これからFX(外国為替証拠金取引)で稼ぎたいと思っている人がいきなり専門書などを開いてみたとしても、情報量が多すぎてなかなか「稼ぎ方のイメージ」が掴めないということも多いのではないでしょうか?
この記事では、FX歴10年以上の専業トレーダーが投資で最も肝心な「利益」の部分に焦点を当て、FXを始めるにあたって必要最低限の知識と取引のイメージを分かりやすく解説していきたいと思います。
FXの儲け方は大きく分けると、次の2種類があります。
- 自分の裁量で売買していく「裁量トレード」
- システムに売買を任せる「自動売買」
でも、近年ではトレーダーの負担を軽減して、効率的に利益を追求する「自動売買」、特に「リピート系」と呼ばれる半自動売買が人気ですね。
個人的には、これからFXを始めようと思っている人がいたら、最初は「裁量トレード」から入ることをおすすめします。
「自動売買」といってもシステムに任せきりだと、リーマンショックのような想定外の動きがあったときに対処できずにあっという間に資産を失う恐れがあるからです。
それでは、これから「裁量トレード」や「自動売買」にはどんなメリット・デメリットがあるのか、どんな人に合っているのかを解説していきます。
FXで利益を出す仕組みをおさらい
FX(外国為替証拠金取引)とは、証拠金という担保をFX業者に預けることによって、資金効率を通常の何倍にも高めることができる為替取引のことです。
注文は自分で行いますが、自分の資産を直接外貨と交換する訳ではなく、実際はFX業者が注文を代行しているという点が、通常の為替取引や外貨両替とは異なります。
また、株と違い注文は土日を除く平日24時間いつでもできることもメリットの一つです。
そして、FXには
- 為替差益
- スワップポイント
という2つの利益があります。
為替差益で利益を出す
為替差益は、外国為替相場の価格変動を利用した利益のことです。
出典元:大和証券
通常の為替取引
まず、通常の為替取引とはどういうものかというと、例えば
1米ドル100円の時に手持ちの資金10万円と1,000米ドルを交換します。
次に、1米ドル101円に上がった場合に逆のことをすると、手持ちの1000ドルを10万1000円と交換できるので、差額の1,000円が儲けとなります。(手数料は除く)
しかし、これではたった1,000円の儲け出すために10万円も用意する必要がありますね。
FX業者を利用すると、トレーダーは証拠金と呼ばれる担保をFX業者に預けることで、実際の資金の何倍もの数量の為替取引が可能となります。
この証拠金と実際の取引数量の割合を「レバレッジ◯倍」と表現し、日本では最大25倍まで認められています。
レバレッジ25倍の為替取引
では、レバレッジ25倍の為替取引とはどういうものかというと、例えば
1米ドル100円の時に手持ちの資金4,000円をFX業者に証拠金として預けるだけで、FX業者が10万円と1,000米ドルを取引をしてくれます。
もし、1米ドル101円になった時に決済指示を出せば1,000円の儲けとなります。(手数料は除く)
このように、利益はどちらも1,000円と同じですが、元手資金を1/25に抑えることができます。
つまり「レバレッジが高いほど少ない資金で大きな取引ができる」というところがFXの最大の魅力なんですね。
レバレッジ25倍は危険?FX初心者におすすめの設定倍率は何倍?
買いだけでなく売りからも利益を出せる(空売り)
また、FXは証拠金取引なので、「買い注文(ロング)」だけでなく、FX業者が所有している外貨の「売り注文(ショート)」から取引をスタートすることもできます。
出典元:FXプライムbyGMO
実際に外貨を所有していなくても、日本円の証拠金さえあれば良いのです。
ロングの場合は相場が上昇した時に決済すれば利益、ショートの場合は相場が下落した時に決済すれば利益、それぞれその逆は損失となります。
新規注文をしてから決済注文を入れるまでの状態をポジション(または建玉)といい、利益または損失は相場の動きに合わせてリアルタイムで変動します。
FXの建玉(ポジション)とは?ロングとショートどっちが難しい?
