FXでは20〜50種類ほどの通貨ペアから好きなものを選んで取引ができますが、それぞれで特徴が異なります。
まずは、取引量の多い人気通貨ペアから取引を初めてみて、利益が上がる自分の得意な投資スタイルを見つけましょう。
といったサイクルが理想です。
通貨ペアを選ぶときは、一時的な根拠のない情報に流されてしまったり、スプレッド・スワップポイントの数値だけで安易に判断したりしてはダメです。
できるだけ多くの情報を収集をして、しっかり自分なりの根拠を持って通貨ペアを選ぶようにしましょう。
ということで、この記事ではFX初心者に知っておいてほしい
- 通貨ペアの基礎知識
- 通貨ペアの特徴
- 通貨ペアの選び方
をわかりやすく解説していきます。
この記事を読めば、あなたも自分に合った通貨ペアを選ぶことができますよ!
FX通貨ペアの基礎知識
まずはFXにおける「通貨ペア」とは何なのか改めて確認しておきましょう。
通貨ペアとは、売買する2国の通貨の組み合わせのことを指します。
「米ドル/日本円」「ユーロ/スイスフラン」というように、「/」で区切って2国の通貨ペアを表します。
左側を「基軸通貨」と呼び、支払う通貨を意味しています。
右側を「決済通貨」と呼び、購入する通貨を意味しています。
FXでは、FX取引会社によって扱う通貨ペアの数が異なっています。
引用:楽天
「ドルストレート」と「クロス円」を覚えよう
世界には多くの通貨があり、通貨ペアは数え切れないほどのパターンが存在します。
しかし、全ての通貨の特徴を見極めることは至難の技です・・・。
外国為替市場で取引のある通貨ペアは、大きくわけて「ストレート通貨」「クロス通貨」の2つに分類できます。
この2つを覚えるだけでも通貨ペアの見方が大きく変わるので、まずこの2種類の通貨について学んでいきましょう。
ストレート通貨(ドルストレート)とは
「米ドル」は世界の基軸通貨なので、世界の外国為替市場は米ドルを中心に動いています。
この基軸通貨米ドルを必ず含む通貨ペアを、「ストレート通貨」または「ドルストレート」と呼びます。
ストレート通貨は、2つの通貨間の取引で変動要因が少ないため、相場が読みやすくテクニカル分析の結果に従いやすいという特徴があります。
代表的なストレート通貨
豪ドル/米ドル、ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドル、NZドル/米ドル
クロス通貨とは
クロス通貨とは、「米ドルを介さない通貨ペア」のことを言います。
これは誤解されやすいのですが、例えば南アフリカランド/円の取引をする場合、直接日本円で南アフリカランドを購入している訳ではありません。
間に「基軸通貨である米ドル」を必ず挟みます。
価格も、南アフリカと日本の需給関係によって決まる訳ではなくて、南アフリカとアメリカ、アメリカと日本の関係で決定します。
2つの取引をクロスするので、これを「クロス通貨」と呼びます。
また「あるストレート通貨」と「あるストレート通貨」の2つのレートを合成するので「合成通貨」とも呼ばれます。
ストレート通貨(1):【米ドル(基軸通貨)/日本円】
ストレート通貨(2):【南アフリカランド/米ドル(基軸通貨)】
↓↓↓↓
レートを合成
↓↓↓↓
クロス通貨(合成通貨):【南アフリカランド/円】のできあがり
クロス通貨は2つの取引を同時に行うため、ストレート通貨よりもスプレッドが広めです。
また、マイナー通貨ほど流動性が低いため高い手数料(スプレッド)を支払うことにもなります。
3つの通貨が絡むことで変動要因が多くとても複雑であり、その他の通貨ペアの影響を受けやすくボラティリティが高いという特徴があります。
代表的なクロス通貨
豪ドル/カナダドル、豪ドル/スイスフラン、豪ドル/NZドル、ユーロ/豪ドル、ユーロ/カナダドル
クロス円とは
クロス通貨の中で、円を含むものだけを「クロス円」と呼びます。
クロス円は、国内のFX業者を利用する場合には、かなり特殊な通貨ペアだと考えてください。
クロス円といってもクロス通貨なので、通常はストレート通貨よりもスプレッドが広いはず。
しかし、多くの国内FX業者は、ストレート通貨よりも狭いスプレッドで原則固定にまでしてくれています。
実はこれ、FX業者同士で売りと買いを相殺、一定の取引量をまとめて売買する、カバー取引の時間をずらすなど・・・国内FX業者による低スプレッド競争の産物なのです。
日本人の「円」に対する信頼感・安心感は絶大です。
