積立FXは、外貨預金よりも圧倒的に安いコストで定期的に外貨購入ができるサービスです。
特に高金利のトルコリラを積立すると、レバレッジなしでも年利10%弱、レバレッジ2倍で年利20%弱のスワップポイント(金利)が狙えることで話題を呼んでいます。
この記事では、積立FXのメリット・デメリットだけでなく、実際に運用した場合のシミュレーション検証、おすすめ通貨ペアや口コミ評判などを徹底解説しています。
外貨預金や外貨積立、積立FXを検討している人は、最後まで読んでいただくと参考になると思いますよ!
目次
積立FXとは?
「積立FX」は、SBI FXトレード株式会社のFXの仕組みを利用した少額からの積立型投資商品です。
基本的には、SBI FXトレードの裁量取引「FXトレード」と同じ、レバレッジをかけたFX取引なのですが、大きな違いは米ドル円、クロス円の「買ポジション」しか保有せず、定期的に外貨購入を繰り返す「外貨積立」の要素を取り入れた金融商品ということです。
「定期購入」は日次ベース(毎営業日)、週次ベース(毎週水曜日)、月次ベース(毎月26日)を選択することができ、毎回AM11:30の為替レートが適用されます。(営業日以外は翌営業日のAM11:30)
購入する際は、外貨または円で取引数量を指定できます。円で指定すると、為替変動があれば自動で購入数量を調整してくれます。
「定期購入」の他に、好きなタイミングで「外貨購入」「外貨売却」をすることも可能です。その際は、リアルタイムの為替レートが適用されます。
「定期購入」の方法は以下の取引画面で「通貨ペア」「購入金額」「投資効率(レバレッジ)」の3つを設定するだけで良いのでとても簡単です!
スワップポイントとシミュレーション検証
積立FXの目的は長期的な投資であるため、購入できる通貨ペアはスワップポイントが継続的にプラスになっているものに限定されています。
要するにドル円、豪ドル円などのクロス円の買ポジションを保有するということです。
スワップポイントは裁量取引であるSBI FXトレードと同一となります。
参考までに、仮に各通貨ペアを一定の為替レート、スワップポイント、預入資金で1年間運用した場合の年間の利回りも算出してみます。
こうすることで、その他の投資商品と比較し易くなるかと思います。
もちろん、
- 定期預金ではなく積立なので、預入資金は少しずつ増えていくこと
- 円ではなく外貨なので為替変動リスクがあること
- 積立だがFXなのでロスカットによって多額の損失を被る可能性がある
といった異なる部分があるので、あくまで参考と考えて下さい。
また、実際の利回りは為替変動も考慮しなければいけないことに注意してください。
通貨ペア | スワップ ポイント | 利回り | 年間合計 | 為替レート | 必要証拠金 |
---|---|---|---|---|---|
USD/JPY | ¥35 | 1.16% | ¥12,775 | ¥110 | ¥1,100,000 |
GBP/JPY | ¥10 | 0.26% | ¥3,650 | ¥142 | ¥1,420,000 |
AUD/JPY | ¥41 | 1.83% | ¥14,965 | ¥82 | ¥820,000 |
NZD/JPY | ¥56 | 2.62% | ¥20,440 | ¥78 | ¥780,000 |
CAD/JPY | ¥15 | 0.67% | ¥5,475 | ¥82 | ¥820,000 |
CNH/JPY | ¥30 | 6.84% | ¥10,950 | ¥16 | ¥160,000 |
ZAR/JPY | ¥18 | 8.21% | ¥6,570 | ¥8 | ¥80,000 |
TRY/JPY | ¥97 | 11.42% | ¥35,405 | ¥31 | ¥310,000 |
HKD/JPY | ¥1 | 0.26% | ¥365 | ¥14 | ¥140,000 |
(JPY=日本円、USD=米ドル、GBP=英ポンド、AUD=豪ドル、NZD=NZドル、CAD=カナダドル、CNH=中国元、ZAR=南アフリカランド、TRY=トルコリラ、HKD=香港ドル)
(2017/6/1時点のスワップポイントで固定、為替レート固定、預入金額(取引数量)は10,000通貨で固定で、1年間運用した場合)
