FX会社の中には顧客のポジションや取引情報を公開している会社があります。
市場全体のデータではなく、あくまでもその会社の顧客のポジション情報なのですが、投資家のポジションの状態を知るのに役に立ちます。
これをオーダーブックと言いますが、特に有名なものがOANDAの「外国為替注文書(オーダーブック)」というもので、通称OANDAクソ(糞)ポジチェッカーです。
オーダーブックでは通貨別の売りと買いのポジション比率、指値・逆指値注文がどの価格帯にどれだけ溜まっているのかを表示するツールです。
左がオープンオーダー(未決済の注文)、右がオープンポジション(未決済のポジション)です。
含み損の出ているポジション、いわゆる「糞ポジ」が一目で分かるため、「クソポジチェッカー」と言われています。
OANDAのクソポジチェッカーも市場全体の注文とポジションを示しているわけではなく、OANDAの顧客の注文を示しています。そして、さらに機関投資家を含まない個人投資家のオーダー状況とポジションの保有状況を表示しますので、為替市場全体の情報が反映しているわけではありません。
しかし、OANDAは世界中に多くの顧客を持っているFX会社ですので、その信憑性は高いと言えます。
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それではそれぞれの見方を見ていきたいと思います。まずは右側のオープンポジションから説明します。
クソポジチェッカーのメリットとデメリット
メリット
- ひと目で他の投資家のポジションの状態を知ることができる
- 投資家心理を読むことができる
- 未決済注文を見る事で反転の可能性を読み取ることができる
デメリット
- 機関投資家の注文・ポジション情報は含まれない
- 売買シグナルではない
クソポジチェッカーのメリットはオープンポジションにより現在の個人投資家のポジションの保有状況がオープンオーダーにより指値・逆指値の注文状況が一目で分かるということです。
ポジション情報が分かることにより、価格の変動から個人投資家がどのような行動を起こすのかを探ることができますし、何より、今後の投機筋の仕掛けをある程度予測することも可能になります。
逆にデメリットとしてはクソポジチェッカーは個人投資家の注文とポジションの情報でしかないということです。
相場を動かす力を持つほどの資金力を持った機関投資家は含まれないため、大量の資金を投入して為替を動かされてしまうとグラフが示しているデータを打ち消すような動きがでる可能性もあります。
そのほか、オーダーブックはあくまでもポジションのデータであり、市場参加者の動きを読むものであって売買シグナルとして判断するものではないとうことは留意してください。
オープンポジションの見方と使い方
オープンポジションの見方
縦軸:為替レート
横軸:保有割合
真ん中のグリーンのラインは現在価格です。現在価格を挟んで上下、左がショートポジション、右がロングポジションの4つのエリアで分類されます。
4つのエリアはそれぞれ
- 含み益のあるショートポジション
- 含み損のあるロングポジション(通称糞ポジ)
- 含み損のあるショートポジション(通称糞ポジ)
- 含み益のあるロングポジション
を表しています。
保有中のポジションは青とオレンジで表示されます。
オレンジ:保有ポジションが含み益
青色:保有ポジションが含み損(糞ポジ)
横軸はポジションの量を表していて棒グラフが長い方がそのレートにたくさんポジションがあるということを示しています。
こちらは豪ドル円のオープンポジション(未決済のポジション)です。
83円以上ではショートに比べてロングポジションが多いことが分かりますね。
2018年11月の時点では豪ドル円は80~83円を推移していますが、85円は2018年3月に付けたのを最後にずっと85円よりも下の水準でレートが推移しています。
豪ドル円といえばスワップ狙いの高金利通貨として人気がありますので、含み損を抱えてでも長期保有している個人投資家の多い通貨ではありますが、価格がもう一段下がるようなら損切りする人が出るかもしれません。
このように、オープンポジションでは世界中の個人投資家がどの価格でポジションを抱えているか、どの価格帯が多く保有されているのかということが分かり、同時に糞ポジが一目で分かるところがメリットです。
グラフの見方は分かりましたか?それではオープンポジションの活用方法をご紹介していきます。
価格の上下のボリュームを見てトレンドをつかむ
オープンポジションの代表的な使い方として、保有ポジションのボリュームを見てトレンドの流れをつかもうとする方法があります。
図の棒グラフの長さと現在レートの位置関係に注目してみてください。
現在価格のすぐ下に長い棒グラフがたくさんあることが分かります。これは、現在のレートのすぐ下に買いポジションと売りポジションが大量に溜まっているということです。
これは現在のレートのすぐ下の一帯で買いと売りの攻防があり、どちらのトレンドが発生するのかをせめぎ合った跡なんです。
この図では攻防の上に現在のレートがありますので、上昇トレンドが勝ち、しばらくは上昇トレンドが継続しやすい状況ということを示しています。
投資家の心理を把握する
オープンポジションでは現在のポジションを保有している個人投資家の心理を読み取り、直近の値動きの予測に役立てることもできます。
投資家の心理を見るときは表をオレンジ色のグループと青色のグループで分けて考えます。
オーダーブックでは
オレンジ色:含み益
青色:含み損
でしたね。
オレンジグループの人、青グループの人それぞれが何を考えているのかといいますと、
【オレンジグループの人】
オレンジ色は今含み益が出ていて儲かっている状態ですから
プラン1:利益確定
プラン2:買い増し
と2通りの選択肢があります。
【青グループの人】
青は今、含み損を抱えて損していますので
プラン1:損切り
の1つの選択肢しか残されていません。
つまり、含み益を持ったオレンジグループの人々の行動は選択肢が2つあるので読みづらいですが、一方で含み損を抱えている青グループの人々の行動は読みやすいと考えることができます。
さて、表に戻りますが、この表で一番泣いている人は誰だと思いますか?
