ADX / DMIはチャート分析の中でも、トレンドの方向性や強弱を測るのに向いているテクニカル指標です。
使い方は、FXでも株でも仮想通貨でも基本的に同じなため、一度覚えてしまえば他の投資対象でも利用することが可能です。
この記事では、ADX / DMIの使い方や手法をFX歴10年の専業トレーダーが解説します。
その他のテクニカル指標については次の記事で解説しています。
テクニカル分析の種類・基本編|FXチャート・為替レートの見方まとめ
ADX / DMIとは?
ADX / DMI はAverage Directional Index / Directional Movement Indexの略で、日本語だと「移動平均値/方向性指数」と訳されます。主にトレンドの強さを表すトレンド系のテクニカル指標でADXと+DI、-DIの3本のラインで構成されたものです。
- 「+DI」は上昇トレンドの強さ
- 「-DI」は下降トレンドの強さ
- 「ADX」は+Dと-Dの剥離率
-DIは下降トレンドの強さを表すので、ローソク足が下降すると-DIのラインは上昇します。
慣れるまでは違和感や迷いが出やすく、判断が遅くなるかもしれないので、意識したり確認する必要があります。
また、+DIと-DIの二つを同時に見るとその関係性は一目均衡表の雲に似ているので、見方によっては横方向に出来ていく雲と考えることもできます。一目均衡表の雲に慣れている方にとっては違和感は少ないかもしれませんね。
そして、+DIと-DIはお互いが離れて行くほどそのトレンドが強いことの表れであり、同時にADXも上昇することになります。逆にトレンドが出ていない時は3本のラインが同じ様な位置にあったり、同じ方向へ進んだり絡み合っていることが多くなります。
このADX/DMIはRSIを考案した事でも知られるJ.W.ワイルダー氏によって1978年に発表されたものであり、RSIの弱点を補うものとして考案されたと言われています。そのため、この二つの組み合わせることは自然なことと言っていいかもしれません。
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テクニカル指標のおすすめ組み合わせ【ATR・RSI・ADX】
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ADX / DMIの一般的な使い方と売買シグナル
ADX / DMIの一般的な使い方は次のようになります。
- +DIと-DIのクロスでエントリーまたは決済
- +DIと-DIの同時逆方向への変化でエントリーまたは決済
- +DIと-DIの同時下降でレンジ相場、調整、もみ合いの可能性大
- +DIが-DIより上にいる時は上昇トレンド中の可能性大
- -DIが+DIより上にいる時は下降トレンド中の可能性大
ADX/DMIのメリット
トレンドフォロー(順張り)に強い
ADX/DMIのメリットは順張りに強い点です。
チャート画像のDMIがクロスしたところ(丸印)は特に大きく利益が取れたと思えるポイントです。この部分でエントリーが出来れば理想的です。
エントリーは、他のテクニカル指標や実際のローソク足のブレイクアウトなどいくつかの判断材料が揃った時にすると、より勝率の高いトレードができるようになります。
ADX/DMIのデメリット
短い時間足には不向き
上のチャートはポンド円の1分足のチャートです。
短い時間足だと+DIと-DIは機能しているのかどうかわからない状態になっています。
また、短い足の順張りだと得られる利幅が小さくなってしまいがちで、利が乗ってもすぐに同値撤退やマイ転してしまうことも多いです。
直感的に判断するのが難しい
これだけジグザグに動く+DIと-DIに加えて、クロスだけを見てもどのタイミングが有効なエントリーポイントなのかがわかりにくいです。
メリットの方でも説明しましたが、ADX/DMI以外の売買シグナルも判断材料としてフィルタリングする必要があります。
また、-DIはローソク足の下落時に上昇しますので、慣れるまで違和感を感じる方も少なくないと思います。
パラボリックと組み合わせる手法
ADX / DMIだけではエントリーポイントとしてわかりづらかったり迷いやすかったりします。
エントリーの精度を上げるために、私が以前よく使っていたパラボリックと組み合わせる手法をご紹介します。
ルールとしては、
- +DIと-DIのクロス、または+DIと-DIの同時逆方向への変化
- パラボリックの変化(上抜けたらロングエントリー、下抜けたらショートエントリー)
の2つが同じ場所(厳密には完全に同じにはならない)同じ方向へ発生した時にエントリーです。
上のチャートはそのエントリーポイントを水色丸印で示しました。
チャートのマス目は1つ約30pipsです。それぞれのエントリーポイントでエントリーした場合の期待値は次のようになります。
- ショートエントリーで最大30pips。
- ロングエントリーで最大60pips。
- ショートエントリーで最大30pips。
- ロングエントリーで最大20pips。
- ショートエントリーで最大40pips。
- ロングエントリーで最大100pips。
- ロングエントリーで最大40pips。
決済のルール次第では勝敗や獲得pips数が上記の様にはなりませんが、パラボリックとの併用は悪くない組み合わせと言えるでしょう。