積立FXのおすすめ通貨ペアは5つ
まず、上記の「積立FXのスワップポイント」でご紹介した運用シュミレーションを元に、「長期運用目的」「利回りの良さ」「必要証拠金の少なさ」の観点から考えると、投資効率の良いオススメの通貨ペアは、豪ドル、NZドル、人民元、南アフリカランド、トルコリラです。
ポジショントレードのように、レバレッジを低く設定したスワップポイント狙いとなるため、必要証拠金が少なくスワップポイントが高い通貨ペアが狙い目です。
上記の通貨ペアは、少額でも少しずつ積み立てていきながら、多くのリターンが期待できる通貨ペアなんですね。
ただし、金利が高い通貨は為替レートが下落する可能性も高いため、安定志向の方は豪ドル、NZドルを選択するのが良いでしょう。
積立FXのレバレッジ
積立FXのレバレッジは、通貨ペアにより異なります。
- 1倍、2倍、3倍から選択:
米ドル、英ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドル - 1倍、2倍から選択:
人民元、南アフリカランド、トルコリラ、香港ドル
積立FXを外貨預金、外貨積立、FXと比較
積立FXは、さまざまな投資商品の特徴を兼ね備えているのですが、その他の投資商品と比較すると次のような違いがあります。
特に優れたところを赤文字にしています。
※表は左右にスクロールできます。
住信SBIネット銀行 | SBI FXトレード | |||
---|---|---|---|---|
外貨普通預金 | 外貨積立 | FXトレード | 積立FX | |
売買 | 買 | 買 | 売/買 | 買 |
片道コスト | 1通貨あたり15銭 | 1通貨あたり15銭 | スプレッド0.27銭 | スプレッド5銭 |
為替手数料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
レバレッジ | なし | なし | 25倍 | 1〜3倍 |
利回り(年利) | 0.02% | 0.02% | 1.16% | 1.16% |
通貨ペア | 9通貨ペア | 9通貨ペア | 26通貨ペア | 9通貨ペア |
預入数量 取引数量 | 1通貨単位 | 500円以上 5000万円以下 | 1通貨単位 | 1通貨単位 |
預入 新規注文 | 任意 | 自動(8:30) 日次・週次・月次 | 任意 | 自動(11:30) 日次・週次・月次 |
売却 決済注文 | 任意 | 任意 | 任意 | 任意 |
保証制度 | 預金保険制度対象外 | 預金保険制度対象外 | 全額信託保全 | 全額信託保全 |
課税 | 利息:源泉分離課税 為替差益:総合課税 | 利息:源泉分離課税 為替差益:総合課税 | 申告分離課税 | 申告分離課税 |
※FXトレード、積立FXの利回りはUSD/JPYのもので、2017/5/2のUSD/JPYにおける10,000通貨のスワップポイント36円を適用して計算しています。
積立FXのメリット
その他の投資商品と比較した場合、積立FXは以下のようなメリットがあります。
- 1通貨(1ドル)から積立できる
- 取引にかかる手間と時間を節約できる
- いつでも追加で購入・売却できる
- FXなので最大3倍までレバレッジをかけられる
- スワップポイント狙いの長期的な運用ができ利回りが良い
- 資金は100%信託保全される
- 為替差益は申告分離課税なので税金が有利
大きなメリットとしては、FX取引にかかる手間と時間を節約し、スワップポイント狙いの長期的な運用が自動で行われることです。
銀行の外貨普通預金や外貨積立と比べると圧倒的に利回りが良いです。また、レバレッジをかけて為替差益も狙えます。
また、外貨普通預金・外貨積立などの銀行商品は、預入資産が外貨であるため銀行の預金保険制度対象外とされ保証がされません。
積立FXは、通常のFXトレードと同様に信託保全されるため100%保証されます。
税金の面でも、積立FXはスワップポイント・為替差益共に、「雑所得」として申告分離課税となるため一律20.315%と大変有利です。(ただし、為替差益とスワップポイントの合計が給与所得以外の所得と合算して年間20万円以下は申告不要)
