ゴールデンクロス・デッドクロスとは、価格と移動平均線、2本の期間の異なる移動平均線、オシレーター系指標などの2本の線が交差した状態のことを言います。
2つの線が交差するゴールデンクロスとデッドクロスは、相場の転換を示す重要なシグナルであると考えられており、多くの投資家が注目している売買シグナルです。
ゴールデンクロスとデッドクロスはテクニカル分析の中でも最も有名な売買サインだとも言えるのでFX初心者の人でも言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。
なぜこの2つのサインが投資家の注目を浴びているかといいますと、ゴールデンクロスとデッドクロスはトレンド転換のサインであり、2つのラインのクロスの状態によって買いまたは売りのシグナルになるからなんです。
簡単に言うと、
- ゴールデンクロス…下降トレンドから上昇トレンドへ転換のサイン
- デッドクロス…上昇トレンドから下降トレンドへ転換のサイン
です。
トレンドが変わったことを教えてくれるので重要なサインですよね。
それでは基本の移動平均線のゴールデンクロスとデッドクロスから解説していきたいと思います。
目次
移動平均線(25日と75日)のゴールデンクロスとデッドクロス
移動平均線は最も有名なテクニカル指標ですので、FXに限らず株式投資でもトレードをしたことがあればほとんどの人が一度は使ったことがあるのではないでしょうか。
実際、多くの投資家が注目しているテクニカル指標が移動平均線です。
移動平均線とは
移動平均線は指定した期間の終値の平均値を線でつなげて表示したテクニカル指標で、10日移動平均線は直近の10日間の終値の平均を表します。
移動平均線の期間は自由に変更でき、大きなトレンドを見る長期間の移動平均線と直近の値動きを見る短期の移動平均線を組み合わせて利用することが多いインジケーターです。
移動平均線ではローソク足と移動平均線の位置関係などを見てトレンド判断を行うオーソドックスな使い方がありますが、
短期の移動平均線と長期の移動平均線を表示させて2本の線がゴールデンクロスまたはデッドクロスすることを確認して売買サインとする使い方があります。
ゴールデンクロス
ゴールデンクロスとは短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上に抜ける動きで交差した状態です。ゴールデンクロスが起きたら買い判断となります。
チャートを確認するとゴールデンクロスした後、しっかりと価格が上昇していることが分かります。
短期線が長期線を超えたということは、短期的に買っている人が多いということになりますので買いのサインであることが分かります。
また、移動平均線はローソク足を追いかけて動くため、移動平均線がゴールデンクロスしたタイミングでは価格はすでに上昇トレンドに入っている場合が多いと考えられています。
つまり、価格を追いかけている移動平均線のゴールデンクロスはトレンドフォローの買いエントリーに向いているという事が分かりますね。
デッドクロス
デッドクロスとは短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に抜ける動きで交差した状態です。デッドクロスが起きたら売り判断となります。
チャートを確認するとデッドクロスした後、しっかりと下降していますね。
ゴールデンクロスと反対に、短期の移動平均線が長期移動平均線を下回ったということは短期的に売っている人が多いということが分かり、売りサインであることを示しています。
デッドクロスしたということはトレンド転換したということになりますので、デッドクロスは新規売りエントリーのシグナルであると同時に買いポジションの決済シグナルでもあります。
移動平均線のGC、DCの「だまし」と回避方法
2本の移動平均線がゴールデンクロスしたら買い、デッドクロスしたら売り、と移動平均線の解説を見ていると簡単に相場に勝てそうな感じがするのですが、実際はなかなか上手く行きません。
なぜなら移動平均線がクロスすることだけを見てトレードするとだましに合いやすくなるのです。
では、移動平均線のだましはどういうときに起こるのでしょうか。
まず、相場には2種類の状態があることを思い出してみてください。
相場の状況は
- トレンド相場
- レンジ(揉み合い)相場
の2つに分けられますね。
移動平均線が得意な場面はトレンド相場のとき。レンジ相場は苦手としています。
レンジ相場になると頻繁に2本の移動平均線がクロスしてダマシの連続になる確率が高くなります。
移動平均線のだましを回避するには
- レンジ相場では判断に使用しない
- 長期移動平均線の傾きに注目する
ことです。
レンジ相場になった時は移動平均線に判断をまかせっきりにしないということは分かったとしても、長期移動平均線の傾きに注目するとはどんなものなのでしょうか?
具体的にはゴールデンクロスの場合、だましを回避するには長期移動平均線が平行もしくは下を向いているときにはエントリーは見送ります。
逆に長期移動平均線が上向きの時は買いエントリーしてOKです。
このチャートの丸印の中はゴールデンクロスですが、その後すぐさまデッドクロスして価格が下降していっていますよね。
つまり、このゴールデンクロスはだましであったことになります。
直近の移動平均線の動きを見てみますと、長期移動平均線、短期移動平均線ともに下向きになっていますね。
このように移動平均線、とくに長期線が下向きもしくは平行になっている状態でのゴールデンクロスは相場の勢いが足りず、だましになりやすい傾向があります。
デッドクロスはゴールデンクロスの反対です。長期移動平均線が平行もしくはまだ上向きのままデッドクロスしたときは売りで入るのは見送ります。
長期移動平均線が下向きの時にデッドクロスした時は売りエントリーしてOKです。
このチャートでは長期移動平均線、短期移動平均線とも平行に推移した後にデッドクロスしています。
デッドクロスは上から下に突き抜ける動きになるので、この角度では相場の勢いが足りないということを物語っています。
実際に、2本の移動平均線がデッドクロスした後、一旦ローソク足が下がる動きをしていますが、勢いが弱く、トレンド発生ともいえないうちにローソク足が上昇してきて2本の移動平均線もすぐにゴールデンクロスしてしまっています。
移動平均線の設定値は何がいいか?