利益または損失は決済注文を入れるまでは確定していません。
利益が出ている未決済のポジションの利益部分を「含み益」、損失が出ている未決済のポジションの損失部分を「含み損」と言います。
利益が出ているポジションに対して自分で決済注文を入れることを「利食い」、損失が出ているポジションに対して自分で決済注文を入れることを「損切り」と言います。
ポイント
為替相場は短期的に見ると常に小刻みに上昇下降を繰り返しているので、FXはいつでも利益を出すチャンスがあるということです。最初はビギナーズラックで勝率100%もあり得るかもしれませんが、どのような凄腕トレーダーであっても常に勝っている訳ではありません。FXでは損失が膨らむ前に、自ら決済する勇気が大切です。
そして、この勝率を上げていくことが為替差益で利益を出していくための目標となります。
スワップポイントで利益を出す
スワップポイントは、金利の安い通貨と金利の高い通貨を取引し、その金利差を利益として日毎に受け取ることができます。
為替差益同様に、レバレッジを高くするほど少ない資金で大きな取引ができるようになるため資金効率は高まります。
スワップポイントは、新規注文をした日の翌日以降にポジションを持ち越すことで1日毎に付与されます。(ポジションを翌日に持ち越すことをロールオーバーと言います。)
為替差益とは違い、ポジションを決済しなくてもスワップポイントだけを毎日受け取れるFX業者もあります。
スワップポイントの金額は国際情勢や各国の金利政策の影響を受けて、FX業者が日毎または一定期間毎に更新し、一般的に買い注文(ロング)で受け取りできるものは、売り注文(ショート)では支払いをしなければならず、その逆の場合もあります。
さらに、同じ通貨ペアでもFX業者が違えば金額も違うので、長期トレードの場合はスワップポイントに有利なFX業者と通貨ペアを選ぶことが大切です。
例えば、以下のようにFX業者によって結構違っています。
トルコリラ/円(TRY/JPY)1万通貨のスワップポイント(2018年3月2日)
SBI FXトレード:ロング82円、ショート-88円
ヒロセ通商:ロング82円、ショート-167円
GMOクリック証券:ロング80円、ショート-90円
スワップポイントで十分な利益を狙うためには
「トレンドの反転などによって大きな含み損を抱えた場合でもロスカット(後述)に耐えられるだけの資金を用意し、なるべく大きな取引数量のポジションを長期間保有し続ける」
ということが利益を出すための目標となります。
FXはいくら儲かる?いくら損する?
FXでいくら儲かる、いくら損するかは取引数量によって変わります。
FXでは、為替差益の儲けの単位に「pips(ピップス)」というものが使われます。参考書などを見ても必ず出てくるものなので、感覚的に覚えてしまいましょう。
pipsは通貨ペアによってその価値が変わるのですが、ここではわかりやすいようにUSD/JPYで解説します。
1pipsは、「1銭=0.01円」です。
そしてこれに取引数量をかけたものが実際の利益となります。
つまり、USD/JPYのロングポジションを1万通貨1米ドル100円の時にエントリーして101円に値上がりした時(100pipsの値動きがあった時)に決済すると、利益は「100pips=1万円」ということです。
もし、取引数量が10万通貨だった場合は、「100pips=10万円」です。同じ利幅で利益確定をしても、取引数量によって実際の利益は変わります。
取引する通貨単位 | 利益 | ||
---|---|---|---|
1pips | 10pips | 100pips | |
10万通貨 | 1,000円 | 10,000円 | 100,000円 |
1万通貨 | 100円 | 1,000円 | 10,000円 |
1000通貨 | 10円 | 100円 | 1,000円 |
100通貨 | 1円 | 10円 | 100円 |
1通貨 | 0.01円 | 0.1円 | 1円 |
ちなみに、この利食いをした100pipsという値動きの幅のことを「利幅」と言います。
裁量取引とは
裁量取引とは、エントリーから手仕舞いまでの全てを自分自身の判断で売買することを言います。
トレードのうまい人がリスクを取りまくれば月利200%以上も可能ですが、一般的には安定して月利10%も出せれば万々歳です。
