近頃は、どのFX会社も業界最狭水準のスプレッドを強みにしていますが、実際に使用してみるとやたらとスプレッドが拡大するんですよね。
早朝や経済指標発表時は特にスプレッドが広がりやすいですが、それぞれの業者が実際どれくらい広がるのかは、実際に口座開設して使ってみないとわからないというのが厄介なところです。
そこで、この記事では以下の人気FX会社9社を、スプレッドが広がりやすい「深夜・早朝」と「経済指標発表の前後」にどれくらい拡大するのか検証してみました。
スプレッド拡大を調査した会社
「外為オンライン」「FXプライムbyGMO」「外為ジャパン」「みんなのFX」
目次
通常時のスプレッド比較
まず最初に各FX会社の通常時のスプレッド(1万通貨取引時)を見てみましょう。
FX会社 | USDJPY | EURJPY | GBPJPY | AUDJPY | NZDJPY | ZARJPY | EURUSD |
---|---|---|---|---|---|---|---|
DMM FX | 0.2 | 0.5 | 1.0 | 0.7 | 1.2 | 1.3 | 0.4 |
GMOクリック証券 | 0.2 | 0.5 | 1.0 | 0.7 | 1.2 | 1.0 | 0.4 |
SBI FXトレード | 0.18 | 0.38 | 0.89 | 0.59 | 0.99 | 0.99 | 0.48 |
YJFX! | 0.2 | 0.5 | - | 0.7 | 1.2 | 1.3 | 0.4 |
ヒロセ通商 | 0.2 | 0.5~ 1.4 | 1.0 | 0.6 | 0.8 | 0.8 | 0.3 |
外為オンライン | 1.0 | 2.0 | 4.0 | 3.0 | 6.0 | 15.0 | 1.0 |
FXプライムbyGMO | 0.3 (1shot50万通貨以下の場合) | 0.6銭 (原則固定※例外あり) | 1.1銭 (原則固定※例外あり) | 0.9銭 (原則固定※例外あり) | 1.6銭 (原則固定※例外あり) | 0.9 | 0.6 |
外為ジャパン | 0.2 | 0.5 | 1.0 | 0.7 | 1.2 | 1.0 | 0.4 |
みんなのFX | 0.2 | 0.4 | 0.9 | 0.6 | 1.0 | 0.9 | 0.3 |
単位:対円=銭、対円以外=pips
スプレッド原則固定(例外あり)
どのFX業者も業界最狭水準なだけあって、メジャー通貨のクロス円、ドルストレートのスプレッドは横並びです。
「DMM FX」「GMOクリック証券」「SBI FXトレード」「YJFX!」「ヒロセ通商」「外為ジャパン」「みんなのFX」の7社は、多少の違いはありますが、ほぼ全て同じスプレッドです。
「FXプライムbyGMO」はそれらの業者より約1.5〜2倍程度広めのスプレッドが提示されています。
「外為オンライン」は通常時のスプレッドが最も広く、ドル円、ユーロドル以外は短期トレードにあまり向かない業者です。
このように多少通貨ペア毎にスプレッドの狭い広いはありますが、基本的に各業者提示している数字では大きな差はありません。
深夜、早朝のスプレッド拡大を検証
では、スプレッドが広がりやすい深夜帯や早朝の時間ではどうでしょうか?
2017年6月7日AM6時20分頃の最大スプレッドは次のようになりました。
FX会社 | 最大スプレッド |
---|---|
DMM FX | 1.9 |
GMOクリック証券 | 4.4 |
みんなのFX | 9.0 |
YJFX! | 2.7 |
外為オンライン | 1.0 |
ヒロセ通商 | 7.0 |
SBI FXトレード | 3.8(0.27) |
外為ジャパン | 1.9 |
FXプライムbyGMO | 6.0 |
通常時と同じスプレッドを維持したのは、SBI FXトレード(1万通貨以下限定でそれ以上は3.8pips)と外為オンラインです。
早朝の安定さは外為オンラインがトップですが、DMM FXは次いで2番目に安定したスプレッドを維持していました。
ヒロセ通商、みんなのFX、FXプライムbyGMOは結構広めに拡大しており、早朝のトレードではかなり不利です。
早朝は約30分〜1時間程度スプレッドが不安定となりますので、その時間ずっと拡大していると厳しいものがあります・・・。
ちなみに、深夜はどの業者もほとんどスプレッドは拡大しませんでした。
重要経済指標発表前後のスプレッド拡大を検証
アメリカの雇用統計やFOMC、ECB政策金利発表など重要な経済指標発表の前後は多くのFX会社でほぼ確実にスプレッドが広がります。
では一体どれくらい、いつまでスプレッドが広がっているのでしょうか?
