロセ通商 | アイネット 証券 | SBI FX トレード | |
---|---|---|---|---|---|
年間累計(※) | 7,417円 | 6,820円 | 8,897円 | 8,108円 | 7,685円 |
2019年9月 | 454円 | 414円 | 525円 | 572円 | 441円 |
2019年8月 | 519円 | 488円 | 652円 | 489円 | 621円 |
2019年7月 | 927円 | 857円 | 1,047円 | 881円 | 790円 |
2019年6月 | 785円 | 703円 | 891円 | 781円 | 859円 |
2019年5月 | 759円 | 674円 | 1,092円 | 732円 | 864円 |
2019年4月 | 1,211円 | 1,092円 | 1,154円 | 1,128円 | 1,253円 |
2019年3月 | 1,058円 | 935円 | 1,146円 | 982円 | 1,088円 |
2019年2月 | 806円 | 728円 | 968円 | 821円 | 900円 |
2019年1月 | 898円 | 929円 | 1,143円 | 890円 | 869円 |
※2019年10月1日現在までの付与額
NZドル円スワップポイントが最も高いFX会社ランキング
第1位:ヒロセ通商
「ヒロセ通商」はスワップポイントに大変力を入れているFX会社です。
NZドル円のスワップポイントは1日23円、月間で1,000円超えと断トツの1位です!スプレッドも1.0銭と業界最狭水準です。
さらにNZドル円スプレッドは原則固定で、1.2銭から1.0銭まで縮小され、短期のトレードでもより運用がしやすくなりました。
このようにスワップポイント、スプレッドから検討しても、業界トップといっていいでしょう。短期トレードもスワップ狙いの長期トレードも、お得です。
ちなみに、ヒロセ通商の子会社である「JFX」でもほぼ同様の条件で取引できます。
第2位:アイネット証券
「アイネット証券」は、1日や月間スワップポイントがヒロセ通商に次いで高く、なかなか良い条件です。
スワップポイントの累計こそ高めですが、それでもヒロセ通商の方が高いこと、スプレッドが広いこと、裁量取引の使い勝手があまりよくないという点から、あえて選ぶ必要はないかもしれません。
第3位:SBI FXトレード
「SBI FXトレード」は、特にキャンペーンはしていませんが、スワップポイントは全体的に高い水準です。
ヒロセ通商ではできない、ポジション未決済のままスワップポイントだけ引き出しすることも可能です。
スワップ狙いには大変おススメの会社と言えるでしょう。またスプレッドも0.90銭と狭いので、短期トレードにも安心です。
スワップポイントはいくらもらえるかシミュレーション
それではNZドル円で毎日得られるスワップポイントはいくらになるか見ていきましょう。
まず最も高いスワップポイントでNZドル円のスワップを計算した場合のシミュレーション予測をしてみます。
例えば、店頭FXで最もスワップポイントの高い「ヒロセ通商」だと、1日のスワップポイント23円、取引通貨量を10万通貨とした場合、1日で230円の金利が得られます。
そして、一カ月後に6,900円、一年後に83,950円得られることになります。
また、年間利回りは、NZドル円を71円、スワップポイントを23円で計算した場合、約1.2%になります。
運用日数 | スワップポイント |
---|---|
1日 | 230円 |
1ヵ月 | 6,900円 |
1年 | 83,950円 |
3年 | 251,850円 |
5年 | 419,750円 |
10年 | 839,500円 |
NZドル円10年間の為替レート推移
NZドル円は2000年に財政悪化により史上最安値の41.94円を付けました。
しかし、その後は世界的な好景気とともにニュージーランド経済も回復。
さらに豪ドルと同様に高金利通貨として人気がではじめたことも合わせて、2007年には100円目前まで上昇しました。
ところがその後、アメリカのサブプライムローン問題とリーマンショックをきっかけに下落。一時は史上最安値付近まで近づきました。
NZドル円は、世界経済のニュース、特にアメリカのニュースには大きな影響を受ける傾向があります。