裁量取引のメリットとデメリット
裁量取引は、取引の全てを自分の判断で行うことができるので自由度が高い反面、経験やテクニック・相場の分析能力を求められます。
短期的に相場が上がるか下がるか、長期的に上昇トレンドか下降トレンドかを見極める必要があるので、チャートのテクニカル分析やファンダメンタルズ分析は必須です。
テクニカル分析とファンダメンタルズ分析
FXの相場分析方法には、「テクニカル分析」と「ファンダメンタルズ分析」の2種類があります。
- テクニカル分析
為替相場の値動きをチャートの上で分析する方法。
初心者はテクニカル分析から入るのがわかりやすい。 - ファンダメンタル分析
各国の経済指標から景気の強さや政策金利を分析して、その国の通貨は買われるのか売られるのかを分析する方法。
経済的な知識と分析する時間が必要なため少し敷居が高い。
最終的にはどちらか一方ではなく両方の分析方法の特徴を知り、場合によって使い分けていくことが収益を最大化するコツです。
【保存版】FX経済指標!重要度、カレンダーの見方など徹底解説
また裁量取引では、一度ポジションを持つと、その後の値動きが気になりパソコン画面に張り付いたり、四六時中チャートをチェックしたりと精神的な負担が大きいことも特徴です。
しかし、相場が読めない時は「取引をしない」という選択肢もあるので、比較的マイペースで続けることができますが、そのためには自制心と計画性が必要です。
裁量取引には知識・経験が必要なので、本業が忙しい人が継続的な利益を上げていくにはある程度時間がかかると思ったほうが良いでしょう。
メリット
- 売買のタイミング・取引数量が自由に選べる
- 敢えて「取引をしない」という選択肢もある
- 大きな為替差益も狙える
デメリット
- 利食い・損切りが完全に自分の判断
- 売買のタイミングには分析が必要
- 取引画面に向かう時間が長い
- 常に値動きが気になってしまう
トレードスタイルと利益の目安
個人的には、短期取引ほどテクニカル分析が、長期投資ほどファンダメンタル分析が重要だと思っています。
そのため、まず自分のトレードスタイルを決めてから、どのような分析方法を勉強していけばいいのかを決めていきましょう。
以下の表は、FXの代表的なトレードスタイルの取引頻度と1取引あたりの利幅の目安です。
トレードスタイル | 取引頻度 | 利幅 |
---|---|---|
スキャルピング | 数十回/日 | 1~10pips |
デイトレード | 数回/日 | 10~100pips |
スイングトレード | 数回/月 | 100~500pips |
ポジショントレード | 数回/年 | 500~1500pips |
それぞれ超短期・短期・中期・長期トレードと言っていいでしょう。
まず、普段の生活の中でFXができる時間を考えてみて、自分に可能な取引頻度のトレードスタイルを明確にします。
次に、それぞれの目安となる利幅を参考に、どのくらいの取引数量で注文をしていけばどのくらいの利益が狙えるかしっかりイメージしましょう。
ここを間違えてしまうと、「隙間時間に焦ってギャンブル的な取引をしてしまう」「ダラダラと取引をして一向に利益も上がらない」「日常生活に支障が出る」など、無謀な取引をしてしまいがちです。
このように、自分のライフスタイルに合った十分な投資計画を事前に練る事が大切です。
それでは、それぞれをもう少し詳しく見ていき、自分はどのトレードスタイルが合っているのか確認していきましょう。
短期・中期売買メインのデイトレーダーは大きな利益が期待できる
- 1日に数回などの売買を繰り返すことで短期間で大きなリターンが期待できる
- チャートを頻繁に確認する時間が必要
- テクニカル分析が重要
短期取引で取引回数が増えるほど、資金の回転効率はよくなります。
例えば、米ドル円は1日に約100pips上下しますが、一直線に動くわけではなく1日中上がったり下がったりしてどちらかに動いていきます。
細かい短期トレードでその小さな波をコツコツ取れるだけ取れば、ポジションを持ちっぱなしにしているよりはるかに大きな利益を出すことができます。
また、そのような瞬間の値動きを取るには長期的なファンダメンタルよりも、今のチャートの値動きで判断するテクニカル分析の方が重要です。