実際に検証したデータをご紹介していきます。
米ISM非製造業景況指数 発表時のスプレッド
↑の画像は 2017年6月5日、米ISM非製造業景況指数の発表時のドル円スプレッドです。
指標発表時の各社スプレッドは次のようになりました。
FX会社 | 最大スプレッド |
---|---|
DMM FX | 6.0 |
GMOクリック証券 | 3.0 |
みんなのFX | 9.9 |
YJFX! | 4.0 |
外為オンライン | 1.0 |
ヒロセ通商 | 4.9 |
SBI FXトレード | 3.8(0.27) |
外為ジャパン | 6.0 |
FXプライムbyGMO | 3.0 |
通常時と同じスプレッドを維持したのは、SBI FXトレード(1万通貨以下限定でそれ以上は3.8pips)と外為オンラインのみです。
次いで、GMOクリック証券とFXプライムbyGMOの2社はまだ安定した方ですね。
その他の業者は一時的ですがやや広めに拡大しています。
ただ今回は発表後に大きな値動きはなく、発表30秒後には全FX業者が通常スプレッドに戻っていたので、指標時のスプレッド拡大は早朝ほど神経質になる必要はないかもしれません。
総合的に最も安定したスプレッドなのはDMM FX
検証の結果、「DMM FX」が総合的に最も安定したスプレッドと言えます。
DMM FXの通常時のスプレッドは業界最狭水準です。
早朝も大きく広がらない安定したスプレッドで、何より他の業者が広がっている間も、ほぼ通常のドル円0.3pipsを維持していました。
指標発表時には他社同様に大きめに拡大しましたが、戻りも早いため、トータルで見ると一番安定していると言ってもいいでしょう。
DMM FXスプレッドまとめ
早朝のスプレッドは他社と比べかなり安定している
指標時のスプレッドは他社平均よりやや広がる
また、同じDMM.com証券の外為ジャパンもDMM FXと同様のスプレッドですが、DMM FXの方が通貨ペア数やキャンペーンなど総合的に優れているので、もし利用するならDMM FXの方をオススメします。
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SBI FXトレードは1万通貨以下ならほぼ広がらない
SBI FXトレードは、今回の比較対象の中でドル円と南アフリカランド円のスプレッドが最も狭く、他の通貨ペアもかなり狭く設定されています。
また、早朝・指標発表時も1万通貨の取引ならスプレッドは一切広がりませんでした。
ただし、SBI FXトレードは1万通貨より大きい取引量になると通常のスプレッド設定が広くなり、早朝・指標時も他社同様に拡大するようになります。
そのため1万通貨を超える取引の場合は、DMM FXの方がスプレッドが狭くなります。
SBI FXトレードスプレッドまとめ
1万通貨を超えると通常時・早朝・指標時に他社同様スプレッド拡大する
少額取引のスプレッドの安定感なら間違いなくSBI FXトレードが一番でしょう。
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GMOクリック証券もスプレッドの安定感は高め
GMOクリック証券の通常時のスプレッドは、全通貨ペアで業界最狭水準となっており、とても優秀です。
早朝はやや不安定になり、スプレッドは一時的に大きく拡大しましたが、大きく広がっている時間はそこまで長くありませんでした。
ただ一応早朝は拡大気味の傾向があるので、取引する際は注意しておきましょう。
経済指標発表時は、広がりはするものの他社平均よりも小さめで戻りも早かったです。
総合的に見ると、スプレッドは比較的優秀な方だと言えるでしょう。
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外為オンラインはほぼスプレッドが広がらない業者
外為オンラインは、通常時のスプレッドが他社よりもかなり広めに設定されています。
ただ、早朝でも指標時でもほとんど広がることがないため、他社がスプレッド拡大している中では最も狭いスプレッドとなります。
通常時はスプレッドが広いため、あまり短期のトレードには向きませんが、中長期のトレードで安定したスプレッドを求める人に向いている業者と言えますね。
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YJFX!は早朝・指標時にスプレッドが広がる
YJFX!も通常時のスプレッドは業界最狭水準で狭く設定されています。
早朝・指標時共に広がりましたが、拡大幅は他社と比較して平均的で可もなく不可もなくと言ったところです。
状況に応じてより最適なFX口座と使い分けるのが良いでしょう。
ヒロセ通商は早朝にスプレッドが大きく広がる
「ヒロセ通商」も通常時のスプレッドは業界最狭水準で狭く設定されています。
しかし、早朝は非常に不安定で他社よりも大きくスプレッドが拡大する傾向があります。
指標時も広がりますが、何よりヒロセ通商を利用する人は早朝のスプ拡大に注意した方がいいでしょう。
朝でも積極的にトレードをする人は他社も併用することをオススメします。
みんなのFXは早朝、指標時にスプレッドが大きく広がる
「みんなのFX」は通常時のスプレッドはかなり狭く設定されています。
しかし、早朝・指標時は今回検証した業者の中では最も大きく広がりました。
これだけスプレッドが拡大すると早朝や指標時のトレードはかなり厳しいですね・・・。
外為どっとコムは早朝にスプレッドが広がると評判
今回、「外為どっとコム」は調査対象外でしたが、口コミでは早朝に広がりやすいという不満が多数見られました。
