自分の取引手法が固まるまでは、どのように損切りルールを決めればいいのか悩みますよね?
この記事では損切りルールの決め方を、初心者レベルからステップアップできるように解説していきます。
強制ロスカットは突然きます
FXをやっていて最大の恐怖がロスカット、強制ロスカットです。
私は、朝起きたら、FX会社からロスカットしたという旨のメールを受信して、冷や汗が止まらなかった経験があります。
こうならないためにも、予想した展開になっていないと思ったらすぐに損切りすることが大切です。
ストップ注文(逆指値)は絶対に入れるべき
損切りはFXの中でとても大切なことですが、ずっとFX市場を眺めていることは出来ないという人がほとんどでしょう。チャートとずっとにらめっこしている時間のある人はなかなかいません。
そんなときに、便利なのがストップ注文(逆指値)です。これは、あらかじめこの価格値段になったら買う(売る)と設定しておくことで自分自身が気づかないときでも大きな損失を防いでくれます。
「自分ではなかなか損切りができない」という優柔不断な人にもとても有効な手段です。
FX取引の最中の人間の心理はとても揺れやすいものです。あらかじめ損切りの基準を決めておいてもいざ、損失が出た時に「もう少し粘れば巻き返せるかもしれない、勝つかもしれない」と損切りをせずにずるずると損失を増やしてしまったというのはよく聞く話です。
でも、あらかじめ自分自身が許容できる数値を設定しておけば、もしものときも心に余裕が出来ます。普段仕事などでチャートを確認できない人には絶対に逆指値を設定しておくべきです。
「DMM FX」や「GMOクリック証券」は新規注文と同時に損切り注文を入れられるので、このような機能は積極的に使っていきましょう。
損切り幅の目安はどのくらいがいい?手法別のpips
損切りのルールはこれから見ていきますが、まずどれくらいの値幅が損切りとして最適なのでしょうか。
これはトレードの手法やどの通貨ペアをトレードするかによっても変わってきますが、例としてドル円だと大体これくらいという目安を表にしました。
人によって許容できる損切り幅や手法は異なるので、あくまで私の場合はということでご参考ください。より詳しくは後述する「pips数で損切りを決める」をご覧ください。
FXの単位pips(ピップス)とは?1pipsはいくら?損益の計算方法
手法 | 損切り幅の目安 |
---|---|
スキャルピング | 3〜10pips |
デイトレード | 10〜30pips |
スイング | 30〜150pips |
スキャルピングの損切り
個人的に、スキャルピングの損切りは最も難しいです。
デイトレードやスイングトレードのように、テクニカル指標での反転を確認したり、じっくり考える時間が少ない中で損切りの判断をする必要があるからです。
スキャルピングの損切りで最も信用すべきは、ティックチャートやローソク足、短期の移動平均線など直近の値動きを強く反映したテクニカルです。
また、順張りか逆張りかでも状況は異なります。
それらの損切りタイミングとしては、
順張りの場合、「ローソク足が短期移動平均線を割り込んだら(超短期トレンド転換)」
逆張りの場合、「利益が乗ったが、トレンドの勢いが収まらず再度高値・安値を更新したら(逆張り失敗)」
などが挙げられます。
失敗したと思ったら、逆指値にかかる前に裁量ですぐ損切りすることが重要です。
スキャルピングは損大利小になりやすい取引手法なので、もし損切れずに損失が15pips、20pipsと拡大すると切るに切れなくなってしまいます。
「ヒロセ通商」や「JFX」のような「スキャルピングOK」かつ新規注文時に損切り注文も入れられる業者の利用をオススメします。
デイトレード・スイングトレードの損切り
デイトレードやスイングトレードの場合、損切りを考える時間はじっくりあります。
サポート・レジスタンスのブレイク、テクニカル分析でのトレンド転換など、あなたがエントリーをした根拠が崩れたらすぐに損切りする勇気が必要です。
また損切りできずにズルズルと損を伸ばしてしまわないために、手法に応じた損切り幅のストップ注文も必須です。
FX初心者におすすめな4つの損切りルールとタイミング
FX初心者は、いきなりテクニカルだ、ブレイクだと言われても難しいと思うので、もっと簡単なものからどんな損切りルールがあるかを見ていきましょう。
投資をする人のレベルに合わせて次の4つの損切りルールがおすすめです。
- 資金に対するパーセンテージで損切りする
- pips数で損切りを決める
- テクニカル分析で損切りポイントを決める
- 重要なポイントのブレイクで損切りする
1:資金に対するパーセンテージで損切りする
多くの本などで推奨されている損切りルールは、資金に対するパーセンテージで損切りすることでしょう。
例えば、資産の2%の含み損になったら損切りをする、といった感じです。