テクニカル分析の種類・基本編|FXチャート・為替レートの見方まとめ
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長期投資はスワップポイントも積み重なる
- 売買の回転数が少なくなるので利回りは短期売買より小さくなる
- 相場の大きな流れに乗り、長期的なポジションで利益を出すためチャートに張り付く必要がない
- 金利差であるスワップポイントを積み重ねることでも利益を出せる
- ファンダメンタル分析が重要
長期保有する前提になると、あまり高いレバレッジをかけることがないためリターンは短期売買よりも低くなります。
しかし、長期間ポジションを保有することで毎日のスワップポイントが積み重なっていくため、為替差益(キャピタルゲイン)とスワップポイント(インカムゲイン)の両方の利益を得ることができます。
デメリットとして、まとまった利益を出そうと思うと、同じくまとまった金額の資金が必要となることが挙げられます。
ファンダメンタルを重視するためチャートに張り付く必要性が低くなる一方で、日々、世界の政治・経済情勢の変化を追って理解しておく必要あります。
自動売買とは
自動売買は、その名の通りシステムがエントリーから手仕舞いまでを自動で判断して売買してくれるFX会社のサービスです。
その時の相場に合った最も良い設定を引き当てられた場合、月利15%ほどのハイパフォーマンスを出すことも可能です。
注意点として、売買こそシステム任せですが、その運用を続けるか止めるかは適宜自分で判断しなければいけません。
そのため相場状況に合わせた設定変更やシステムの停止タイミングを見誤ると大きく資産を減らしてしまう可能性があります。
FX初心者はその部分の裁量を培うという点でも最初は「裁量トレード」をおすすめします。
リピート系注文(半自動売買)
近頃、利回りの良さで話題のサービスに「リピート系注文方式」という半自動売買があります。
リピート系注文方式とは、1注文あたりの利幅・注文間隔・取引数量などの条件をあらかじめ設定し、下がったら買い・上がったら売りを繰り返す半自動売買です。
裁量取引でも「IF-DONE + OCO注文」を使えば自分で行うこともできますが、同じ条件の注文を仕掛けようとした場合には、大変な手間がかかってしまいます。
それを簡単に設定できるようにしたものがリピート系注文方式です。
主にレンジ相場に有効なトレード方法で、トレンドが反転しても注文内容が相場を追従する、相場が上がっても下がっても利食いを狙えるなどのメリットがあります。
代表的なものには、アイネット証券の「ループ・イフダン」、マネースクエアの「トラリピ」、外為オンラインの「iサイクル注文」などが挙げられます。
しかし、いずれも別途手数料がかかったり、スプレッドが裁量取引よりも広めに設定されていたりと取引コストは割高です。
また、レンジ相場に強い反面、暴落・暴騰時には含み損を抱えたポジションが大量に作られてしまいます。
いくら「少額投資可能」「自動売買」とは言え、裁量取引・自動売買同様にロスカット・強制決済があるので、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析は必須です。
リピート系注文はいつでも稼働停止することができます。相場が大きく変動する重要イベントに備えることができ、運用資金にも余裕のある人が向いています。
メリット
- 注文内容が明確
- 少額から自動売買ができる
- 利食い・損切りの判断が人間の感情に左右されない
- レンジ相場に強く相場が上がっても下がっても利食いを狙える
- トレンドが逆転しても注文内容は相場を追従する
- 常時パソコンを稼働させておく必要がない
デメリット
- 手数料が高い・スプレッドが広い
- 暴落・暴騰に弱く損切りロスカットに注意が必要
半自動売買に向いている人
- 裁量取引をする時間のない人
- 十分な資金を用意できる人
- テクニカル分析やファンダメンタルズ分析ができる人
- 必要な時には稼働停止の判断ができる人
半自動売買に向いていない人
- 資金の少ない人
- 投機的なトレードをしたい人
- 十分な相場分析ができない人
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システムトレード
