FXで大衆心理を知る重要性と読み方

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チャートと大衆心理の関係性とは

FX投資で欠かせないチャートをもとに分析する「テクニカル分析」では、「市場の動きはすべてを織り込む」ということを前提としています。

為替相場のレートはその通貨ペアに対する需要と供給の均衡点である、というものです。

需要(買い手)は買う動機と根拠を持っており、供給(売り手)も同様です。

そしてその根拠がどんなものであっても結論は売買に反映され、売買は市場価格に反映されるというのがテクニカル分析の考え方です。

その需要と供給は多くの人の心の中の葛藤や思いが入り混じって起こっています。

為替市場には世界中の多くの参加者で構成されていて、個人投資家から大口の機関投資家、実需筋など様々な人々が存在していて、色々な思惑でトレードをしています。

その大衆心理の動きはしばしばチャートパターンとして現れてきます。

チャートパターンをただ覚えるのではなく、大衆が何を期待して、または何に不安を持ってトレードしているのかを考えてトレードすると自分がどこでエントリーしたらいいのかが見えるようになってきます。

このようなチャートパターンを見たことはありませんか?

このパターンでは一度水平線をブレイクしたものの、戻ってきて再び水平線を割り込んでしまいました。その後再び水平線を目指しましたが、一気に戻してほぼ全値戻しに近い形になっています。

いわゆる水平線のブレイクがだましだったパターンですね。

ただチャートだけを見ていると、

  • ブレイクがだましになったり
  • 損切りした途端、当初思っていた方向に再び動き出す

などの失敗をすることがあります。

このチャートを大衆心理が作っていることを考え、それぞれのトレーダーがどんな心理状態で相場を見ているのかが分かると、この場面でどんな行動をとるのが正解かが分かってきます。

このチャートの裏には、

  1. Aでブレイクしたと思って買いポジションを持った人
  2. もともと買いポジションを持っていた人
  3. 水平線で跳ね返すと思って逆張りで売りポジションを持った人

がいます。

チャートに戻るとA地点の水平線ブレイク後、再び水平線を割り込んで下降していますので、

  1. 買いポジションを持った人は「しまった!」と思って損切りをします。(売り注文)
  2. もともと買いポジションを持っていた人はこれ以上は上がらないとして利確をする人が出てきます。(売り注文)
  3. 逆張りで売りポジションを持った人は思惑通り下降したので売りポジションホールドです。

と、それぞれの立場を考えてみるとB地点ではすでに売りが強くなる場面だということが分かります。

意識された水平線をブレイクしたものの、割り込んだ後のチャートは特にロング勢の不安が入り混じってチャートを作り出していると言えますね。

このように、相場の中にはロングポジションを持っている人、ショートポジションを持っている人、今エントリーした人がいて、欲と恐怖、期待と思惑が織り交ざって価格を作り出しています。

 

FX相場に参加している人々とは

為替相場は主に以下の参加者で構成されています。

  • 「実需筋」と呼ばれる輸出入企業
  • 機関投資家・ヘッジファンド
  • 個人投資家

為替市場で圧倒的な力を持っているのが機関投資家です。機関投資家には銀行や保険会社、ヘッジファンドなど、大きな資金を動かして為替トレードを行っている投資のプロたちです。

また、為替市場には「実需筋」と呼ばれる企業の影響も無視できません。実需筋は輸入企業や輸出企業で、円を外貨に交換して海外から物を買ったり、日本製品を売って外貨を得て、それを円に替えています。日本以外の外国企業も同様ですね。

実需筋の特徴は基本的には反対売買を行わないということです。外貨とモノを交換しているので、買った外貨を円に買い戻す必要性がありません。機関投資家や私たち個人投資家は投機目的でトレードを行っていますので最後には反対売買をしなければなりません。

為替市場にはこういったプレイヤーも存在します。

そして機関投資家のようなプロは個人投資家の集団心理を利用してトレードをしています。

レジスタンスラインをブレイクしたと思ってエントリーしたらあっという間に逆行した、なんて経験はないでしょうか?