またオーストラリア、中国にも影響を受けるので要注意です。
リーマンショック後、少しずつ回復してきていますが、最高値を超える勢いはありません。
NZドル円と相関性の高い豪ドル円も弱いので、場合によっては今後下落リスクもあるかもしれません。これは中国リスクが要因でもあります。
2017年9月に行われた総選挙で政権交代が決まると、大きく下落しました。
しかし、今後の見通しはニュージーランド経済が安定しているので、中長期的に見ると上昇するのではないでしょうか。
このように、関係国からの影響で為替が不安定なのがNZドルです。
2008年9月、リーマンショック
アメリカのリーマンブラザーズが破綻した、いわゆるリーマンショックでは、NZドル円は40円台まで急落しました。
5割以上もの下げ幅をつけた原因は、先進国の主要通貨に比べて流通量、取引量が小さいからです。
このようにNZドルは何か大きなニュースがあれば、値動きが荒くなります。
2013年、アベノミクス始動
日本の経済政策アベノミクスは全てのクロス円で円安が進行したため、NZドル円も上昇しました。
2015年8月、チャイナショック
2013年からアベノミクスが始まり、NZドル円は上昇を見せていましたが、2015年のチャイナショックの影響を受け、下落へ転じていきました。
ニュージーランドの最大貿易相手国は隣国オーストラリアです。
オーストラリアは中国との貿易が活発なので、このチャイナショックで豪ドルが暴落。
それに連動してNZドルが売られる結果となりました。
2016年6月、EU離脱のイギリス国民投票
この日は全面的にリスクオフで円が買われたので、NZドル円も下落しました。
しかし、その後レートは回復しています。
基本的にはNZドルはイギリスより経済大国アメリカの影響の方が大きい傾向にあります。
NZドル円を運用する上での注意点
経済指標発表について
NZドルの取引に注意が必要な経済指標は次の通りです。
- 国内総生産(GDP)(3、6、9、月上旬)
- 消費者物価指数(CPI)(1、4、7、10月下旬)
- 貿易収支(毎月下旬)(毎月下旬)
- 生産者物価指数(PPI)(2、5、8、11月下旬)
特に、輸出大国なので貿易収支は重要です。
主な指標は日本時間の早朝に発表されることが多いです。
この時間帯は取引量も少ないので、こうしたニュージーランドの指標によって大きく動くことがあるため、経済指標には注意が必要です。
オーストラリアドルとの相関性
NZドルの値動きは、隣国オーストラリアドルと相関性があると言われています。
オーストラリアは、ニュージーランドにとって最大の貿易国です。
よって、オーストラリアの経済指標でNZドルがダイレクトに影響を受けることがあります。
また、オーストラリアの最大貿易相手は中国です。
中国の経済指標がオーストラリアに影響を与えるので、結果としてニュージーランドにも影響が及んできます。
そのため、中国の経済指標にも注意が必要になるという、まさに板挟みの通貨がNZドルなのです。
NZドル円取引のリスクは?
日本時間の早朝から午前にも大きく動く
ニュージーランドの経済指標は日本時間の早朝に発表されることが多いので、この時間の値動きが大きくなることが多いです。
また、NZドル円は流通量が少ないので、突発的にボラティリティが大きくなる傾向があります。
万が一、指標結果が悪ければ、一気に下落するという単純な動きをします。
スワップポイント狙いでのトレードであれば、短期トレーダーほど敏感になる必要はありませんが、レバレッジをかけている場合には資金管理に十分な注意が必要です。
コモディティ価格に影響される
また、ニュージーランドは酪農業が中心なので、コモディティ価格と相関性があります。
コモディティの価格変動に影響を受けやすいというリスクがあります。
コモディティ(commodity)とは、原油やガスなどのエネルギー、金・銀・プラチナなどの貴金属、小麦・大豆・とうもろこしなどの穀物、銅・アルミといった非鉄金属などのことです。
このように、ニュージーランドドルの価格を動かす要因は多岐にわっています。
また、ちょっとした出来事や、大口の取引が行われた際に大きく相場が動いてしまうというリスクがあります。
NZドル円のトレードには、こうしたリスクを念頭に余裕を持った資金管理でのぞみましょう。
スワップ狙いで長期保有するのであれば、NZドル円はおススメです!