これを2%ルールといいます。
もし100万円の資金だったら、含み損が2万円になったら即座に損切りを行います。
とてもシンプルで損切りポイントがわかりやすいルールだといえるでしょう。また一度の損切りで口座資産を大きく痛めることがなく、かなり浅い傷で済ますことができます。
その反面、2%の浅い傷で切るということは利益も同等かそれ以上の薄めのトレードになるため、長期のポジションではなく、ある程度回数をこなすトレードに設定される数字となります。デイトレーダーに好んで使われる数字です。
まだ損切りのルールがはっきりと決まっていないFX初心者は、まずはこの資産に対するパーセンテージで損切りするルールを取り入れてみてはどうでしょうか。これだけでも損失に対する接し方や考え方はかなり成長していくでしょう。
他にも1%ルールや5%ルールなどがありますが、これらはより短期、もしくは長期のトレードの場合に使われる数字になります。
2:pips数で損切りを決める
pipsによる損切りもルールのひとつです。これは特にスキャルピングやデイトレードなどの短期的な取引を行っている人が多く利用しています。
先ほど、損切り幅の目安として出したものがこのパターンです。
例えば、ドル円のデイトレードで20pips逆行したら損切りする。
ポンド円のスキャルピングで25pips逆行したら損切るする。
ポンドドルのスイングで300pips逆行したら損切る、といった感じです。
このpips数で損切りを決める方法も、先ほどの資産のパーセンテージで損切りするルールと同様に、FX初心者におすすめの損切りルールです。
メリットは、資金がどれだけ上下しても常に同じ感覚でトレードし続けられることです。
デメリットは、同じ損切り幅を他通貨ペアで使い回すと勝手が全然異なってしまうので、取引通貨ペアに応じて設定幅を変える必要があります。
例えば、ドル円だと10pipsで損切りしていたのを、値動きの大きいポンド円でも10pipsで損切りしていると、あっというまに損切り貧乏になってしまいます。ポンド円の場合は25pips逆行で損切るなど通貨ペアによってルールを変化させましょう。
これは要するに、今の相場のボラティリティに合わせた損切り幅を設定することが重要ということです。
相場のボラティリティ平均を出すにはATR(Average True Range)というインジケーターが有効です。ATRは通常、ローソク足14本分の値動き平均値を表示します。
(ヒロセ通商 LionチャートPlus+ ドル円4時間足 ATR)
ATRをメインで使用している時間足に表示して、その数値を元に損切り幅を決めるのが今の相場に合ったストップと言えるでしょう。
またスキャルピングのような、もともと薄い利益を狙うような取引手法は、pipsの幅だけを見て損切りしてしまうと大きな損失がない代わりに利益もなくなってしまうので注意が必要です。
3:テクニカル分析で損切りポイントを決める
テクニカル指標により、損切りするポイントをみつけるルールです。
市場の動きをチャートなどをみながら予測して、複数のテクニカル指標を用いながら損切りのポイント、タイミングを探るものです。これは、多くのFX利用者が用いている手法です。
例えば、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下回ったら買いの損切りをする、逆に短期が長期を上抜けたら売りの損切りをする、といった感じです。
テクニカル分析で損切りポイントを決めるためには、そのテクニカルの優位性をしっかりと検証しなければいけません。
初心者にとってはその優位性を探すまでにある程度の時間が要求されます。
それなりに長い期間、投資をしている人にとっては、自信をもって損切り出来るルールとなるでしょう。
テクニカル分析については以下の記事で詳しく説明しています。
4:重要なポイントのブレイクで損切りする
損切りルールのひとつに重要なポイントのブレイクアウトで損切りすることが挙げられます。
これはローソク足が強い実線で重要なポイントをブレイクアウトした時、損切りを行うルールです。重要なポイントをブレイクしたあとは、そのままの勢いでトレンドが発生し、見る見る間に損が膨らんでいく可能性が高いからです。
これは私も取り入れている損切りルールのひとつです。
重要なポイントとは、チャート上で過去に何度も跳ね返っている箇所や、直近で高値や安値になっている箇所です。
反転ポイントについて詳しく知りたい人は次の記事を読んでみてください。
注意点としては、ブレイクには騙しもあるということです。ブレイクしたと思ったら、すぐに反転して戻ってくることがあります。
ブレイクの判断としては、できるだけ長い期間のチャートで足の確定を待って、実線でブレイクしたことを確認する、ことが挙げられます。
FXのブレイクアウトとは?エントリーポイントと騙し回避の方法