主に個人投資家の大衆心理はプロに利用されやすいのです。逆に言えば、大衆心理を意識することでプロの見方でトレードを行うことができます。

 

大衆心理の逆を行くには大衆がせざるを得ない「行動」についていく

大衆が思惑と逆に動かされてしまうことがあります。儲かっている人は大衆心理を知って大衆の思惑と逆に行動することができている人たちです。

このチャートではAの時期に長い上昇トレンドを形成していますね。

ここで買いポジションを持っている人は、思惑通り上昇が続いているので追加で買い注文を入れたりしているでしょう。

このまま上昇トレンドが続くには買いエントリーが入れられ続ける必要があります。

しかし、いずれは買い注文は飽和状態になりますよね。

買いエントリー、つまりは上昇方向へのエネルギーが注入されなくなってきます。

この上昇トレンドでは多くの人が「上昇してほしい」と考えていますので、もう飽和状態だなと思ったら決済をしてポジションを手放します。もう十分利益を得たと思って利確する人も出てくるでしょう。

FXでの決済は反対売買、つまりこの場合はショートですね。

みんなは上がりたいと思っているけど、利確によって売り勢力が出てくるんです。

ある程度上昇トレンドが成熟してくると、上がりたいと心では思っていても、下降の方向へ行動(利確による反対売買)しなくてはならなくなります。

つまり、上昇してほしいという希望があるのに実際にとっている行動は売りという下降圧力です。

だんだん売る人が増えてきて、今度はロスカットを巻き込んだ急落へと繋がっていきます。

相場では大衆が行きたい方向に動かずに大衆の思惑に反した行動をとらざるを得ない場面が度々起こります。

儲かっている人はこのようになる時を狙っています。「思惑の多数派」ではなく、「行動の多数派」について行くことを知ってトレードしています。

これが大衆心理を知って、大衆の逆を行っている人の行動パターンです。

 

大衆心理を表したチャートパターンとエントリー方法

カップアンドハンドル

カップアンドハンドルは有名なチャートパターンですが、大衆心理をよく表しているチャートパターンですので、なぜ、このような形ができるのか、どんな心理が渦巻いてこの形になっていくのかを知っておくことでエントリーポイントも見えてきます。

こちらがカップアンドハンドルの典型的なチャートパターンです。

一度下降して元のレートに戻った後、再び売りが入りやすいというのがカップアンドハンドルの特徴です。

コーヒーカップのように取っ手がついたカップのような形をしていることからそう呼ばれています。

この取っ手の部分がと相場の大衆心理が影響して作られているものなのです。

さて、このカップアンドハンドルの相場場面には登場人物が3人います。

  1. 買いポジションを持っている人
  2. 売りポジションを持っている人
  3. エントリーのタイミングを待っている人

Aの点線で囲んだ中は買いと売りが攻防して揉み合いした場所です。Aの場所では買い勢力と売り勢力の両者が拮抗していたということですね。

その後、このチャートでは売り勢力が勝ち、価格を下げました。

買い勢力はCの中では含み損状態、Aのレンジを下抜けたところで損切りできずにずっと損を持っている状態になっています。

その後、価格がBの地点に近づいて来た時にみんなが何を思っているのか考えてみましょう。

①Aでロングした人

エントリー後、価格が下降し、失敗したと思って耐えていたらBで価格が戻ってきたのでとにかく一度決済したい。

②Aでショートした人

思惑通り下がったが、Bまで戻ったため、損はしたくないので損益±0で逃げたいと考えている。

または、一度下がったタイミングですでにストップロスをエントリーポイントまで移動させているということもあり得ます。

③Aでショートのタイミングを逃した人(新規でエントリーを待っている人)