日足・週足のパラメーター
移動平均線を使う上で悩むのがどの期間を採用するかということ。
実際、人によって採用している期間が違うので調べれば調べるほど悩むと思います。
基本的には短期的な相場の方向を知りたい場合は小さな値を、長期的なトレンドを知りたいなら大きな値を使用することになり、
自分に合った好きな値を採用すればいいのですが、世界中の投資家に注目されている値がいくつかありますのでその数値を選んで入れていくと良いでしょう。
良く使われるものが日足をベースとした5、25、75、200などです。
ローソク足で日足を使った場合は5日は1週間、25日は1か月、75日は3か月、200日は1年にあたり、特に200日はグランビル氏の提唱した期間ですので世界中の投資家に注目されている値でもあります。
次に、週足ベースの13、26、52というものがあり、13週は3か月、26週は半年間、52週は1年間にあたります。
26と52は一目均衡表でも採用されている期間ですので、多くの注目されている値です。
そのほか、フィボナッチ数列を利用したエリオット波動で採用されている5、8、13、21、34や
RSIを考案したJ・W・ワイルダーが提唱している7の倍数の7、14、21もよく利用されている値です。
時間足・分足のパラメーター
設定値は日足や週足で説明しましたが、もっと短い時間足ではどうしたらいいの?って思いますよね。
大丈夫です。短い時間足でも先ほどご紹介した数値をそのまま当てはめてしまって問題ありません。
例えば5分足を使う場合、移動平均線に5日移動平均線と25日移動平均線を使用するとするならば
5分×5=25分
5分×25=125分
とちゃんと置き換えてインジケーターは表示してくれます。
大切なのはよく使われているパラメーターを中心に色々試して自分の投資スタイルに合った設定期間を採用することです。
MACDのゴールデンクロスとデッドクロス
MACD(マックディー)は指数平滑移動平均線(EMA)の長期線と短期戦の差を利用して作られたテクニカル指標です。
短期EMAから中期EMAを引いた「MACD」というラインとMACDの数値を移動平均化した「シグナル」の2つのラインで表示されるインジケーターです。
MACDは移動平均線に先駆けてトレンド転換のシグナルを出してくれるメリットがありますし、MACD線とシグナルの2つの線で表示されるためMACDとシグナルのゴールデンクロスとデッドクロスを投資の判断に利用することができます。
MACDでは価格に合わせてMACDが動き、そのMACDを追いかけるようにシグナルが動きます。MACDとシグナルがゴールデンクロス、デッドクロスする様子を見て売買のサインを見つけることができます。
このチャートでは水色のラインがMACD、オレンジ色のラインがシグナルです。
チャートでも見られるように2つの線がゴールデンクロス、デッドクロスすることで売買シグナルを見つけることができますが、MACDでは真ん中のゼロラインを見ることでトレンドの状況を知ることができます。
MACDがゼロラインより上にあるときは価格の勢いが強い状態で、ゼロラインより下にあるときは価格の勢いが弱い状態です。
MACDがゴールデンクロスし、かつゼロラインを突き抜ける動きをすれば上昇トレンドに信頼性が高いと言えますね。
しかし、MACDでもゴールデンクロス、デッドクロスのだましは起こります。
だましを回避するにはMACDがクロスしている角度をよく見ればOKです。
MACDでは角度がついたクロスを狙う
MACDのクロスでは線が交差する時の角度が大切なポイントとなります。
クロスするときの角度が緩やかだと値動きの勢いが弱いということなのでダマシに終わることが多く注意が必要です。
チャートでもグリーンで囲ったエリアではMACDが角度をつけてシグナルと交差しており、その後に移動平均線もゴールデンクロスしていますね。
しかし、オレンジのエリアではMACDは何度も交差を繰り返しているものの緩やかな角度での交差に終始しています。
移動平均線を確認してもゴールデンクロスもデッドクロスもしていませんね。
これはMACDでのだましになりますので、MACD線とシグナル線が交差する時に、MACDが一度シグナルから大きく離れて角度をつけてクロスしていく形状をチェックすることが大切になります。
ストキャスティクスのゴールデンクロスとデッドクロス
ストキャスティクスは最高値、最安値、現在値から3つの指数を出して買われすぎや売られすぎの判断をするオシレーター系指標の中でも有名なテクニカル指標です。
ストキャスティクス・スローストキャスティクスとは?使い方と手法
ストキャスティクスでも%Kと%Dの2本のラインがありますので、ゴールデンクロスとデッドクロスを使用して売買シグナルを見る方法があります。
ストキャスティクスでゴールデンクロス、デッドクロスを売買シグナルとするポイントは、ゴールデンクロスは20%以下のエリア、デッドクロスは80%以上のエリアで起こっているもののみをシグナルとして判断することです。
買われすぎ、売られすぎエリアではいずれ価格は適正価格に戻っていきます。
そこで2本の線がクロスしたということはストキャスティクスが真ん中の50%のラインに戻ろうとしている現象になりますので、価格も同様に反対方向へ動くことになります。
移動平均線やMACDと違うのは移動平均線もMACDもトレンド系の指標であることに対し、ストキャスティクスはオシレーター系の指標であることです。
オシレーター系の指標ですので、ストキャスティクスでのゴールデンクロス、デッドクロスは逆張りのサインとなりますし、トレンド相場よりもレンジ相場が得意なインジケーターとなります。
同じゴールデンクロス、デッドクロスであっても得意な場面とシグナルの意味合いが異なりますので上手に使分けられるといいですね。