そのため、FX業者は日本人向けにはクロス円が取引しやすいような取引環境を作り出すことが、口座数を増やすために必要なことだと分かっているので、ここまでクロス円を優遇しているというわけです。
クロス円は、取引コストが優遇されており情報量も多いのですが、通常は
- レンジ相場になりやすい
- 3つの通貨が絡み合うので変動要因が多い
- 値動きがあるときは激しく突然、暴騰・暴落しやすい
- ドル円相場の影響を受ける
などの特徴があります。
日本人には適していると思われがちなクロス円ですが、実はとてもクセが強く、値動きの理由が分かりづらい通貨ペアでもあります。
代表的なクロス円
豪ドル/円、英ポンド/円、ユーロ/円、スイスフラン/円
このように、通貨ペアと言っても「ストレート通貨」「クロス通貨」「クロス円」で全く特徴が異なります。
それぞれの特徴を意識してトレードするように心がけましょう。
FXトレーダーに人気の通貨ペア
FXは、選ぶ通貨ペアによって利益・コスト・トレードスタイルが大きく変わります。
初心者の人には、まずはみんなが選んでいる人気の通貨ペアから取引してみることをオススメします。
なぜなら、人気がある通貨ペアは以下の3つの特徴を持っているからです。
- 情報量が多い
- ボラティリティ(価格変動率)が大きい
- リクイディティ(流動性)が高い
人気の高い通貨ペアは情報量も多く、ボラティリティ(価格変動率)が高いため利益を狙いやすいです。
そしてもう一つ、通貨のリクイディティ(流動性)の高さも意識する必要があります。
マイナー通貨ほどリクイディティが低く、リクイディティが低いと以下のような問題が起こりやすくなります。
リクイディティが低い通貨の危険性
- 予期せぬ出来事が発生した場合には値が大幅に飛ぶ可能性がある
- 希望する価格で買いたい時(または売りたい時)に取引の相手がおらず、注文が成立しないこともある
しかし、この3つだけで判断していては、この先、世界の通貨バランスが変わった場合に対応できません。
そこで、市場のデータも参考にしながら、「代表的な人気通貨ペアはどれなのか」をチェックしていきたいと思います。
インターバンク市場の取引量から見る人気通貨ペア
以下の画像は、国際決済銀行(BIS)が3年に一度公表しているインターバンク市場の2013年4月1日の平均取引量の調査データです。
出典:インヴァスト証券
これを見ると、もっとも取引量の多い通貨ペアは米ドル/ユーロで、2番目に米ドル/円となっています。
くりっく365の出来高から見る人気通貨ペア
次に、東京証券取引所が運営する「くりっく365」の2015年の出来高では、米ドル/円が最も多く、ユーロ/米ドルはそこそこといったところですね。
出典:インヴァスト証券
つまり、世界的には「米ドル/ユーロ」が最も人気があり、国内においては「米ドル/円」が最も人気ということです。
日本でユーロ/米ドルの人気がそこそこなのは、日本人の民族性や国内FX業者の商品ラインナップの影響が大きく関わっていると考えられます。
FX初心者にオススメの通貨ペアはこれだ!
市場のデータもふまえると、FX初心者には以下の3つの通貨ペアがおすすめです。
FX初心者におすすめの通貨ペア
- 「米ドル/円」
- 「米ドル/ユーロ」
- 「ユーロ/円」
では、それぞれの特徴を見ていきましょう。
米ドル/円の特徴
スプレッドが最も狭くストレート通貨である米ドル/円。
ボラティリティはユーロ/米ドル、ユーロ/円よりも小さいです。
市場参加者が多くリクイディティは高いのですが、平常時はそれほどボラティリティが大きくないため、初心者がスキャルピング・デイトレードの練習をするのに適している通貨ペアですね。
ただし、「リスク回避の円買い」として利用されることが多く、戦争や自然災害などの世界的に悪いニュースがあった時には大量に円が買われ急激な円高になる傾向があるため注意が必要です。
参考記事米ドル円の特徴と過去10年間の為替レート推移(最高値・最安値)
ユーロ/米ドルの特徴
スプレッドが狭くストレート通貨である「ユーロ/米ドル」。
前述の通り、世界で最も取引高の多い通貨ペアで、市場参加者が多くリクイディティが高いことが特徴です。
ボラティリティも大きく、トレンドが出やすいためテクニカル分析で相場を読みやすいことから、スキャルピング・デイトレードの通貨ペアとしては絶対に外せません。
ユーロ/円の特徴
スプレッドが狭く米ドル/円より比較的値幅が広いクロス円通貨の「ユーロ/円」。
ユーロ、ドル、円の3通貨が絡みますが、情報量も多く比較的テクニカル通りの動きをします。
市場参加者も多くリクイディティ・ボラティリティともに大きいためスキャルピング・デイトレード向きです。