Aのレートに再び価格が戻ってきたらエントリーしたい。

つまり、Bの地点はみんなが注目していて、色々な思惑が絡み合っているポイントとなります。

①のロングの人たちはBの地点でずっと損を抱えていて上がってくるのを待っていたので、レートがもどってきて、±0で何とか終わらせようとします。

Bでロングポジションの決済を行いますので、「売り注文」です。

そうなると下降圧力になります。

②の人たちはショートポジションを保有しているので買い注文で決済します。

そして③の人々、この中にはABのラインをレジスタンスラインと考えて新規の売りのポイントと考えてエントリーを狙っている人がいます。つまり、売り注文が入りやすくなります。

そうなると、Bでは売り注文が多くなってしまうんです。

カップアンドハンドルの右側は損切りと新規の売りが集中してこんな形を作り出すと知っておきましょう。

カップアンドハンドルのエントリーポイント

BでAのレンジのラインを完全に上抜けたら買いでエントリーする順張り手法です。

底値からは上昇トレンドになっていますので、Bが押し目売りポイントに見えますが、カップアンドハンドルの形をとっていますので、大衆心理を考えるとここでは売りが集中するはずですので、ここではエントリーしません。

ただ、ここは上昇トレンドとなっていますので、ABのレンジのラインを下抜けないことを確認してから順張りで買いエントリーします。

エントリーポイントはAでもみ合いがあったボックスの上限を上抜けたラインです。Aのレンジを明確に上抜けたらエントリーします。このチャートではグリーンの丸の場所ですね。

カップアンドハンドルではこのチャートのように上昇していくパターンとカップのハンドルを作ったあとに下降するパターンがありますので、順張りのロングをする場合はご紹介した手順のとおり、Aのレンジの上限を確実に超えたことを確認してからエントリーします。

 

水平線

水平線はサポートラインとレジスタンスラインに分けることができますが、どちらも市場参加者に意識されるポイントです。

サポートラインは買いエントリーしたい人たちが安値と考えて買い注文したり、売りポジションを保有していた人たちが利確の目安にすることで、価格がこのラインに跳ね返されるような動きになります。

レジスタンスラインも同じで、買いポジションを保有していた人たちの利確の目安となり、新規で売りたい人たちのエントリーの目安でもありますので、このラインに大衆心理が働くことで価格が押し下げられる動きが見られます。

エントリーはロールリバーサルを行う

エントリーポイントを待っているトレーダーが①の地点でレジスタンスラインに価格が押さえられたことを認識している状態です。何度も価格が押し返されていることからこのレジスタンスラインは強固で上値が重いぞ、と思っていることでしょう。

①で戻されたので②の地点でもレジスタンスラインが作用して押し戻されるのではないかと思い、逆張りの売り注文する人が出てきます。このグループをAさんとします。

しかし、下降せずにレジスタンスラインをそのままブレイクして上昇してしまいました。

Aさんとしては持ったポジションと逆行した状態です。Aさんは損失を少なくしたいので、価格がブレイクした後、レジスタンスラインに戻ってきたところで売りポジションを決済したいと思っています(買い注文)。

同時にこの地点で新規で買う人(Bさん)も出てきます。

Aさん、Bさんの2つの買い注文により、価格のブレイク後、戻りが発生するものの、ラインを割り込まずにブレイクした上昇方向に加速することになります。

このような大衆心理を踏まえて、エントリーするべきポイントは③です。

価格がブレイクした後にラインに戻って来ますが、Aさんの売りポジションの解消と新規のBさんの買いにより、ラインを割り込まずに上昇し始めた部分、つまり、Bさんの少し後にエントリーします。

これがロールリバーサルのエントリー手法です。

 

FXの大衆心理を学べるおすすめ書籍

相場の大衆心理を知っておくと、今までの負けパターンの理由が見えてきたり、チャートがなぜそのように動くのかが分かってきます。より詳しく学びたい方に相場の大衆心理をテーマとした書籍をご紹介します。

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マネフルFX編集長 西畠

マネフルFX編集長 西畠

専業トレーダー。月間最高利益2000万円。2007年にFXをスタート、CFD、日経225先物オプションなども取引する。一日に数回取引するデイトレードと長期のスイングトレードを得意とする。

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