この記事では、スーパーボリンジャーの使い方や手法をFX歴10年の専業トレーダーが解説します。
その他のテクニカル指標については次の記事で解説しています。
テクニカル分析の種類・基本編|FXチャート・為替レートの見方まとめ
スーパーボリンジャーとは?
スーパーボリンジャーはボリンジャーバンドに遅行スパンを組み合わせたトレンド系テクニカル指標です。
(DMM FXチャート ドル円1時間足)
ボリンジャーバンドの使い方に遅行スパンを組み合わせる事で、エントリータイミングや決済の精度を上げる狙いがあります。
最近になって広く知られる様になったものの、他のテクニカル指標と比較するとまだ利用出来るチャートは少なめです。
スーパーボリンジャーが利用できる代表的なFX会社としては、DMM FXやGMOクリック証券が挙げられます。
スーパーボリンジャーを考案した方はマーフィーこと柾木利彦氏さんです。
マーフィーさんは大手の金融機関でディーラーとしてトップの経験と地位を確立された経歴があり、現在もプロトレーダーとして有名でFXの世界でもとても影響力のある人です。
マーフィーさんは他にスパンモデルと言うテクニカル指標も考案しています。
この様にスーパーボリンジャーとは日本人によって考案された新しいテクニカル指標なのです。
参考記事スパンモデルの使い方と他のテクニカルとの組み合わせ
スーパーボリンジャーの使い方
スーパーボリンジャーの使い方を見る上では、遅行スパンがとても重要になってきます。
遅行スパンとは、ローソク足の終値をローソク足21本分遅らせて表示させたものです。(標準設定)
遅行スパンとローソク足との関係性から、今はトレンド相場なのかレンジ相場なのかを判断します。
- 遅行スパンがローソク足よりも上にある場合は買いが優勢の上昇相場
- 遅行スパンがローソク足よりも下にある場合は売りが優勢の下降相場
- 遅行スパンがローソク足と絡んでいる時はレンジ相場
これをふまえて実際のチャート図1を例として見てみましょう。
(図1・英ポンド/円5分足)
遅行スパンは、紫色のラインです。
青色の部分は「遅行スパンがローソク足より上にあるので」買い優勢、オレンジ色の部分は「遅行スパンがローソク足と絡んでいるので」レンジと判断できます。
このことから、オレンジ色の部分はレンジの動きなので順張りではエントリーしないという判断や、遅行スパンがローソク足を抜けたら押し目を待って買いポイントを探すという使い方が出来ます。
そしてもう一つ、遅行スパンがボリンジャーバンドの3σを抜けた時も強い方向性を示している、またはトレンドが継続していると判断することができ、この状況もエントリーポイントとして活用できます。
緑丸のポイントは、遅行スパンが+3σを抜けた時の主なポイントですがこの3か所の共通点として次の3点が挙げられます。
- +3σの水平ライン上にはボリンジャーバンドの中央線がありサポートしている事
- ボリンジャーバンドの中央線が上昇方向へ傾いていた事
- ローソク足の動きがそれまで小動きであった事
この様に、トレンド発生中での押しや戻りのポイントを探すのにもスーパーボリンジャーは役立ちます。
メリットとデメリット
スーパーボリンジャーのメリット
トレンド相場、レンジ相場の判断がしやすい
メリットとしては現在の相場の状況を判断しやすいと言う点です。
例えば、前述の3つの基本的な考え方をルールとして、買いが優勢である状況ならば買い場を待つだけ。
レンジ相場を示していたらエントリーはしない。
売りが優勢である状況ならば売り場を待つだけ。
と言ったルールを決めてエントリーすれば勝率も決して低いものになる事は無いでしょう。
ただ、使う時間足は有効なものを見つける必要があります。
(図2・英ポンド/円15分足)
図2は緑丸以降ローソク足をよける様に遅行スパンが形成されています。
強いトレンドが出ている事は一目瞭然です。
このチャートは綺麗なものですが、この様に相場の状況を判断する事がとてもシンプルに出来るテクニカル指標の一つであると言えます。
スーパーボリンジャーのデメリット
短いトレンドでは利益が上げられない
デメリットとして一番に挙げられるのは、短いトレンドでは利益が上げられないことです。
ここまでスーパーボリンジャーを使った順張りでのエントリーポイントを見てきました。
基本的にトレンドが発生してから乗ることになるので、ある程度の時間でトレンドが持続しなければ利益を上げることが難しくなります。
そのため必然的に、スキャルピングには向かず、デイトレード以上のポジションを取ることになるでしょう。
使う人の判断力が必要
あとデメリットとしては、使う人の判断力に大きく左右される点があります。
(図3・英ポンド/円1時間足)
チャートも多くのラインがジグザグを繰り返しており、見やすいとは言えない状態です。
この図3では、緑丸の部分が主なエントリーポイントですが、リアルタイムで判断するには個人の裁量が必要です。
このチャートはもみ合いの様な状態の部分が多いのでもしかすると今日はエントリーしないと言う判断にもなるかもしれませんが、時間足を変えわかりやすいチャートの形が見つかるかもしれないのでとにかく待ちましょう。
参考までにマーフィー氏は1分足こそ究極のチャートと言っています。
他のテクニカル指標と組み合わせて有効に使うには?
RSIとの組み合わせで逆張り狙い
(図4・英ポンド/円30分足)
スーパーボリンジャー単体でもエントリーポイントを見つけるには十分です。
しかし、さらに精度を高めるためにRSIとの組み合わせをしてみましょう。
「遅行スパンが±3σを超えたあとに戻って±3σを割り込んだ」かつ「RSIが30以下、70以上を超えた後に戻って30以下、70以上を割り込んだ」ことを逆張りのエントリーポイントとします。
赤矢印(↓)の部分は、スーパーボリンジャーの+3σを超えていた遅行スパンが下がっていき+3σを割り込んだことを確認、またRSIも70を超えたあとに反転して70を割り込んだことが確認できるので、逆張りでのエントリーを考えて良い場面です。
この様に、スーパーボリンジャーとRSIの2つのテクニカル指標が同じ方向性(下方向)を示す事でよりエントリーの強い理由ができます。
青矢印(以下↑)の部分は、どちらの↑もスーパーボリンジャーの遅行スパンがローソク足と絡んでいるので小ささなレンジ相場入りをする可能性があり、エントリーの理由としては少し弱くなります。