参考記事ユーロ円の特徴と過去10年間の為替レート推移(最高値・最安値)
取引スタイル別おすすめ通貨ペア
FXの取引手法は大きく分けると以下の3つがあります。
- スキャルピング
- デイトレード
- スイングトレード
これらはそれぞれ異なる性質を持っているため、行う取引に適している通貨ペア選びが大変重要となってきます。
ということで、ここからはFXの取引スタイル別に適している通貨ペアをご紹介しています。
スキャルピング・デイトレード向きの通貨ペア
スキャルピングは、秒~分単位で新規・決済を繰り返し小さな利益を積み重ねる取引です。
スキャルピングで選ぶ通貨ペアには「スプレッドが狭い」「ボラティリティが大きい」「リクイディティが高い」といった特徴を持っていることが必須です。
デイトレードはその名の通り、1日に数回程度取引し、スキャルピングよりもトレード回数は少ないですが、1回あたりの利益を大きく狙う取引です。
こちらも「スプレッドが狭い」「ボラティリティが大きい」「リクイディティが高い」通貨ペアであることが必須です。
この条件に合うオススメの通貨ペアは、以下の3種類です。
通貨ペア | スプレッド(ヒロセ通商) |
---|---|
ユーロ/米ドル | 0.4pips |
ユーロ/円 | 0.5pips |
米ドル/円 | 0.3pips |
スイングトレード向きの通貨ペア
スイングトレードには「豪ドル/円」「NZドル/円」がオススメです。
また、「ユーロ/米ドル」「ユーロ/円」「米ドル/円」も基本的に押さえておきたい通貨ペアです。
これらは「得られる情報量が多い」「ボラティリティが大きい」「リクイディティが高い」ためスイングトレード向きと言えます。
高スワップポイントを狙うなら「トルコリラ/円」「南アフリカランド/円」がおすすめです。
スイングトレードの通貨ペア選びでは以下のポイントも必ずおさえておくようにしてください。
- ハッキリとした「トレンド」が出るかどうか
- 現在トレンドにある通貨ペアを選ぶ、またはトレンドが出来るまで待つ
この2点がとても大切です。
ハッキリとしたトレンドが出ない、値幅が小さい、トレンドがすぐに終わってしまうようでは、スイングトレードで狙った利益は出せません。
「米ドル/円」「ユーロ/米ドル」「ユーロ/円」だけ狙っていても、トレンドが来るまで待つのはあまりにチャンスが少なすぎます。
スイングトレードは取引回数が少ないので、なるべく多くの通貨ペアをチェックしておくことで利益を得るチャンスも増え、相場観も養われます。
ただし、高金利通貨の売りポジションはマイナススワップの積み重ねが痛いので、できるだけ買いポジションで上昇トレンドに乗れるようにした方が良いです。
通貨ペア | スワップポイント(GMOクリック証券) | |
---|---|---|
買 | 売 | |
豪ドル/円 | 38円 | -41 |
NZドル/円 | 44円 | -47 |
ポンド/円 | 9 | -12 |
通貨ペア | スワップポイント(GMOクリック証券) | |
---|---|---|
買 | 売 | |
トルコリラ/円 | 105円 | -115 |
南アフリカランド/円 | 160円 | -190 |
※スワップポイントは、GMOクリック証券2017/9/8のもの
マイナー通貨はリスクが高いので初心者は控えるべき
日本円、米ドル、ユーロ、英ポンドなどの主要通貨以外は、「マイナー通貨」と呼ばれています。
マイナー通貨のメリットは「スワップが高い」「ボラティリティが高い」
デメリットは「スプレッドが広い」「リクイディティが低い」「情報が入りにくい」などがあります。
政治不安や、突然の金融制度の変更などが大きなリスクです。
そういった情報を事前に得ることは個人レベルの投資家が出来ることではありません。
ましてや情報量の少ないマイナー通貨は、気づいたら大暴落や、極端に流動性が低下していたなんてことも考えられるので「ハイリスク・ハイリターン」の代名詞といっても良いでしょう。
そのため、FX初心者がマイナー通貨一本で取引することはやめたほうが良く、さまざまな通貨・投資商品でしっかりリスクヘッジをしている中上級者向きの通貨ペアと言えます。
また、最初に通貨の取引量や出来高を見ましたが、米ドル、日本円、ユーロ以外の通貨はメジャー通貨といえども、全体に占める割合は小さなものです。
ですので、初心者は基本的に「米ドル円」「米ドル/ユーロ」「ユーロ/円」の3通貨ペアで相場に慣れていくことをおすすめします。