正解は③の人です。
③は「含み損のあるショートポジション」でしたね。
この表は上の章で解説した通り上昇トレンドですので、③のショートポジションの青グループの人はこれ以上価格が上昇したら
「これ以上損は増やせない!」
「証拠金がぁ~!!」
と損切りの買い(売りポジションの解消)をし始める可能性があります。
そうなるとさらに買いが起こり、上昇トレンドを後押しすることになります。
オープンオーダーの見方と使い方
オープンオーダーの見方
次に左側のオープンオーダーについてです。
オープンオーダーでは執行されていない注文がどこのラインに置かれているのか、どのレートにどれくらいの注文が集まっているのかを見ることができます。
これを見る事で世界中のOANDA顧客の個人投資家がどのレートに注文を置いているのかが分かるんですね。
同時に「この値段になったら買いたい(売りたい)!」という意思を見ることができるグラフでもあります。
4つのエリアはそれぞれ
- 指値売り
- 逆指値買い
- 逆指値売り
- 指値買い
です。
オレンジが指値注文、青が逆指値注文になります。
ポジションをすでに持っているトレーダーの注文としては
こんな風になります。
オレンジは利益確定、青は損切りと考えるとイメージしやすいですね。
突出したオーダーから反転ポイントを探る
オープンオーダーを見ると、時々棒グラフが1本だけ突出していることがあります。
ここでは赤い四角の中、オレンジ色のラインが3本突出していることが分かると思います。
オレンジ色は指値注文でしたね。
④のエリアは指値の買い注文になりますので、新規の買い注文がちょうど148.00円、147.00円、146.00円に並んでいることが分かります。
これはこのレートに来たら買いたいと思っている個人投資家たちがたくさんいて、大量の買い注文が入っていることが分かります。
下降トレンドか価格が下げ続け、148.00のレートまで到達した時に、大量の買いが控えていますので、相場が買い優勢の上昇トレンドに転換する可能性を示唆しています。
オレンジ色の棒グラフの突出はサポートポイントとしても捉えることができますね。
突出した棒グラフ1本だけではなくても指値買い(売り)が集中して固まっている部分も同様にここで反転・上昇(下降)したら買い(売り)ポイントとして捉えることもできますので押さえておきましょう。
突出したオーダーから個人投資家のロスカットポイントを見つける
次は青い線に注目してみたいと思いますが、右下③の赤い四角の中に2本ほどありますね。
オープンオーダーの青のグラフと言えば何でしょうか?
そうです。損切りです。
つまりは個人投資家の損切り注文がこのラインに多く存在していることが分かります。
機関投資家のミセスワタナベ狩りはロスカットを巻き込んだ売りを浴びせることを狙っていますので、このラインを目標にして売りが仕掛けられるのではないかと考えることができます。
また、ロスカットを巻き込んだ売りの後に底値で拾うことも可能になりそうです。
クソポジチェッカーを活用してヘッジファンドと同じ目線でトレードする
クソポジチェッカーの見方はわかりましたでしょうか?
このポジションツールというものはあくまでも個人投資家のポジションであり、資金量の多いヘッジファンドなどの機関投資家の注文とポジションは含まれません。
しかし、ヘッジファンドのような巨大投資家は、このような個人投資家のポジション情報や注文情報を入手してトレードしていて、このような情報を見て個人投資家の損切り注文が溜まっているレートまで大量の資金を投入して大量のロスカットを巻き込んで利益を上げることが常套手段となっています。
私たち個人投資家もストップ狩りを仕掛けられて泣き寝入りなんてことにならないようにヘッジファンドになったつもりでオーダーブックを活用して投機筋の仕掛けをうまく活用してしまいましょう。