システムトレードは、あらかじめ用意された売買プログラムの中から好きなものを稼働させるだけで、勝手に新規注文と利食い損切りを繰り返してくれる自動売買です。大幅にトレード時間の節約・精神的負担の軽減を実現してくれる便利なシステムです。
代表的な自動売買のシステムには「ミラートレーダー」と「メタトレーダー4(MT4)」の2種類があります。
ストラテジーを選ぶミラートレーダー
ミラートレーダーは、インヴァスト証券の「シストレ24」が有名で、直感的な操作で初心者でも本格的な自動売買ができます。
シストレ24は6000種類以上のストラテジー(売買プログラム)をランキングから選択し、運用実績に応じてストラテジーの入れ替えまでも自動で行ってくれます。
プログラムを自作するMT4
さらに高度なプログラミングを駆使して自動売買を行いたい人は、FXTF(ゴールデンウェイ・ジャパン)などで取扱をしている「メタトレーダー4」がオススメです。
メタトレーダー4(最新はメタトレーダー5)は、フリーの高機能チャートソフトです。
裁量取引も可能であり、EAと呼ばれる無料・有料の売買プログラムを入手、または自作することで自動売買が可能です。
ただし、メタトレーダーでEAを稼働させるには常時パソコンをONにしておく必要があります。
自動売買の注意点
売買プログラムは、相場との相性によっては稼働直後は一時的に連敗をしたとしても、その後、連勝を重ね総合的には大きな利益を生み出せる場合もあるので、長期的に稼働させることが前提条件です。
また、一つの売買プログラムを6ヶ月間稼働させたとしても、稼働時期が違えば最終的に利益となる場合もあれば損失となる場合もあり得ます。
極端な話、売買プログラムと時期によっては含み損を6ヶ月抱えてしまうことも考えられるので、「損切りして売買プログラムを変えるか」「同じ売買プログラムでもう少し粘るか」といった判断は、最終的に人間が下す必要があります。
既存の売買プログラムは、それぞれ性格や特徴・過去の運用成績などは公開されていますが、具体的な注文方法は非公開という点が自動売買の難しいところです。
つまり、自動売買で利益を出していくには売買プログラムがどのような相場が得意か不得意かを見極めるだけの稼働期間・余裕資金が必要です。また、取引回数が多くなるため、取引コストの安いFX業者を選ぶことも大切です。
資金全てをFXの自動売買に投資するのは得策ではありません。
メリット
- 設定が簡単
- 利益率や勝率などでプログラムを選択できる
- 利食い・損切りの判断が人間の感情に左右されない
デメリット
- 運用方法が正しいかどうか判明するのに時間がかかる
- 取引内容はほぼブラックボックスになっている
- 高度な自動売買にはプログラミングの知識が必要なものもある
- 定期的にプログラムの評価と入替が必要
- 手数料が高い、スプレッドが広い
- 常時パソコンを稼働させておく必要があるものもある
自動売買に向いている人
- 裁量取引をする時間のない人
- 売買プログラムを長期的に評価できる人
- 十分な資金を用意できる人
自動売買に向いていない人
- 売買プログラムを長期間運用ができない人
- 資金の少ない人
- 投機的なトレードをしたい人
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FXのリスクとデメリットを理解する
裁量取引でも自動売買でも、リスクはあまり変わりません。
得ようとするリターンの分だけリスクはあります。
重要なのはそのリスクをどれだけ自分で限定できるか、ということであり、それは自分自身の裁量次第なのです。
そのため何もわからない初心者より相場分析に慣れた経験者の方が、裁量トレードの成績は良くなりますし、自動売買の停止タイミングも判断できるの勝ち逃げできるのです。
2ch(5ch)などでFXはやめとけと言われるのは、何もわからずに適当にトレードして、ロスカットで大きく資産を減らしてしまう人が多いからです。
FXで大負けする要因はロスカットのみと言っても過言ではなく、その他のリスクはあまり大したことがありません。
また、「ロスカット=借金」と勘違いする人もいますが、FXで借金を背負うようなこともほぼありません。
その他のFXのリスク全般については「FXのリスク・危険性とデメリット!初心者が失敗しないために知るべきこと」をご覧ください。