上級:突発的な出来事で流れが変わったら損切りする
為替相場は突発的な出来事が起こり、急に今までの流れがすごい勢いで変わることがあります。
この損切りルールは日常的に行うものとは違いますが、例外的な出来事が起きた場合にとりあえず損切りして市場の動きが読めるまで待つ、という重要な役目があります。
FXは24時間取引が可能なので、いつ政治や中央銀行の要人が爆弾発言をするかわかりません。また地震やテロなど急な出来事も事前に予想することはできません。重要な経済指標がまったく予想外の結果だった時もこれに当たるでしょう。
そういった場合に、相場は大きく荒れてどちらに動くか予想が付きづらくなります。
2016年にトランプ氏が大統領選で勝利した時、予想外の結果に市場は暴落しました。そしてほぼ全てのアナリスト、評論家は、トランプ氏が大統領になると市場は暴落すると唱えていました。
しかしその日のうちに暴落は下げ幅を取り戻し、以降連日連夜チャートは上がり続けました。これを予想した人はほとんど誰もいませんでした。
突発的な出来事で場が荒れてどうなるかわからなくなった時、まずはポジションを手仕舞いしてしばらく冷静に様子を見ることが必要です。
ダメ:強制ロスカットまで耐える
自分でロスカットできないから強制ロスカットまで耐える。これは勿論やってはいけません。損切りルールではないのですから。
しかし、中には本当にこの強制ロスカットをストップ代わりに使っている人もいます。
あらかじめ許容できる損失額のみを口座に入れておいて、損失を限定させるというやり方です。資産のパーセンテージで損切りする方法を荒っぽくしたような感じです。
何も考えずにただ含み損に耐えるよりはまだマシですが、損切りは自主的に行うことで習慣としても身につきます。できるだけ自分で決めたルールで自分の手で損切りするようにしていきましょう。
損切りの精度を上げる方法
損切りを向上させるには、簡単なものから慣れていって、より高度なものにレベルを上げていく必要があります。
本当に始めたばかりのFX初心者には、「資産に対するパーセンテージで損切りする」のがおすすめです。固定の幅で損切りすることで、損切りをするという行為への慣れ、相場自体への慣れ、損切りすることの重要性がわかってきます。
そして、損切りと相場に慣れてきたら「pips数で損切りする」ことも有効です。そうすることで自分の資産にしか向いていなかった目線が、チャート上で有効なストップを見つける目線に変化することができます。
「pips数で損切りする」ようになったら、次はより損切りの精度を高めるため「テクニカル分析」や「重要なポイントのブレイクアウト」などを意識してチャートを見るようにしましょう。
このように少しづつ相場対する目線や意識を増やしていって、損切りだけでなく総合的にトレードの実力を上げていくようにしましょう。
FXで損切り貧乏にならないために
損切り貧乏とは、損切りをバシバシして資産を減らしてしまう人のことです。
まだ理論の固まっていない初心者は根拠のない損切りを繰り返してしまいがちです。
この場合、たしかに大きな損失を出さずに済みますが、根拠のないトレードでは利益を出すこともできません。損切りするのには必ず根拠も持つようにしてください。
FXで勝つためには、「損切りと利益確定のバランス」「トレードの勝率」の2つが必要です。
トレード勝率は手法次第になってしまうので、万人に言えるのは良い位置で利確することです。
FXの利確については、次の記事で説明しています。
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利確とは、「利益確定」の略です。 「利確が早い」「利確が遅くて損切りになった」「利確できない」など、適切な利確タイミングというのは難しいものです。 今回は、そんな問題を…
まとめ
FXトレードにおいて、損切りは絶対に身につけておかなければならないことです。
うまく損切りが出来ないと自分の大切な投資資金を大きく減らしてしまい、最悪の場合多くの負債を背負うことにもなりかねません。
損切りは様々な手法がありこれなら絶対に大丈夫だというものは残念ながらありません。大切なのは、自分自身が決めた損切りのルールをしっかりと守れるのかどうか?ということです。
損切りするというときは、当たり前ですが予想が外れてしまった状況です。当然精神的にも良い気分ではなくなります。そうすると、人間の心が乱れてしまい普段はしっかりと決めていたルールを守れなくなってしまいます。
一度でも、自分の決めたルールを破ってしまうと制御できなくなってしまいますので、心に流されずにあらかじめ決めておいた損切りのルールに従って取引を行うことが大切です。人間の心は弱いものだというのを忘れずに例外を作らないことが大切です。
そしてルールを作るにも一定の経験が必要ですので、ある程度FX取引の経験を積んだらルールを見直したり再構築していくようにしましょう。