外貨普通預金・外貨積立などの銀行商品の為替差益は、その他の給与等と一緒に総合課税される累進課税なので、合計所得が大きいほど税率が上がります。
積立FXのデメリット
その他の投資商品と比較した場合、積立FXは以下のようなデメリットがあります。
- 裁量取引のFXよりもスプレッドが広い
- 選べる通貨ペアが少ない
- 金利差が逆転するリスクがある
- スワップポイントの利益を為替差損が上回ることがある
- 証拠金維持率が30%を下回った場合、ロスカットされる
積立FXの取引コストはスプレッドのみですが、通常のFXトレードよりも広く設定されています。
定期購入とは別に、追加で外貨購入を何度も繰り返した場合は、スプレッドの影響が大きいため積立FXにメリットはありません。
そのような取引をする場合は、通常のFXトレードを利用したほうが良いです。
また、当然スワップポイントの利益を為替差損が上回ることがあり、選べる通貨ペアも少なく、今後の経済情勢によっては2国間の金利差が逆転する可能性も考えられます。
証拠金維持率が30%を下回った場合も、ロスカットがあるので注意が必要です。
SBI FXトレードとSBI証券の違いに注意
「積立FX」は「SBI FXトレード」と「SBI証券」で取扱っていますが、この2つは別の会社なので注意が必要です。
「積立FX」自体も「SBI FXトレード」と「SBI証券」では少し異なります。
一番の違いは取扱通貨ペアで、「SBI FXトレード」は9通貨ペア、「SBI証券」は6通貨ペアです。「SBI証券」では、高金利通貨で人気のトルコリラ円などが取引できません。
その他のスプレッドや手数料といった点は全く同じです。
ロスカットされるリスクを検証
積立FXでは証拠金維持率が30%を下回ると強制ロスカットされてしまいます。
ロスカットとは、含み損が一定以上になると、それ以上損失が拡大してしまわないように建玉を強制決済する投資家保護のための仕組みです。
では、どれくらい為替レートが下落したらロスカットされるのかを見てみましょう。
まず、積立FXのレバレッジは1倍、2倍、3倍から選ぶことができますが、レバレッジコースによって必要証拠金が異なります。
おすすめは最も必要証拠金が少なくて済むレバレッジ3倍コースです。
為替レートが1ドル100円の時、1万通貨購入時の必要証拠金は次のようになります。
- レバレッジ1倍コース:必要証拠金100万円
- レバレッジ2倍コース:必要証拠金50万円
- レバレッジ3倍コース:必要証拠金33万円
そして、次の表は「ドル円を1万通貨購入した場合、何pips下落したらロスカットされるか」の早見表です。
口座資金 | 実効 レバレッジ | レバレッジ 1倍コース | レバレッジ 2倍コース | レバレッジ 3倍コース |
---|---|---|---|---|
100万円 | 1倍 | -7,000pips | -8,500pips | -9,000pips |
50万円 | 2倍 | 購入不可 | -3,500pips | -4,000pips |
33万円 | 3倍 | 購入不可 | 購入不可 | -2,300pips |
1pips=1銭です。100pipsは為替レートで言う1円です。
いくら下落したらロスカットされるか
口座資金が100万円の場合、1倍コースだと7,000pips(70円)、3倍コースだと9,000pips(90円)下落するとロスカットされます。
同じ口座資金なのに、レバレッジコースが違うだけで、1倍コースは3倍コースより2,000pipsも早くロスカットされてしまうということです。
ちなみに、2017年のドル円レートは115円ですが、レバレッジ1倍コースでロスカットされるのは為替レートが70円下落し、1ドル45円になった時です。
ドル円の史上最安値は2011年の75円なので、それをはるかに超えて大幅下落しない限りロスカットされる心配はないと言えます。
レバレッジの高いコースの方が効率よく投資できる
口座資金が33万円の場合、1倍コースだと資金不足で1万通貨は購入できませんが、3倍コースなら購入できます。