ロスカット・強制決済を防ぎながら利益を追求する
FXはレバレッジを高くするほど少ない資金で取引できるようになるため利益率が上がります。
また、FXの利益には上限がなく、ポジションの保有期限もないので、自分で決済注文を入れない限りいくらでも利益を追求することができます。
しかし、もし予想とは反対に相場が変動し大きな含み損を抱えてしまった場合は注意が必要です。
証拠金維持率がFX業者が定めるロスカット率というものを下回ると、自動的に全てのポジションを反対売買されてしまう「ロスカット(強制決済)」という仕組みがあります。
そのため、為替差益・スワップポイントどちらを狙うにしても、エントリーと手仕舞いのタイミングが最重要であり、いかにロスカットされずに利益を積み上げていくことができるかがFXで利益を出すポイントとなります。
ロスカットと損失の目安
FXのリスクである、ロスカット・強制決済・追証は、FX口座に預託している資金(口座預託金)を調整することによって回避可能です。
常に「(ロスカット基準額+評価損) < 口座預託金」となるようにしておけばロスカットを防ぐ事ができます。
例えば、USD/JPYのロングポジションを1万通貨1米ドル100円の時にエントリーした場合の必要証拠金は4万円です。
このポジション1つだけで考えた場合、ロスカット率50%のFX業者は「口座預託金ー評価損」が2万円を下回るとロスカットが発動します。
この2万円がロスカット基準額です。
少し極端な例ですが、最近では2018年1月~3月にかけてUSD/JPYが約7円も下落しました。
もしこの時に、1ドル113円で1万通貨のロングポジションをエントリーしてしまっていたとして、ロスカットを防ぐためには9万円以上の口座預託金が必要です。
USD/JPY1万通貨の1pipsの損益は100円(1万通貨×0.01円)
7円は700pipsなので評価損は7万円(700pips×100円)
評価損7万円 + ロスカット基準額2万円 = 口座預託金9万円
短期トレードで為替差益を狙っている場合であれば、本来ここまで損失が膨らむ前に自分で損切りをして損失を最小限に抑えます。
しかし、これがスワップポイントを狙った長期トレードの場合は、一次的にある程度の含み損覚悟の上でポジションを持つ必要があるので、評価損がいくらまでならロスカットに耐えられるかという考え方が重要になります。
FX業者選びは利益と損失に直結する
利益の出し方のルールはどこのFX業者でも共通ですが、損益に直結する取引条件は大きく異なります。
ここでは、効率的に利益を出すためにFX業者選びで特に気をつけなければならない次の点について解説します。
- 取扱通貨ペア
- 取引コスト(取引手数料・スプレッド)
- 最小取引数量
- スワップポイントの金額
トレードスタイルで取引する通貨ペアを選ぶ
通貨ペアとは投資する銘柄のことです。株式であれば、どこの会社に投資するか選ぶようなイメージですね。国内FX業者であれば、通貨ペアは10~50種類程度が一般的です。
国内口座数80万以上のDMM.com証券「DMM FX」の通貨ペア例
もちろん選択肢が多い方が利益を狙えるチャンスも多いのですが、経験を積み、さらなるトレードチャンスを狙いたい時になってから通貨ペアの数を意識しても遅くはないでしょう。
しかし、スワップポイントを狙ったトレードをする場合は、通貨ペア選びが最も大切です。
トルコリラ(TRY)、南アフリカランド(ZAR)、豪ドル(AUD)、NZドル(NZD)などの高金利通貨と低金利な日本円との通貨ペアは、どこのFX業者でも比較的高いスワップポイントが受け取れます。
短期トレードは取引コスト(スプレッド)に注意
FXでは、新規注文・決済注文の際に発生する取引コストをいかに抑えるかが大切です。
取引手数料は無料のところが多いのですが、スプレッドと呼ばれるコストは業者によってかなりバラツキがあります。
売値(Bid)と買値(Ask)の金額は同一ではなく、常に「Bid<Ask」という関係になっています。この金額の差のことをスプレッドといい、どこのFX業者でも必ず発生します。
このスプレッドは、原則固定を売りにしているところもあれば、変動制のところもあり、FX業者にとっては実質的な利益となります。
参考記事FXの手数料であるスプレッド!計算方法と変動理由を知っておこう!