いずれ、外為どっとコムも含めて調査をしたいと思います。
画像は外為どっとコムのNYクローズのスプレッドです ひどくねえか pic.twitter.com/uJ1i7F8wtP
— No rule no remain (@t_multibook) 2016年6月24日
そして、外為どっとコムはもう使わない。前からそうなのだが、朝の時間、ここという時にスプが開き利確はできないことがあったりして腹立つw!負けてる時にこれやられると手も足もでないw
— いけぞー (@ikezoogoo) 2017年4月6日
FXでスプレッドが広がる理由
ここからは、「なぜスプレッドが広がるのか」「どういう時にスプレッドが拡大するのか」を説明していきます。
為替レートはインターバンク市場を参考にしているため
重要な指標発表時などで急に値動きが荒くなった時は、一般投資家が使用しているFX業者だけではなくインターバンク市場でもレートが消えてしまったりスプレッドが拡大してしまうことがあります。
大元であるインターバンク市場がそうなってしまっては、FX業者のスプレッドが拡大することはやむを得ないことでしょう。
これは、為替レートというものが、実際に銀行間で取引されている実際の取引価格を参考にしている以上ある程度はしかたがないところです。
流動性が低下してしまったから
他に、スプレッドが広がってしまう理由は流動制の低下が挙げられます。
買い手が売り手よりも圧倒的に多くなってしまった場合や、相場の急変動から自分たちのカバーリスクを抑えたい場合などにスプレッドは広がります。
また、カバー先の金融機関が少ないとスプレッドの拡大につながってしまいますので、カバー先が多い業者ほど安定したスプレッドを提供していると考えていいでしょう。
流動性が高いとスプレッドは狭くなる
売買が活発で相場の流動制が高い時、売りと買いが拮抗している場面ではスプレッドは狭くなります。
ただ、これは注文方式がNDDなどの業者の場合で、相対取引の業者ではあまり関係ありません。
国内のほとんどのFX会社は相対取引業者です。
逆に閑散で取引の出来高が少ない時や為替レートが大きく変動している時はスプレッドが拡大してしまいます。
相対取引ではスプレッドをFX会社が決めているため、通常ではスプレッドが拡大してしまうような場合でも全く広がらないFX会社もあれば、広がってしまう会社もあります。
スプレッドが広がりやすいタイミング
近頃はほとんどのFX会社がスプレッド原則固定となっていますが、おそらく全ての会社で、
と書かれています。
また、一部のFX会社では変動スプレッド制を採用しており、その場合は常にスプレッドが変化することとなります。
では一体どんな時にどれくらいスプレッドは変動するのでしょうか?
スプレッドが広がりやすいタイミングには、以下が挙げられます。
- 重要な経済指標・政策発表時
- 値動きが極端に大きい時
- 早朝など流動性の低い時間帯
それぞれについてもう少し詳しく見ていきましょう。
重要な経済指標・政策発表時
重要な経済指標とは、アメリカの雇用統計発表、FRBや日銀による金融政策発表、GDP発表、消費者物価指数CPI、などです。
これらの重要指標は数分で100pipsなどの大幅な値動きが発生する可能性があります。
注目度の高い重要指標の前には、様々な相場参加者が一旦ポジションを整理するために決済をして様子見をしたり、指標後には結果を見ていち早く新しいポジションを建てたりします。
新規の注文と決済の注文が入り乱れることで値動きが荒くなり、スプレッドも広がってしまうことになります。
経済指標の結果が事前に予想されたものと大きく異なった場合は、市場にとって大きなサプライズとなってしまい、通常よりも更に大きな値動きを引き起こします。
そのためスプレッドも通常時より広がりやすくなります。
経済指標でスプレッドが広がってしまった場合、FX会社にもよりますが、通常は数分から長くても10分程度で元に戻ることがほとんどです。
値動きが極端に大きい時
値動きが極端に大きい時もスプレッドは拡大します。
相場では強い一方通行なトレンドの動きが出た時、大量のポジションストップを巻き込み、数分で100pipsなどの急激なレート変動をするときあります。
そのような急変動時にはFX会社のシステムが混雑してしまうので、すべての注文に対処するため、通常時よりもスプレッドを広げることがあります。
値動きの急変でスプレッドが広がった場合、値動きが通常程度に落ち着くまでスプレッドが元に戻らないこともあります。
ひどい業者だと一時的に数百pipsもスプレッドが広がることもあります。
早朝など流動性の低い時間帯
日本時間の早朝は、ニューヨーク市場のクローズとウェリントン市場のオープンが重なったり、多くのFX業者でスワップポイントの支払いや受け取りが発生します。
また閑散で流動制が非常に低くなることから、スプレッドが広がりやすい時間帯となります。
他にゴールデンウィークやお盆、年末年始といった時期は流動制がなくなり相場が閑散とするため、スプレッドが広がることが多くなります。
スプレッドが拡大している時はトレード見送りも考えるべし
もうおわかりの通り、スプレッドが広がる時というのは、「為替相場が急激に変動している時」か「閑散で値動きがほとんどない時」です。
為替変動が激しい時に上手く取引できれば、一瞬で大きな利益を得ることができますが、その分リスクも高くなります。
また、そういう時はスプレッドも大きく広がっていることが多く、スキャルピングなどのごく短期の取引ではスプレッド負けをする可能性が高くなります。
初心者の方は、スプレッドが拡大しているような場面では無理してトレードをせずに見送るのが賢明でしょう。