(積立FXは1通貨から購入できるので、実際は1倍コースでもより少額の購入が可能ですが、比較する上でわかりやすいので、1万通貨が購入できるかどうかで比べています。)
ロスカットされないために重要なただ1つのこと
積立FXでロスカットされないために重要なのは次の1つだけです。
- 証拠金維持率が低くなってきたら口座内に入金して余力を増やす
この点に気をつけていれば、ロスカットされる可能性は限りなくゼロに近づくでしょう。
積立FXの口コミ・評判
SBIの積立FXがスワップポイント製造機で真面目に良い
— なぎさカカリチョー(他称)@物欲マシマシ (@nagisa_clannad) 2017年6月24日
積立FX口座では無限ナンピンを実施中、落ちるナイフを拾い続けています。普通のFXはやっぱりおれには無理です
— Hagiwara (@tcp_kp) 2017年3月22日
こんばんわ〜
トルコリラとランドは主に積立FXです(^^) (積立FXはググってください)
私は、「利率の良い銀行」というイメージで使ってます。この2つの通貨は会社によりスワップ・スプレッドが全然ちがうので
FX取引では注意が必要です。
では〜— Nika009 (@s4201_nika009) 2017年3月16日
実験内容をごく簡単に説明すると、
SBI証券の積立fxを低レバというかレバなしで6通貨1日100円積立てる。
1通貨あたり年15万迄積立して、四半期毎にリバランス。
年末に利回り良いもんは決済、悪いのは塩漬けして積立停止放置の繰り返し。
これ割と効率いいんじゃないかなと。— えんぞう aka enzo (@photoenzo) 2016年12月8日
スプレッド・手数料は銀行と比べて格安
積立FXの手数料は無料なのですが、スプレッドは裁量取引のFXトレードよりもかなり広いです。
しかし、取引回数は多くても1日1回なのでスプレッドにかかるコストが重くのしかかってくることはないでしょう。
ただし、追加で外貨購入を何度も繰り返すのであれば、単純なFX取引をしているだけなので、FXトレードを利用した方がコストの面で有利です。
外貨預金として考えた場合は、積立FXを利用した方がコストの面で圧倒的に有利です。
外貨預金はおすすめしない!FXレバレッジ1倍と比較してわかる違い
例えば、住信SBIネット銀行の外貨普通預金・外貨積立の為替手数料は、1通貨あたり片道15銭なので10,000通貨の購入でも¥1,500かかります。
ネット銀行以外のメガバンクの為替手数料はさらに高いですが、積立FXなら取引量に関わらずたったの5銭で済みます。
- 取引手数料:無料
- 口座管理手数料:無料
通貨ペア | スプレッド | 通貨ペア | スプレッド |
---|---|---|---|
USD/JPY | 5銭 | CNH/JPY | 10銭 |
GBP/JPY | 30銭 | ZAR/JPY | 5銭 |
AUD/JPY | 20銭 | TRY/JPY | 40銭 |
NZD/JPY | 30銭 | HKD/JPY | 5銭 |
CAD/JPY | 30銭 | - | - |
積立FXのスマホアプリ
積立FXには専用スマホアプリはありません。裁量取引ツールである「FXトレード」のアプリでも積立FXを利用することはできません。
しかし、スマートフォン対応のモバイルサイトにアクセスしてiPhone・Androidでも取引することはできます。
操作できる内容は、「定期購入申込」「入出金」「申込内容照会」「履歴確認」です。
まとめ
このように、積立FXは「外貨積立」と「FXのポジショントレード」を組み合わせた長期投資を目的とした金融商品です。
銀行の外貨預金や外貨積立よりも遥かに安いコストで運用ができ、金利も高く、レバレッジを3倍までかけることができるのでリスクを抑えながら効率よく投資が可能です。
保証内容は100%信託保全のため非常に安全性も高いです。
1通貨の少額で始められることから初心者向きでもあり、分散投資の1つとしても利用できるため、今の時代のニーズにとても合った投資方法と言うことができますね。
- 外貨積立をするくらいであれば、コストが安く利回りの良い積立FXを利用する。
- FXでポジショントレードするくらいであれば、手間がかからず便利な積立FXを利用する。