トレーダーにとっては、取引頻度・取引数量が多くなるほど重くのしかかってくる取引コストです。
エントリーした時点では必ず含み損を抱えた状態からスタートすることになるので、少なくともスプレッド分は有利に価格変動しなければ損失になってしまいます。
FX業者選びの際にはなるべくスプレッドの狭い会社を選ぶようにしましょう。
ただし、経済指標発表など重要イベント時には相場が大きく変動するとともにスプレッドも拡大する傾向があるので注意が必要です。
参考記事人気FX業者9社をスプレッドが広がる早朝、指標時で比較してみた
投資資金が少なければ最小取引数量の少ない業者を選ぶ
最小取引数量・最大取引数量は、FX業者と通貨ペアによって異なります。
最小取引数量は、メジャー通貨であれば1,000通貨以上や1万通貨以上が一般的です。
もし投資資金が少なければ、SBI FXトレードでは1通貨以上、マネーパートナーズでは100通貨以上から取引可能です。
FX会社 | 取引 通貨単位 | スプレッド | 取引 手数料 | 通貨 ペア | デモ 口座 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
米ドル円 | ユーロ円 | ポンド円 | |||||
SBI FXトレード | 1 | 0.19 | 0.49 | 0.99 | 無料 | 26 | × |
マネーパートナーズ | 100 | 0.3 | 0.4 | 0.9 | 無料 | 20 | × |
ヒロセ通商 | 1000 | 0.2 | 0.5~1.4 | 1.0 | 無料 | 50 | ◯ |
JFX | 1000 | 0.2 | 0.5~1.4 | 1.0 | 無料 | 26 | ◯ |
みんなのFX | 1000 | 0.2 | 0.4 | 0.8 | 無料 | 21 | ◯ |
外為ジャパン | 1000 | 0.2 | 0.5 | 1.0 | 無料 | 15 | × |
外為オンライン | 1000 | 1.0 | 2.0 | 4.0 | 無料 | 26 | ◯ |
YJFX! | 1000 | 0.2 | 0.5 | 1.0 | 無料 | 25 | ◯ |
セントラル短資 | 1000 | 0.2 | 0.4 | 0.9 | 無料 | 25 | ◯ |
FXTF | 1000 | 0.1 | 0.4 | 0.7 | 無料 | 30 | ◯ |
外為どっとコム | 1000 | 0.2 | 0.5 | 1.0 | 無料 | 30 | ◯ |
楽天FX | 1000 | 0.2 | 0.5 | 1.0 | 無料 | 24 | × |
マネックスFX | 1000 | 0.2 | 0.4 | 0.9 | 無料 | 16 | ◯ |
FXプライムbyGMO | 1000 | 0.3 (1shot50万通貨以下の場合) | 0.6 | 1.1 | 片道30円 | 20 | ◯ |
※2022年6月現在
単位:銭
スプレッド原則固定(例外あり)
参考記事1通貨、100通貨、1000通貨単位比較!FX少額取引業者おすすめランキング
しかし、取引数量が少なければ、いくらレバレッジを高くし短期トレードに徹したとしても利益は微々たるものなので、少額取引はあくまでFXの練習として捉えたほうが良いでしょう。十分な利益を狙うのであれば、それなりの取引数量と投資資金が必要です。
また、南アフリカランド(ZAR)、メキシコペソ(MXN)などの高金利マイナー通貨は最小取引数量が10万通貨以上のところも多いです。
最大取引数量には、1注文あたりの上限、1日あたりの上限、通貨ペア別のポジション保有上限、全通貨ペアのポジション保有上限などの種類がありますが、主にスキャルピング、デイトレード、大口取引といったトレードスタイルで気をつけなければならないものなので、最初のうちはあまり意識する必要はありません。
スワップポイントの高い業者を選ぶ
前述の通り、同じ通貨ペアであってもFX業者によってスワップポイントの金額は全く異なります。
高金利通貨はヒロセ通商が高いスワップポイント
スワップポイントは未決済のポジションを長期間保有することになるので最初が肝心です。
後になって「別のFX業者だったらもっと利益が出ていたはず」ということも当然あり得ますので、十分に調査した上で取引を開始するようにしましょう。
ほとんどのFX業者の公式サイトには、過去のスワップポイントの付与履歴が公開されているので参考になります。
また、トレードスタイルによって複数のFX業者を使い分けることが、効率的に利益を出すためのポイントです。
短期トレードで為替差益を狙う場合はなるべくスプレッドの狭いFX業者を使い、長期トレードでスワップポイントを狙う場合はスワップポイントの付与金額が平均的に高く、未決済でも受け取れるFX業者を利用した方が良いでしょう。
参考記事FX口座を複数開設するメリット・デメリットとおすすめの使い分け方
その他の注意点
その他にもFX業者選びで気をつけたいポイントは次のようなものがあります。
- サーバーの強度
- スリッページの頻度
- トレードツールの利便性(パソコン・スマホ)
- ロスカットルール
- 業者の安全性
サーバーの強度、スリッページの頻度、トレードツールの使いやすさは、FX業者のシステムの問題です。これらの条件が悪いと短期トレードの場合は、利食い・損切りの機会喪失に繋がり兼ねません。
(スリッページとは、希望価格とは異なる価格で注文が約定してしまうことで、通信状況・業者のサーバー処理能力、相場状況によってたびたび発生します。)
また、FX業者の安全性が重要なのは、預入している資産の保証はもとより、長期トレードのポジションを数日先から数年先まで保有し続けることができるほど信頼の置ける業者でなくてはならないためです。未決済のポジションを別の業者に移すことはできません。